2019年07月30日
尿のニオイの種類で身体の不調や病気が分かる? 尿で健康状態をチェックしよう
トイレで用を足していると、自分の尿から変なニオイが…。尿はなぜ臭うのか不思議に感じませんか? 尿は健康のバロメーターともいわれています。ここでは、主に尿のニオイでわかる身体の健康状態についてご紹介します。異常を感じたら、早めに医療機関を受診するといいかもしれません。
目次
尿のニオイでわかる、身体の異常とは? 尿が泡立つのも異常のサイン 尿のニオイをなくすための7つの対策 まとめ
尿のニオイでわかる、身体の異常とは?
尿は体のバロメーターです。体に何か異常が起こっているときは、自分自身では気づかない症状が尿として排尿され出てきます。それらの状態と身体との関わりはどのようなものなのでしょうか。
甘いニオイがする
甘いニオイがするおしっこは、糖尿病のサインです。甘いというのは、糖が含まれていることを意味します。通常、血液中の糖分は、糸球体は通過しますが、尿管ではほとんどが再吸収され体内に戻ります。
尿中に排泄されるのは、糸球体を通過する糖の1%未満です。通常は、尿の中の糖は微量ですから、甘いニオイが出ることはありません。
尿から甘いニオイがすることがあるのは、血液1dl当たりの糖の濃度が180mgを超える糖尿病患者さんです。原尿に含まれる糖濃度が尿細管で再吸収できる限度を超えて、糖がおしっことして排泄されてしまうためです。
健康な人の空腹時血糖値:80〜110mg血糖値が高くなる食後でも140mg未満
正常な血糖値で甘いニオイの尿が出るケースについて 割合は少ないですが、血糖値が平均であるのに甘いニオイがするおしっこを出す人がいます。尿細管で糖の再吸収を担っている「SGLT2」というタンパク質が、生まれつき機能していない人です。
その人の症状は、(家族性)腎性糖尿病といいます。腎性糖尿病患者さんは1日に数g〜100g以上の糖を排泄していますが、腎機能は正常で普通に生活できます。
刺激臭がする
トイレに入ると特有なおしっこ臭さを感じたことがあるでしょう。それは、おしっこの成分である尿素が、細菌に触れた時に分解されてできたアンモニアによるものです。ただし、匂いのキツイものを食べた時も同様に匂いが出ることがあります。
最初からおしっこが匂う場合は、原因として考えられるのは、尿路感染症です。尿路とは、腎臓で尿が作られ排出されるまでの経路です。
腎臓 ↓ 尿管 ↓ 膀胱 ↓ 尿道
これらの道のりで細菌が感染して、炎症を起こることを病気で尿路感染症といいます。
尿路感染症では、便器ではなく尿路のどこかでニオイの原因である細菌が存在します。それらの尿素と反応してアンモニアが発生するのでおしっこ臭くなります。
甘酸っぱいニオイがする
血液のケトン体の増加により酸性に傾く(ケトアシドーシス)です。柿の腐ったような甘酸っぱいニオイのおしっこがでる。ニオイの原因は、ケトン体という脂肪酸やアミノ酸の不完全代謝産物です。
糖尿病や飢餓状態のときは糖が利用できませんので、脂肪を利用することになりケトン体が多くつくられます。
人は、生きていくため、必要なエネルギー源として糖を利用することができないときは、脂肪を利用することにより、ケトン体が多く作られます。おしっこだけでなく呼気からもニオイがでます。
メープルシロップのようなニオイ
メイプルシロップ臭の原因は、分岐鎖アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)が正常に代謝できずに残る分岐鎖ケト酸です。分岐鎖が増えると、血液が酸性に傾き痙攣、精神遅滞が起こります。これを、メイプルシロップ尿症といいます。
メイプルシロップ尿症は、日本では50万人に1人が発病する、まれな病気です。
ネズミ臭い
