アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2024年04月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
夢見る人 by トバ (04/30)
夢見る人 by よし (04/30)
夢見る人 by トバ (04/29)
夢見る人 by ちゃちゃ丸 (04/29)
太陽になる時が来たんだ by トバ (04/26)
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
toba2016さんの画像
toba2016
安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
プロフィール

2022年01月06日

元気な町


玉置浩二『カリント工場の煙突の上に』九曲目、「元気な町」です。アルバム発売の前月にリリースされた先行シングルでもあります(カップリングは「カリント工場の煙突の上に(Single Version)」でした)。

三菱地所CMソングでもあったそうです。うーむ観た記憶がありませんが……デベロッパーにとっては、この歌が昭和の神居を歌ったものであるということなどどうでもよかったのでしょう。

遠くから子どもたちの声が聞こえてきます。団地内の公園……かつてはこのくらい多くの子どもであふれていたのかもしれません、わたくしの記憶の範囲内ではこれは市民プール並みの喧騒です。私が子どもの頃はこの声の中にいましたので、傍からこんな声を聞いた実感がいまいちないなあ。そんなことを思いながら昭和の時代に思いをはせていると、アコギのキレイなアンサンブルが始まり、玉置さんの「オオオー」が入ります。ギリギリこんな歓声を上げていた少年のころにはじめて耳にした玉置さんの声(い―まー以上〜こーれー以上〜)には違いないんですが、あの頃とはまったく彩りが異なります。なんという声!そしてギター!少年時代どころか、幼少期にまで意識をふっとばされるような強烈な郷愁!サビのメロディーをなぞる高音のギターと低域をえぐるギターとがアルペジオで連結され、眼前にはただただ、赤みがかったコニカ百年プリントの幼児期がよみがえってきます……。そういやグラウンド端の用水路に落っこちて土手を泣きながら帰ったなあ(笑)。ベースがズシーンと入り、お兄さんの叩いたドラムが始まります。ズバン!ズバン!といいドラムですよね、さすが元祖安全地帯!機材や録音の仕方の問題かもわかりませんが、そんじょそこらのアマチュアドラマーではこの存在感あるスネアは出ないように思います。すっかり言及を忘れていましたが、「大きな”いちょう”の木の下に」「キラキラ ニコニコ」そしてこの「元気な町」、さらに次曲「青い"なす"畑」にお兄さんのドラムがクレジットされています。いま観られるかどうかわかりませんが、90年代にNHKで放映された「玉置浩二 37歳のメロディー Wine Red & White Snow」でドラムを叩くお姿を拝見することができたと思います。

そして玉置さんのボーカルが始まります。なんと明るい声!演奏も基本明るいですが、前曲までのダークさが一気に吹き飛んだかのような、吹っ切れた明るさです。ボーカルだけなら『CAFE JAPAN』の明るさに匹敵します。これが、前曲までのダークサイドからの転生、再生を思わせる劇的なドラマ感を演出しているように思われるのです。ムリヤリいうならば起承転結の「転」なのですが、位置づけ的にはこの「元気な町」と次の「青い”なす”畑」で律詩の「尾聯」を構成しているという、なんだかわからない既存の構成法にはあてはまらない排律っぷりです。だって前の曲までダークで重くて辛かったんだもん!(笑)こういう曲の来るのを今か今かと待っていてやっと来たって感じでした。この曲がここにあることで、どれほど精神的に救われることか。

「しかられても あつまって 遊んでた」って、これだけで一気に気分は少年期!少年期は叱られますよね、何やったかは全然覚えていませんが。そして集まりますよね、親とか先生とかのところにいるのを「集まる」とは言いません。少年たちだけのソーシャルに居たいのです。いま思うと別に親や教師だってそんな理不尽なことを言っているわけではなかったんだと思いますが、それがウザくてたまらないんです。いうこと聞かずに、自分たちの心身をフルに稼働するような遊びだけをして、尻は大人に拭かせます。用水路に落っこちても洗濯は自分でしません(笑)。居心地いいというか、そこが本来の居場所であるような感じすらするんですよね。教育の世界では「ギャング・エイジ」とか呼ばれる時期、「みんな輝く季節」です。Wikipediaで「ギャングエイジ」を調べてみると、年齢が高くなるにつれて性別やら多様性やらのせいで集団が小さくなる、そのうち内面への関心が強くなり集団は消滅する、なんて寂しいことが書いてありました。そういやそうだなー、小学校の頃はそんなにいろいろな奴ってのはいなくて、みんなゴチャッと遊んでたよな、中学校以降だと似たような奴ってのが出てきて、そいつらとばかり集まってた気がするな、と思わされます。

