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2020年09月07日

サッカーチェコ代表の危機(九月四日)



 今日は、武漢風邪騒動で活動を完全に中止していた代表チームの活動再開後の初戦が行われる。去年始まったヨーロッパのネイションズカップの二年目も、チェコはBカテゴリーで、スロバキアと同じグループに入った。そのスロバキアとのブラチスラバで行われる試合は、代表チームの不手際によって、勝つか負けるかよりも、開催されるのかどうかが問題となる事態になっていた。
 代表チームから陽性者が出たというニュースが最初に流れたのは、火曜日のことだっただろうか。すぐに選手ではなく、スタッフの一人だったという情報が出てきたため一安心だったのだが、そのスタッフがマッサージ担当で、検査の結果が出る前に選手たちにマッサージを施していたというから話がややこしくなった。

 一時はチーム全体が隔離される可能性もあると言われていたのだが、それは保健所との話し合いでなくなり、確認のための再検査が行われた。その検査では選手、関係者全員陰性で、無事に活動が再開できるかと思ったら、代表の感染対策の不徹底ぶりに不満なクラブ側から、選手を引き上げたいという声が出てきた。特に大量の選手を送り込んでいるスラビアはチャンピオンズリーグの最終予選を、選手の数は少ないけれどもプルゼニュもヨーロッパリーグの予選を控えており、代表で選手が感染した場合予選に出場できなくなるのを恐れたようである。
 その後、クラブ側とサッカー協会側の話し合いで、選手の全員引き揚げはしないことが決まった。ただし、スラビアの選手に関しては、第三ゴールキーパー扱いで出場の可能性のほとんどないコラーシュはチームに戻ることが決まった。スラビア側は中盤のマソプストも戻したかったようだが、最終的にはブラチスラバに向かったようだ。代表側が所属チームをもとにグループ分けをして、どうしても必要のある場合以外は、グループ単位で行動させるという対策を約束したことで、スラビアのオーナー、トブルディークが軟化したとも言われている。

 これだけであれば、代表チームに与える人的な面での衝撃はそれほど大きくなかったのだが、陽性判定されたスタッフの行動を調査していた保健所が、現在のチェコ代表で最も重要な二人の選手に対して、隔離の指示を出したのである。恐らく検査の結果が出る前にマッサージを受けた選手なのだろうが、それがよりにもよって、ソウチェクとシクというのだから、監督のシルハビーとしてはたまったものではない。
 ウェストハムで完全に主力となっているソウチェクはともかく、シクは、木曜日に移籍(レンタルかも)先として交渉が進んでいるレバークーゼンでメディカルチェックを受けて、最終調整をする予定だったのに、チェコから出られなくなってしまった。昨シーズンレンタル移籍で活躍したライプツィヒと、所属先のローマの間で駆け引きが続いて、なかなか新シーズンのチームが決まらず、ようやく決まりそうになったら、これである。サッカー選手も大変だ。

 一番の問題は、代表チームの選手、関係者が集結して、最初に行われた全員の検査の結果が出る前に、活動を始めて、身体的な接触を伴うマッサージまでさせてしまったことである。代表側は、集まる前の検査では全員陰性だったんだと言い訳をしているが、今日の陰性が明日の陰性を意味しないのがこの手の感染症の怖いところだと、春の流行最盛期に繰り返し指摘されていたはずだ。だからこそ、感染が疑われる人は検査で陰性の結果が出ても、一部の例外を除いて一定期間の隔離が義務付けられているわけである。
 チェコ代表は、当初の予定より一日遅れで木曜日に、予定された空路ではなく陸路でブラチスラバに向かった。今日の試合前に再度の検査が行われるのかどうかは知らない。しかし、恐らく来週のオロモウツでのスコットランドとの試合の前には、もう一度検査が行われるはずである。何だか、試合が行われただけで勝ちと言いたくなる。

 なんてことを書いたら、試合前の検査でさらに一人、チームスタッフから陽性者がで多というニュースが入ってきた。幸いなことにスロバキアの厚生省が許可したので試合は行なわれたが、チェコで同じような事態になったらどう対応するのだろうか。試合のほうは、前半にスロバキア側で負傷で交代する選手が二人出たせいもあって、チェコが終始優勢で進み、後半開始早々に2点取れたこともあって、最終的には3−1で勝利した。
 その後、さらに代表を巡る混乱が拡大したのだが、これについてはどうなるのかはっきりしてから改めて書くことにする。
2020年9月5日12時。










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