2017年03月18日
チェコだから……ヘリコプターが飛べないかも(三月十五日)
ニュースを見ていたら、救急ヘリコプターが出動した件について、営業時間外だったから報酬を支払わないとかいう話が聞こえてきて、えっと思った。
これも最初聞いたときには理解できなかったのだが、チェコで緊急搬送用のヘリコプターを運営しているのは、地方政府と契約を結んだ一般企業である。いや、正確には制度が二転三転していて、現在では企業が担当している地方もあるというのが正しい。今でもいくつかの地方は警察や軍に、お金を払って救急ヘリの業務を委託しているのである。
そのヘリ運営の会社をどこにするかで、入札が行われるのだけど、特に担当業者が変わるときに、問題が発生して入札のやり直しとか、前の業者と暫定的に一月契約を延長したとかいうニュースが聞こえてくる。入札価格が異常に低くてこれで運営できるのか信用できないとかいろいろあるようである。こういうのは安さだけを求めるものでもないのだから、もし警察か軍のヘリが活用できるのであれば、それを使うのが一番いいような気はする。
オロモウツ地方では、昨年の入札に勝ったスロバキアで救急ヘリの運営を手掛けている会社が、仕事を始めている。しかし、初めてすぐに、ヘリが一機しかなく、その一機が故障してしまうという事態が発生して、問題視されていた。故障自体は大したものではなくすぐに修理できたらしいのだが、その修理中に、ヘリが必要な事故が発生したらどうするんだということで、オロモウツ地方は業者に二機目のヘリを確保するように要請し、現在は二機で運営されている。
そう言えば、去年の上院の選挙に、オロモウツ地方のヘリに乗るドクターだという人が、立候補していたけれども、運営する会社が変わった今もヘリのドクターを続けているのだろうか。ちょっと気になる。
それで、昨年まではヘリの運行時間は日の出から日没までだったという。つまり暗くなってヘリの飛行が危険な時間以外なら飛ぶということだったのだろう。それが今年の一月から法律が変更されて、病院と同じように営業時間が決められたらしい。始業時間は通年で朝七時、終わるのは一番短い十一月から一月が午後四時、五月から七月が午後九時までということになっている。
問題なのは、営業時間外だけれども、十分に明るくヘリで飛べる時間帯にどうするかである。一月には、ある地方のヘリが営業時間開始の一分前、六時五十九分に出動し、患者を病院に運んだ。それから終業時間を少し超えた時間に出動した事例もあるらしい。この手の、いわば時間外出動に対して、管轄の厚生省がお金を払えないと言っているというのがニュースの主題だった。
ニュースでは問題にされていなかったけれども、地方と業者が結んだ契約は落札した価格で、出動も含めた救急ヘリの運営のすべての経費を賄うものではなく、制度を維持するための人件費などの経費にかかわる契約で、実際の出動にかかる経費はまた別に請求するという形の契約であるようだ。出動にかかる経費も含めた契約だと、出動回数が少ないほうが利益が大きくなるから、営利目的の出動拒否なんてことが起こりかねないのか。
ヘリの運営会社の人は、営業時間がどうであれ、ヘリが必要だという連絡が来て、空の状態が飛べるようだったら飛ぶのが仕事だとか、出動する際に時計を見て営業時間を確認するようなやつはいないとか、なかなかかっこいいことを言っていた。実際につい最近も営業時間外の飛行でヘリでなければ助けられなかった人を助けたという事例もあるらしいし、今後もこのやり方を変えるつもりはないと言っていた。
ただ、この手のただ働きを続けていると、会社が苦しくなって運営に支障をきたす可能性もあるので、問題提起をして、せめて以前の時間で切るのではなく、日の出と日没で切る営業時間に戻すことを求めているということのようだ。厚生省側は、法律が改正されたばかりというメンツもあるのか、この手の時間外出動に関しては、個別に対応していきたいというコメントを出している。
とまれ、現時点では、チェコの山の中や、人里離れた場所に出かけて大けがをする場合には、午前七時以降、午後もできるだけ早い時間にしておくほうが無難なようである。無難を目指す人は最初からそんなところには行かないか。
3月16日12時30分。
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