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2016年04月14日

「秘録怪猫伝」本郷功次郎、毛利郁子

日本には戦前から、化け猫映画の伝統があって入江たか子のような化け猫スター女優を生んだ。


1969年大映製作の「秘録怪猫伝」は量産された化け猫映画の1本である。時代は徳川将軍吉宗のころで

舞台は化け猫でお馴染みの佐賀である。佐賀藩主鍋島丹後守は、わがままで猟色家、気にいった女がいるとすぐに

手を出さずにいられないくず人間だった。佐賀の前の領主は龍造寺家で今は配下だった鍋島がとってかわり佐賀を

支配していたのだ。今は没落した龍造寺の当主又七郎は、鍋島家より捨扶持を与えられて糊口をしのいでいた。

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そして丹後守より時々誘いがあると碁の相手などをしていた。又七郎は盲目であったが碁の腕は確かであった。

又七郎には妹がひとりいて、その美貌を目に止めた丹後守は、ぜひ側室になるように又七郎に強要した。

しかし又七郎にも佐賀の前領主の一族のプライドがあった。丹後守の要請など一蹴し顧みなかったのである。

だが誇りを傷つけられたくず人間の丹後は、悪人の家老形部に相談して報復を考えたのである。

カゴを又七郎のもとによこしいつものように碁の相手をするように依頼してきた。だがこれは罠だった。

碁を口実に又七郎を殺そうと言うのだ。又七郎には可愛がっている猫たまがいたのだが、この日に限って

泣き喚き又七郎が城へ行くのを止めようとしたのだ。妹の小夜も妙に胸騒ぎを覚え兄を止めたが、又七郎は

気にとめず城へ向かった。丹後は妹の側室の件をもう一度考えてくれと懇願したが丁重に断られた。

しかし碁の隙を見て日本刀で額を真っ二つにして後ろから形部が背中を刺して殺してしまった。

形部は下人に命じて死体を処理するが、いつまでも帰らない兄を心配していた。そのときたまが血染めの又七郎の

打掛を加えて持ってきた。事を察した小夜は、自らの血でたまを魔性に変え丹後に復讐しようと考えた。

刀で小夜は腹を刺しその血をなめるたま、たまは龍造寺の恨みを晴らすべく妖怪変化に変身したのだ・・・

それから佐賀城では腰元が不可解な死をとげたのを初め怪異が起こりだしたのだった・・

キャストは竜造寺又七郎 が戸田皓久、丹後守は上野山功一、そしてその悪党顔で一世を風靡した戸浦六宏は家老

 形部を演じている。大奥を牛耳る腰元のひとりで化け猫に変身する澤乃井に、公開直前に事件を起こした毛利郁子

が扮している。そして警備を担当する小森は本郷功次郎が演じている。化け猫映画の典型的なスタイルでなかなか

楽しめる。化け猫に変身した女が、見られたことで発する「見たな〜」や行灯の油をなめるシーンや、猫手で相手を

操ったりとお馴染みのシーンが目白押しである。昔は化け猫映画はしょっちゅうテレビ放映されていたがすっかり

見かけなくなった。怪談好きなら一度は見ておきたい映画だ。物語のベースになったのが「鍋島騒動」で鍋島家と

龍造寺家の間でひと悶着あったのは事実である。化け猫についてはほんとうのところはよくわからない。

しかし江戸時代にはすでに歌舞伎になり上演されているのである。


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posted by ハヤテ at 19:29| ホラー映画
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