2019年08月19日
顔だけに大量の汗をかく! 顔面多汗症から疑われる病気とは?
汗っかきな人はよくいるものですが、なかでも顔にばかり汗をかいてしまうという人がいます。その症状はもしかしたら顔面多汗症かもしれません。顔に汗を多くかくことで、人間関係や日常生活に支障が出る場合もあります。今回、顔面多汗症の症状や治療法、予防法などについて見ていきましょう。
顔面多汗症の症状とは? 多汗症とは文字通り、かく汗の量が多いというものですが、なかでも顔からの発汗量が多い症状を顔面多汗症といいます。特に、緊張時や高温時に顔から汗が噴き出し、周囲の目も気になってしまうほどの大量の汗をかきます。
顔面多汗症で困ることといえば、汗がしたたり落ちることで服が汚れたり、見た目だけでなく汗の臭いも気になったりといったことです。また、汗をかいている自分が恥ずかしいと思うことで緊張し、さらに発汗量を増やしてしまうといった悪循環に陥ることもあります。
一見、軽い悩みのようにも感じられますが、人と会ったり外出したりするのが嫌になってしまう場合もあり、対人関係や仕事に支障が出ることもあるため、本人にとっては重い問題といえるでしょう。
顔面多汗症の原因 顔面多汗症の原因とは何なのでしょうか。健康な状態なら体温が上がるとそれを冷ますために汗をかき体温調節をします。しかし、体温が上がり過ぎると、脳細胞が正しく発汗を促すことが出来なくなってしまうことがあるのです。
また、運動不足や涼しい場所に長時間いることで極端に汗をかかない状態が続くと、心臓から離れた体の末端部分(手や足)の汗腺が働かなくなります。そして、代わりに筋肉がよく動く顔からの発汗量が増えると考えられています。
顔面多汗症の直接的な原因についてはまだ解明されていませんが、このような運動不足や自律神経失調症、遺伝などが原因と考えられています。
顔面多汗症から疑われる病気 顔面多汗症になると、場合によっては以下の病気の可能性が疑われます。
自律神経失調症
自律神経は、呼吸や血液の循環、内臓機能などを司る大切なものですが、この自律神経のバランスが崩れるとそれらの働きがうまくいかなくなります。自律神経は体温調節のための発汗機能にも関係しているため、自律神経失調症になると発汗に異常が生じ、顔面多汗症になる可能性があります。
更年期障害
更年期障害になると血管の収縮、拡張がうまく出来なくなり、暑くないのに汗をかいたり、体温が上昇してのぼせを起こしたりして、顔面多汗症に繋がる恐れがあります。
甲状腺機能亢進症
顔面多汗症は新陳代謝に問題が生じることで起きることがあるため、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンの分泌が過多になってしまう甲状腺機能亢進症という病気の可能性も疑われます。
糖尿病
糖尿病になると血糖値が高い状態が続くため末梢神経がダメージを受け、老廃物の排出機能に異常が起きやすくなります。そのため、下痢や便秘になったり、尿意を感じなくなったりと、発汗がうまく出来なくなり体温をコントロールできなくなります。すると、体温や気温に関係なく発汗が起こったり、顔面からたくさん汗をかいたりするようになってしまうのです。
顔面多汗症の治療法 顔面多汗症の治療法の一つとして挙げられるのがボツリヌス注射です。これは、簡単に言うと汗をかきにくくする作用のある注射です。
交感神経によってアセチルコリンという物質が放出されることで汗が分泌されるのですが、ボツリヌス注射にはアセチルコリンの分泌を穏やかにし、汗を抑える働きがあります。
この注射を患部(顔面からの多汗が気になるなら額等)に打つことで汗の量を減らします。同じく、神経遮断薬もアセチルコリンの放出を抑えるため、顔面多汗症の治療に効果的だといえるでしょう。
近年では顔面多汗症を改善させるための手術もあります。交感神経を切断することで発汗を抑えるという手術ですが、ピンポイントで汗を抑えたい部位に手術することが出来るというもので、この方法なら顔の汗のみを抑えることも可能です。
ほかにも、顔面多汗症は精神的な緊張や興奮が原因で発症することもあるため、そのような精神的な不安を抑えるために精神安定剤を用いることで、体だけでなく顔面からの発汗も緩やかにしてくれます。
これらの薬品を使った治療以外にも、体の巡りを正常な状態にしてくれる漢方薬なども効果的だと考えられます。
顔面多汗症の予防・対策法 予防のために家庭でも出来ることをいくつかご紹介します。
発汗には大きく分けて3種類あります。それは、気温や体温が高くなると体を冷まそうと発汗する「温熱性発汗」、精神が緊張や興奮することで起きる「精神的発汗」、辛い物や刺激の強い物を食べることで起きる「味覚性発汗」です。
体温調節を司る自律神経の働きを健康な状態に保つには、規則正しい生活習慣が大切です。日の出ている時間は起き、夜はなるべく同じ時間に眠るようにしましょう。エアコンのきいた部屋にばかりいると、自分で体温調節ができない体になってしまいますので、適度に外出し、運動するようにしましょう。
そうすることで、正常な温熱性発汗が出来る体を保つことができます。
極度の緊張や興奮しやすい精神状態によって発症している可能性がある場合は、ストレスを溜めないように適度な休養を取ったり、場合によっては診療所などでカウンセリングを受けることをおすすめします。
極端に辛い物や酸味の強い物を食べることも顔面多汗症を助長させます。味覚性発汗を抑えるには、刺激の強いものを避けて優しい味付けのものを選ぶと良いでしょう。
それでも汗が止まらないという場合には、サラフェなどの制汗クリームや、汗を拭き取るタイプの制汗シート、汗や臭いを抑える制汗スプレーを利用することをおすすめします。
まとめ 生理現象として汗をかくのは仕方が無いことですが、常に露出している顔面からの発汗量が多いと、第一印象にも影響してしまうことがあります。発汗量が人より多いと感じる人は、まずは生活習慣や食べ物の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。
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