さて「その目に何が見えたの」と玉置さんが問いかけるように音程を上げ、曲はサビに突入します。「good time」とこのアルバム唯一の英語サビ、しかもハモリ付きです。このアルバムどころか、前作『あこがれ』にもありませんでした。玉置さんも松井さんも須藤さんも英語をやたら使うタイプではありませんから、このパターンは今後をあわせても非常に珍しいのです。Zeppelinの「Good Times Bad Times」を一瞬思いだします。いい時期もありゃ悪い時期もある、これがおれの身の丈に合った取り分ってことさ……玉置さんも、少年時代がgood time、そしてこの苦しんだ時期がbad timeだとすれば、そんな時期にgood timeであった少年時代に思いを馳せるのはごく自然なことといえます。同様のテーマで作られたであろう曲「メロディー」はその決定版の郷愁を感じさせますが、あの苦しい平成不況の時期bad timeに、消沈した大人たちにgood timeを思い出させてくれたからこその人気だったといえるでしょう。

そんなgood timeへのトリップに遊んでいる間に曲は二番に入ります。「手をたたいて だきあって 喜んで」って、もう何で喜んだのか覚えていませんが、みんなで喜び合ったことは覚えています。多分つまらないことなんですよ、川に石を投げたら五回水面上でバウンドしたとか、ドッジボール大会で学年優勝したとか、その程度のことです。でも、みんなで喜び合った記憶はかけがえのないものです。うれしかった、そのうれしさを分かち合えた、そのことがうれしくってずっと心に残っていた……そんな仲間と「さよならの日」には寂しくて名残惜しくてずっと手をふった、そんな記憶のあれやこれやが次々と去来します。飛行船のように「風に浮かんだ帽子」なんて見たことないのに、見たことあったんじゃないかとすら思わされるほどのメモリアクセスパワーです。松井さん作詞の「ゆびきり」に登場したモチーフですから見たことあった気にうっかりなりますが(笑)、「夢をはこぶ飛行船」はわたくしの少年時代にはなかったようです。

good time「を」世界中からとどけて、good time「において」愛し合えるさと、ラブ&ピースなサビが朗々と歌われます。Zeppelinのようにブラウンアイの男に恋人を奪われるようなことはありません、あ、それはbad timeか(笑)。でもそんなラブ&ピースなgood timeを思いだすのはbad timeのときなんです。ですから、この明るい歌を歌っているときの玉置さんはいかほど苦しいときを過ごしていたのかと、こちらまで胸が痛くなってきます。

痛くなってきた胸をかき鳴らすかのように、「思いだすのさ」の裏に美しい鈴なりのギターが響き、そのまま軽快なギターがソロを奏でます。途中から子どもの歓声が入り、歌が始まっても止みません。「一日中笑って」「ずっと泣いて」と喜怒哀楽を一瞬で通過し、すぐに最後のサビへと突入してゆきます。

「きみとならんで」?そういや最初のサビでも「きみと二人で」って言ってたな……もしかしてこれギャングエイジの歌でなくて恋人との歌なの?いやいや、「みんな笑顔」って言ってるし第一「あつまって」るもんな、この「きみ」はきっと相棒、「みんな」の中でも特に仲良しのバディーなんだ!そういうことにしよう!(笑)。思いだしてみれば、ギャングエイジにあっても相棒的な友人はいたような気がするのです。もう電話番号もわかりませんが。実家の母に訊けば消息くらいは知ってるだろうけども、あえて連絡することもありません。good timeのことは遠すぎてもうあんまり覚えていませんし、bad timeの話は酒場で一晩話せばそれで終わりにすべきつまらない話だからです。うーむ、玉置さんはご友人が入れかわり立ちかわりご訪問なさって玉置さんを癒してくれたそうですから(『幸せになるために生まれてきたんだから』より)、なんという人徳の差!(笑)。ですから、ここで歌われるgood timeはどれほどgoodだったのかと、安易に自分の少年時代を重ねるのを申し訳なく思わされるんですが、それしかないんだから仕方ないじゃん!と開き直りたい心境でもあります。「生まれた町」だって、リスナーそれぞれ違うんですから、みんな自分のgood timeを、自分のbad timeに思いだしながら聴く、というのが正解なのでしょう。前曲までのダークサイドと違って多くの人が楽しめるこのオープンな感じは、新たな玉置浩二の世界への跳躍を予感させます。

