2023年01月28日
我が愛しのフラッグ(Instrumental)
玉置浩二『JUNK LAND』八曲目、「我が愛しのフラッグ(Instrumental)」です。
ボロロロロン!とナイスすぎる弦の響きとハーモニクス、なにやら高音の声系シンセ、そしてピアノと(おそらくエレキ)ギターの単音弾きが絡み合ってメインメロディーを、そしてなにやら尺八のような笛の音がオブリを担当し紡がれてゆくインスト曲です。この曲もベースは須藤さんが弾いているとクレジットされていますが、かなり控えめな音で、注意していないと気づきにくいです。
「フラッグ」は十三曲目の「チャチ」と同じく、当時亡くなってしまった愛猫の名前だとどこかで読んだのですが、もうソースは忘れてしまいました。曲の最後にウインドチャイム、セミの鳴き声が入ってそれに重ねて猫の鳴き声、猫鈴の音が入っているのですが、当時のわたくしにはその意図はわかりませんでした。なにしろ玉置さんが猫好きであることすら知らなかったのですから、これはわたくし相当の情報弱者と言わなくてはなりません。
そしてわたくし、猫どころか生き物を飼ったことがありませんのでその生態はわからないのです。ですから、この玉置さんの「我が愛しのフラッグ(Instrumental)」から想像したいと思います。
夏の日、爽やかな風が吹き込む縁側のある部屋で麦茶なんか飲んでいます。猫は縁側に寝そべったり、そこが暑くなるとちょっと涼しい場所に移動してまた寝そべったりしています。きまぐれな猫の思惑はわかりませんが、敵意がないこと、自分にとって快適であることを最優先に行動していること、とつぜん飛び掛かってきて麦茶を倒すようなことはしないこと、つまり飼い主の生活を脅かす意図はないこと、これらは確実であり、一緒にゆっくり過ごすことのできる生き物です。この曲がピアノを中心にして、ギターがそれに気まぐれに合わせてみたり外れてみたりすること、それでも曲としての調和を見事に保っていることからそのように推察できるわけです。ええ、これは名探偵ホームズが落ちていた帽子からその持ち主を「知性のすぐれた人物だ、容積の問題だよ。こんなに頭の大きな人物なら脳も発達しているに違いない」などと推理したくらい無茶です(笑)。
無茶なんですが、結構こうした推理は当たるものでして、玉置さんは猫たちを愛し、きまぐれな猫たちもその愛に答え疲れた玉置さんの心身を癒していたのでしょう。この曲には修羅場のシュの字も感じられません。ただひたすらに心地よく、ひたすらにゆっくりと、ひたすらに自由でありながら全体の調和を崩すことがありません。毎日スタジオに通ってレコーディングし、何か月もツアーに行く玉置さん、その間猫の世話はどうしていたのかはともかく、帰ってきた玉置さんをいつでも自然に迎え、日常をキープさせてくれる存在であったことは想像というか推理に難くないのです。肩の凝らない家族みたいなものです。
データ販売でなくCDをお買いになったかたは、歌詞カードの中に玉置さんと猫のツーショットが三枚含まれていたことにお気づきになられたことと思います。これらの猫ちゃんに「フラッグ」と「チャチ」は含まれていたのでしょうか……何しろ亡くなったとどこかで読んた記憶がありますから、なんともいえないのです。写真は全部で12枚、そのうち三枚が猫ちゃんです。ほかに、ツアーメンバー、野球のユニフォームを来た八人(九人じゃない?)、卓の前のエンジニアらしき人たち、ストリングスのみなさん、パーカッションを叩く玉置さんなどなどの写真に加え、武沢さんを除く安全地帯の四人で撮った写真もあります。どれもこれも、90年代の風景で、わたくし縁もゆかりもないのに、なぜかとても懐かしくなって涙が出てきます……。
猫は平均で十数年を生きます。ですから、フラッグとチャチは80年代から生きて、そしてそのうち何年かを玉置さんとともに暮らし、玉置さんを支えていたのでしょう。ですから、わたしたちはフラッグとチャチに感謝すべきなんです。素晴らしい音楽を届けてくれる玉置さんを支えてくれてありがとうと。玉置さんもそうした感謝の気持ち、惜別の気持ちをもって、この曲を作り、そしてその名前を曲名に残したのだと思われるのです。
いま気づきましたが、こんなこと書いてしまって「おやすみチャチ」の記事では何を書けばいいんだ!(笑)相変わらず後先考えないバカなのでした。
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