人間は栄養として食べ物から摂取しなければならないアミノ酸の一つに(フェニルアラニン)があります。過剰なフェニルアラニンは、中枢神経に作用して、精神発達遅滞(歩行や発語困難)をもたらしますが、通常は体内で分解されるため問題は起こりません。
しかし、フェニルケトン尿症の人は、フェニルアラニンを体内で代謝できないため、血液中のフェニルアラニン濃度が上がり、おしっこからネズミ臭がするようになります。
フェニルケトン尿症では、血液中の過剰なフェニルアラニンがフェニル酢酸に変化し尿中に現れます。このフェニル酢酸がネズミ臭を有するため、おしっこがネズミ臭い場合、フェニルアラニン尿症を疑います。
日本では、フェニルケトン尿症の発症頻度は10万人に1人と言われており、現在は、新生児の検査により発見できるようになりました。
ポイント 尿のニオイからは糖尿病などの病気が分かることがある 過度なダイエットはケトン臭が発生する
尿が泡立つのも異常のサイン
たんぱく尿で分かる病気
見た目でわかるおしっこの出方に「泡が立つ」というものがあります。長時間たっても泡立ちが消えないおしっこは、おしっこにタンパク質が多く含まれています。このことを「タンパク尿」といいます。タンパク尿には表面張力が強く働き、泡が長時間消えないのです。
尿に泡が立つこのような泡は、ネフローゼ症候群のサインの一つです。ネフローゼ症候群とは、血液中のタンパク質の濃度が下がり、体にむくみが出る病気です。
普段は、血液中のタンパク質は糸球体を通過せず血液中にとどまります。それが、ネフローゼ症候群では糸球体に異常が起こっているので、タンパク質が糸球体を通過してしまい、おしっこの中に流れ出します。タンパク尿が見られたら受診してください。
病気以外でたんぱく尿が出るケース
他にも尿が泡立つことがあります。
激しい運動をした後 入浴後 発熱時 こうした場合は、一時的にタンパク尿が出ることがあります。体内で増えた酸が糸球体毛細血管壁に影響して、タンパク質が糸球体を通過しやすいので、尿検査前は激しい運動は避けてください。
ポイント 尿が泡立つのも身体に異常が現れているサイン 尿は病気でも泡立つが、健康でも泡立つことがある
尿のニオイをなくすための7つの対策
尿のニオイをなくすためには、生活習慣をしっかりつけることです。
1、ニオイのきついものは食べすぎない
ニラ・ネギ・ニンニク・らっきょうなど、毎日食べるのは控えましょう。
2、食べ過ぎないようにする
体内で分解されなくなったものは、匂いとともに外へ排出され臭いますので食べ過ぎに注意しましょう。
3、ストレスを溜めない
ストレスを溜めないことも尿のニオイを抑えます。適度な運動をしてください。
4、身体を清潔にする
毎日お風呂に入り、汗を流して陰部も清潔にしてください。じゃないと尿管に細菌が入る場合もあります。
5、定期的に検査する
尿は体の異常を知らせる重要な生理現象です。薬局に尿検査キットが売られていますので定期的に検査されてもよいです。
6、定期健康診断
定期健康診断も必ず受けてください。当日尿が出ずに後回しにならないように検査してください。
7、毎日尿の状態を観察する
トイレで排尿するときは、毎日見てニオイを嗅いでください。健康のバロメーターです。異変を感じたら受診してください。
ポイント 尿のニオイを抑えるには日頃の生活から見直す必要がある 毎日の身体の変化を見逃さないようにしよう
まとめ
尿の状態は身体の健康状態を如実に伝えています。尿の排泄は毎日行われます。珍しい現象ではないがために、あまり気に留めることも少ないかもしれません。しかし、ニオイなら目で見ずとも確認できます。「最近変なニオイが続いているな」と感じたら、意識して日々の生活を見直してみてはいかがでしょうか。
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