「玉置浩二 37歳のメロディー Wine Red & White Snow」ではそんなに大きくないホールでお兄さんをドラムに、石川さんをギターに、そして多くの地元のみなさんをコーラスに、一緒にステージに上がり、最後の「ララララーラー」を合唱していた記憶があります。何せもう25年とか前のことですからその記憶も定かではありませんけども……

そして子どもたちの歓声の中、Simon & Garfunkelの「早く家へ帰りたいHomeward Bound」を思わせるギターで曲は終わります。ホーム、僕の思惟が逃げ込める場所、ホーム、僕の音楽が流れる場所、ホーム、愛しい人が静かに待っていてくれる場所……いや、玉置さん、わざとでしょ!この終わり方!(笑)。

そんなわけで、「夢の都」「ともだち」から始まって、「メロディー」へと続いてゆく一連の望郷ソング系譜にあって、中興の祖とでも言うべき「元気な町」でした。あれから30年弱、三菱地所のニュータウンもそろそろあの頃の子どもが当時の玉置さんくらいのトシになってるくらい時を経ましたね。みなさんの「元気な町」「生まれた町」がgood timeという宝物をみなさんに思い出させることを祈念しております!

カリント工場の煙突の上に [ 玉置浩二 ]

価格:2,684円
(2022/1/5 14:03時点)
感想(0件)


【中古】 元気な町 /玉置浩二 【中古】afb

価格:500円
(2022/1/5 14:04時点)
感想(0件)


Listen on Apple Music
【このカテゴリーの最新記事】
この記事へのコメント
道東なんですね。一度しか行ったことないですが、あの空と大地の広さには北海道人のわたしさえ圧倒されます。わたしも道南の田舎町にいたことありますから少しはわかるつもりですが、道東は神秘な感じがプラスされます。

おお、そうでした残り二曲まで来られました。奇跡のようにとびきりおセンチなやつ。「夜想」聴いて気合い入れて書かせていただきます!
Posted by トバ at 2022年09月17日 07:16
覚えていただき嬉しく思っております。「元気な町」=私にとっては道東の田舎で町全体が野原一杯の町でした。「元気な町」が夏を連想させ「夜想」はこれからの季節に聴きたい曲です。「CAFE JAPAN」のラスト2曲のブログを拝見しながらおセンチモード全開になりそうです(笑)
Posted by フレディ at 2022年09月16日 15:49
おおフレディさんお久しぶりです!あれから「夜想」を聴き直して一時期そればっかり聴いてましたよ!

幼少の頃の……思いだしますねえ。町が元気なんですよね。たくさんある公園にはいつもどこにも子どもがいっぱい!わたしの「元気な町」にはまだ実家がありますからいつでも訪れることができるんですが、小学校はもう学年一学級ずつになってしまったそうで子どもの声は聞こえてこないのです。あの頃の元気な町に訪れたくなりますね。
Posted by トバ at 2022年09月16日 08:44
5年ほど前に「ほゝえみ」のコメントをさせていただいたものです。この「元気な町」も大好きな曲の一つです。この曲を聴くと幼少の頃に育った田舎町のことを思い出し、その町をゆっくり訪れたい気持ちになります。
Posted by フレディ at 2022年09月15日 23:38
「町」だからトトロみたいに牧歌的で、これが「街」だったらちょっとはチャラいですね、たしかに(笑)。それにこのアルバムでは異色といってもいいくらい普通の曲だしちゃんと曲っぽいです。これが異色なのがこのアルバムのもの凄いところです。

お兄さんはもともと安全地帯のドラマーで、かつ玉置さんの一番のファンを自認しているそうで、こんなときにおれがスティックもって浩二を助けないでどうするんだ!という、なんというか、あまりにステキなお兄さんです。仲良しだし、頼れますね!

そうです、この曲がこのアルバム唯一のシングルなんですよ。田園以降と通じるものがあって、ベストでもそんなに違和感ないように思っています。
Posted by トバ at 2022年01月17日 08:15
今日読み返してて気付きましたがこの曲は確かベストアルバム買ったらそれに入ってたので、時々聴いてます!
これだったなんてびっくり!!

シングルだったんですね。確かにこのアルバムの曲だからか今までと違って全くチャラくはないけどこれは普通の曲ですよね。個人的にタイトルの「町」が「街」だったらちょっとはチャラいんですけど「町」だからトトロみたいな感じです。でもちゃんと曲っぽいし、普通に良い曲ですよね。それから玉置さんのお兄さんもドラムできるとかすごいですね!兄弟仲良し(^-^)
Posted by りさ at 2022年01月17日 01:17
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/11190606
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック