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2016年04月20日

「座頭市1989年版」勝新太郎、奥村雄大、陣内孝則

座頭市と言えば勝新太郎の当たり役で、悪名や兵隊やくざと並ぶシリーズものの代表作である。

その勝が旧大映倒産後に、松竹のスタッフと久々に撮ったのが1989年版「座頭市」である。

勝のシナリオなど無視したアドリブで撮影を進めていくやり方に慣れない松竹のスタッフが戸惑いながら、また

撮影中とんでもない事故を起こして完成が危ぶまれた作品だができあがった映画は素晴らしく数ある勝新の

座頭市映画の中でも最高峰に位置する作品ではないか。


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最初に牢屋での揉め事で、市が古株にいじめられるシーンから汁物の茶碗を落とされてこぼれた汁をはいつくばっって


すするところから既に引き込まれていく。市が宿場を支配する五右衛門の賭場で丁半博打で勝ちすぎるところから

五右衛門一派に目をつけられ対立していく。

五右衛門は八州廻りの極悪役人と手を組んで町を支配する悪党だった。五右衛門は長老の穏健派のやくざを惨殺

するほどの冷血な男である。

市は賭場で五右衛門の子分と揉めるが菩薩のおはん(樋口可南子)と呼ばれる女親分の仲裁で危ういところを救われ

る。

丁度同じ時期、絵心のある奇妙な浪人(緒方拳)と市は知り合い意気投合する。しかしこの浪人の剣の腕は

すごく生活のために五右衛門の用心棒となる。用心棒になるための試験で相手を真っ二つにして五右衛門を

驚かせる。市とは後の宿命の対決を迎えるのだ。

市の戦いは八州廻りや五右衛門と対立するやくざの赤兵衛(内田裕也)を巻き込んで血で血を洗う死闘になっていくのである。

この作品は勝新最後の座頭市映画であり、当時初老であったにもかかわらず勝新の殺陣のスピードやタイミング

に衰えはない。

バイオレンスシーンの血糊の多さは、えげつないほどナマナマしい。顔に傷のある五右衛門(奥村雄大)や

八州廻り(陣内孝則)の悪党演技も冴えているのだ。この映画は撮影当時からトラブル続きで予算の大幅なオーバー

や度重なる脚本の変更とスムーズにいかなかった。

そして一番の問題は撮影中、この映画がデビュー作になる奥村にスタッフが間違って真剣を渡していまい

スタントマンを殺害してしまったことだ。

この事件で上映ができるか危ぶまれたがなんとか完成してヒットした。奥村は事故ということで無罪になったが

その後の役者人生に影を落としたことは確かだ。まあしかし座頭市は勝新という破天荒の役者でないと演じるのは

難しい。脇役にジョー山中や片岡鶴太郎も出ていて楽しい。

タグ:座頭市
posted by ハヤテ at 16:29| 時代劇
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