2020年03月13日
混乱するチェコ社会(三月十日)
今日準備期間なしに発令された新たなコロナウイルス対策によって、チェコ社会に混乱が広がっている。特に大学も含めた各種学校の授業禁止と、参加者100人以上のイベントの禁止が、その解釈、適用のしかたを巡って混乱を起している。幼稚園と、一部の子供たちが放課後に通う芸術学校は対象外だけど、園長、校長の裁量で閉園、閉校にしてもかまわないという。
義務教育の、日本の小学校、中学校に当たる基礎学校と高校では、宿題を課して自宅で勉強することを求めるようだが、中学生、高校生が素直に自宅に閉じこもって勉強するとも思えない。実技が中心の専門学校、専門高校になると、自宅学習でできることはそれほど多くないし、休校命令が長期化すると試験や卒業審査なんかでも大きな問題になりそうだ。
大学は、可能であればネットを使ったオンライン形式の授業をと言うのだが、火曜日に決めて水曜日からというあわただしさでは、技術的にはある程度対応できても、時間の問題でできないというところも出てきそうである。だからなのか、ブルノのマサリク大学では学長権限で二週間のお休みが与えられることになった。
大切なのが重症化して死に至る可能性の高い高齢者を守ることだと考えれば、外出させないようにする対象は、子供たちではなくお年寄りだと思うんだけどね。イタリアのデータでは、亡くなったのはすべて60歳以上の人だと言うし。だから、年齢の高い先生を自宅待機にして、その授業を休講にして、高齢者と同居している子供に関しては個別に自宅待機を検討すればいいと思うのだけど。自宅に隔離すべきは高齢者と病人であって、運動の必要な健康な子供たちではない。
100人以上のイベント禁止に関して、文化省とその管轄下の役所が管理している施設に関しては、劇場、博物館、お城などすべて閉鎖されることになった。お城などは4月1日のシーズンの始まりに向けて準備を進めていたところのようだが、シーズン開始が何週間か贈れることになる。劇場に関しては私営でも休業を求められたのか、俳優のヤン・フルシンスキーが、バビシュ政権に対する怒りをぶちまけていた。もともと反バビシュ政権の人だから、この機会に日ごろの鬱憤をということだったのかもしれない。同じように反バビシュの俳優たちもフルシンスキーを支持する声を上げているようだ。
映画館でも、収容人数が多いところは営業を停止するところが多いようだが、一部の映画館では、定員を99人に変更して営業を続けることを決めている。一回の上映あたり99枚のチケットしか売らないように調整するというのだが、その99人の中に映画館で仕事をしている人は含まれていない。このニュースだけだと問題ないように思われるが、スポーツのイベントに課された条件と比べると、このやり方はおかしい。
スポーツ界の混乱を如実に反映していたのが、火曜日に行われたアイスホッケー関係者の記者会見である。最初は100人以上というのを観客の数だと解釈していて、現在進行中のプレイオフに関しては、ホームチームが99人の観客を選んで入場させればいいだろうなんてことを言っていた。映画館のやり方を考えればこれでいいはずである。
それが、政府から連絡が入ったことで大混乱が巻き起こった。政府の見解では、観客だけでなく会場のスタジアムにいる人は、選手もチーム関係者も、スポーツ記者たちもすべて数に入るというのである。アイスホッケーは出場選手は1チーム6名だが、交代選手を入れればベンチに入るのは20人を超える。それに監督やコーチ、チームドクターなんかを入れると、チーム関係者だけで、40人を超えても不思議はない。それに、審判などのアイスホッケー協会関係者、テレビや新聞などの取材記者などを加えたらすぐにリミットの100人を超してしまう。
だから、観客以外の会場にいる人も含めて99人までという情報に、アイスホッケー協会の関係者が、「そりゃホッケーの終わりだ」と思わずこぼしたのも当然なのである。スパルタやリベレツなどの資金に余裕のあるチームは抱えているスタッフの数も、スタジアムで仕事をしている人の数も多く、1チームだけで100人を超えかねないという話である。つまりどうにもこうにも観客を入れる余裕はないということになる。
そこで、疑問なのが、上にも書いた映画館の場合で、映画館にだって上映中仕事をしている人はいるから、観客を99人いれたら、リミットを越えてしまうはずだ。逆に言えば、映画館が99人の客を入れられるのなら、スポーツのイベントも同じ扱いにしないとおかしい。この辺、検討の時間もないまま突然導入した対策であることが見て取れる。
結局、アイスホッケー協会では、火曜日の夜に行われた2試合だけは無観客で行うことを決め、その後の試合をどうするかは、今日水曜日に決めると言っていた。状況はサッカー界も同じで、サッカー協会が管轄する3部よりも下のリーグに関しては、どうせ観客も多くないので、100人以上の人が会場に集まらないように徹底した上でリーグ戦の継続を決めたが、サッカープロリーグ協会が管轄する1部と2部の試合をどうするかは、こちらも今日水曜日に決めるらしい。
水曜日には、二月末にグラウンドの芝の状態がひどすぎて開催できなかったテプリツェ−リベレツの試合が予定されていた。この試合に関しては、無観客どころか取材の記者たちも排除して開催することが決められたのだけど、グラウンドの状況が再び悪化したため、さらなる延期が決められた。週末の試合も、中止になってもおかしくないぐらい芝の状態が酷かったからなあ。
スラビアのオーナーのトブルディークは、観客のいないサッカーなんて意味がないと、無観客での試合ではなく、延期を主張している。今度の週末にスパルタを迎えて試合を行うプルゼニュでは、入場券の払い戻しをすでに始めている。
2020年3月10日24時。
木曜日にはさらに大きな展開が待っていたのだけど、それについては木曜日の分で。
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今回こんなに大騒ぎになるとは正直思っていませんでした。
月曜日(9日)に大学が大学病院での実習禁止を決めたのですが、学生が患者さんと接触する機会をなくしつつ授業は続ける、というのは英断だと思っていました。
それが突如、全ての授業と国試を除く試験はキャンセル(今では来週の国試があるかも不明)となり、やりすぎだと個人的には思っています。
先生が書かれていた通り、新型コロナはそこまで危ないものではなく、ここまで騒ぐ意味がわからないです。先生のような冷静な判断ができる人が多ければよかったのにと思ってしまいます。
木曜日の出来事に関してはもはや言葉が出ませんでした。病院や老人施設の訪問を規制しつつ他は通常運転、強いて言えば休むことのハードルを下げる(私の場合になりますが、実習は結構出席が厳しいので…)程度で十分なのではと首を傾げざるを得ません。
長々と失礼いたしました。
今後どうなるかわかりませんが、この迷走が早く落ち着くことを願っています。