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posted by fanblog

2020年05月30日

サイレンヒルPT



『サイレントヒルPT』とはPS4でコナミから配信された、体験版のゲームである。現在は配信が禁止され、その内容の恐ろしさから伝説級のゲームにさえなっているほど。私はホラーゲームに対して恐怖心を抱くことはなかったが、PTに限って言うならば、傍から見るならまだしも、ソロプレイは土下座して勘弁するほどである。
一人視点のプレイと、イザナミの如く無限ループし、徐々に内装が変わるだけの内容なのに、その斬新な切り口のやり方は様々な反響を呼び、派生作品が出ているほどのものである。バイオ7でもPTのオマージュが出るほど。

【内容】


まず、主人公である男性は地下室と思わしき部屋で目を覚ます。プレイ直後に目撃するのは、リアル過ぎるゴキブリの交尾で「おげえ」となるが、プレイが進むにつれてゴキブリに安堵感を覚える。それほど怖いゲームなんですよ、イヤホントマジで。

主人公は立ち上がり、地下室から出ていくのだが、次に目の当たりにする部屋は一本道の廊下と酒瓶や写真に絵画、そうして「23:59」と表示された電子時計である。

廊下を過ぎると、左に曲がることができ、トイレ付き浴槽と、ギシギシと揺れながら天井からぶら下がっている照明を見ることができる。照明付近には出口である玄関のドアがあるが、電話がかからない限り、絶対に開くことができない。
浴室の方もある一定の条件を満たすと、出入りが可能であるが、いろんな意味でなるべく出入りしたくない空間である。

照明から更に進んだ先には、ラジオがあり、ゲーム内の設定的なヒントをくれる。ラジオが流す放送としては、「浴室で妊婦を殺害し、夫は車内でラジオを聴いていた」というものであるが、プレイを進めるにあたって、どのような状況なのか、ある程度理解できる。

ラジオの傍を過ぎると、地下に続く階段と扉があり、ドアを開くと地下室ではなくL字型の廊下に突入することになる。時計を見ても「23:59」から時間が変わっていないが、一本道の廊下を折れて、ギシギシと揺れる照明と浴室に、ラジオからの地下室のループを何度か繰り返していく内に、周囲が暗くなり、出てくるゴキブリの量も増えるだけではなく、明らかな超常現象が起こる。部屋も汚くなっていく。


僅かに開いていた浴室のドアを素早く閉ざす女性。

部屋中に響く赤ん坊の泣き声。

照明近くの窓ガラスの落下。

不穏な息遣い。



やがて、ループを繰り返すことによって浴室の中に入ることが出来るのであるが、そこにあるのはライトと、手洗い場と思わしき場所に歪な形をした赤ん坊と、大量のゴキブリに、壁を穿った弾痕である。明らかに貫通したこの銃跡は、室内が赤くならないと外側から観察できないなど、明らかに不自然。

ライトを手に浴槽から出、また地下室へ行き例の如く無限ループを繰り返すのだが、ラジオの放送内容が変わる。
「話を最後まで聞け」、「水道は危険だ」のあとの『後ろを振り返りなさい』といった指示がなされる。ここで振り返るか、そうしないかでゲームクリアの難易度がグッと上がるらしい。基本的にラジオの言うことを真に受けてはいけない模様。
やがて、幾度となくループを繰り返していくと、『後で電話します』の文字が画面一杯に広がると、主人公は地下室に戻る。

はじめの地下室とは違い、ゴキブリの代わりに喋る紙袋が出てくる。紙袋の中は、誰かの頭部が入っているらしく、「俺は俺だ」、「お前は俺か」、「やがて自分の背中を見ることになる」など、ループモノ特有のセリフを吐くのである。
紙袋を見た時点で気付いた人がいるかもしれないが、地下室の壁が妙……ズームインして壁面をよくみると、そこにあるのは遭難したときに日数を数えるアレがビッチリと刻まれている。その数は一つや二つだけではなく、数えきれないぐらいあり、このカウントは恐らく、主人公がループした回数だと思われる。

再び地下室から出ると、視界が真っ赤になっており、超高速で移動可能になる。精神状態がまともじゃないためか、視界がぼやけているが、外部からバスルームの中を覗くことが出来る穴(銃痕)を見ると、女性が殺される場面を目撃することになる。
殺害シーンが終わると動きが普通になり、またしても地下室へ続く階段へ行きループするのだが、浴槽以外に明瞭な変化が起きる。

まず、「23:59」が「00:00」と時間が進んでおり、照明の代わりにぶら下がっているのが血液を流す、もしくは粗ぶった動きを見せ赤ん坊の泣き声が聞こえる冷蔵庫を目の当たりにする。
やがて、写真の入手や歩数など様々なクリア条件に必要行動を行う必要があるのだが、PTで明確なクリア法は確立しておらず、「気が付いていたら終わっていた」というものである。まだ解明されていない部分があるのか、バスタブに首切り死体の女性があったり、洗面台を照らす明かりの色が赤や緑など、隠し要素がまだあると言っていいかもしれない。

【余談】


サイレントヒルPTの大まかな粗筋を把握するところ、

  1. 夫が仕事をクビになりやがて酒におぼれるようになった。
  2. 妻がパートで生計を立てるも、彼女が働くことが出来たのは店長に気に入られたからである。
  3. 一家心中の事件は同様の地域で複数回発生している。
  4. 事件発覚前、隣家に聞こえるほど謎の数字を夫が発していた。
  5. 夫が妻を殺害した理由は、店長との不倫を疑った。


といったところだろう。物凄く設定を分かり易く述べるなら、呪怨の伽椰子みたいなものだろうか。
だけど、「リサ許してくれ、俺の頭の中には化け物がいる」といった内容から、一家惨殺を行った夫は仕事をクビになる前から、他の一家惨殺同様、何かしらの怪奇現象にあっていたと思われ、色々矛盾がある。

PTは何の説明もなしにゲームが始まる上、L字型の廊下を歩く主人公が一家惨殺した本人なのか語られていない上、ラジオから流れる情報が他の一家心中の内容と混ざり合っているため、ますます謎が謎を呼ぶ。
主人公の背後を付きまとう幽霊もリサであると明言されていないので、さらに謎が深まる。でも、多分リサでほぼ間違いないんだろうけど。

一番不可解なところは、主人公がループを繰り返しているうちに廊下の絵画に銃痕があるのだが、そこから殺害現場を目撃している点だろう。穴の視点の高さのため、殺人犯の顔を拝めることはできないが、拳銃の音が聞こえず耳にするのは、刃物らしきもので惨殺する様子である。バスタブで首切り死体となった女性との関連性が疑われる。

果たして、L字型の廊下を進みループしている男性は実行犯なのか、目撃者なのか……目撃者であれば地下にいた理由も何となく分かるような気がする。


配信が終了され、やるかどうかは別として、現在ではプレイできない内容になっているサイレントヒルPT。
本編が発表されていたら、どのようなストーリー内容になっていたのか、開発と配信中止を含めて、非常にがっかりである。

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