2020年03月06日
チェコテレビのコロナウイルス関係の報道(三月三日)
民放のノバやプリマが今回のコロナウイルスをめぐる騒ぎに対してどんな報道をしているのかは、特に興味もないから知らないが、チェコテレビでは極めて正確な報道がなされている。2011年の福島原子力発電所の爆発の際もそうだったけれども、日本とは違って、アナウンサーや、テレビ局の自称専門家、タレント上がりのコメンテーターなんかが好き勝手に自分の見解を垂れ流したり、不正確な情報をもとに政府を批判したりすることはなく、政治家を除けば、常に専門家、しかも理論家ではなく現場で働く専門家にしか見解を語らせていない。
ニュースでは、中国の病院の様子や、チェコで感染者が出たときの対応などを報道するので、どうしても劇的な印象を与えることになってしまう。それで、不安を感じる人もいそうである。ただ、意見を求められた専門家が、病気を過剰に大きく評価して恐怖をあおるような発言をするのは聞いたことがない。当初は情報が不足しているので、はっきりしたことは言えないという答えが多く、現時点では学校の閉鎖などの全国的な対策が必要なレベルの病気でないという答えをよく聞く。
ニュースだけでは細かい情報が伝わらないからか、チェコテレビのニュースチャンネルでは、4人の専門家を呼んで、視聴者のさまざま質問に答える形式の番組を放送していた。質問者の中には、病気を恐れる人、逆に恐れない人など様々な人がいたが、アナウンサーは感情的に質問者の気持ちを代弁することはなく、専門家に質問を割り振りする司会の役に徹していた。
呼ばれた専門家は、二人は医療関係で、保健所で防疫対策にあたっている伝染病の専門家と、ウイルス性の感染症の専門家。こちらがどこで仕事をしているかは確認しなかった。三人目は旅行業界の代表者でイタリアへの旅行のキャンセル云々について答えるために呼ばれていた。四人目は労使関係を専門とする弁護士で、職場でのコロナウイルス感染症関係で起こりうる問題について答えていた。重要なのは、自分の専門分野以外のことに嘴を挟む人がいなかったことである。
病気そのものに関しては、医療関係の専門家二人が口をそろえて、そんなに大騒ぎするほどの病気ではないと語っていた。アナウンサーがちょっと死亡率の高いインフルエンザのようなものかと尋ねると、それはそうだけど、その死亡率も、WHOが出した3.4パーセントという数字がどこまで正しいかわからないと言って説明を続けた。
それによると、現時点でも感染者の約40パーセントは、症状が出ない感染者だと言われている。その場合、せいぜい朝起きたときに何かだるいなと思う程度で済んでしまう。そんな人が医者に行くわけもなく、自覚症状のない感染者が実際にどのぐらいいるかはわからないから、3.4パーセントという数字は最大に見積もったときのもので、実際にはずっと低い可能性もあるというのである。
これは毎年流行するインフルエンザも同様で、ただ、インフルエンザの場合には毎年のデータの蓄積があるから、ある程度実際の感染者数を推測することができるけど、今回のコロナウイルスは新しい病気のために過去のデータがないので推定も難しいらしい。ということはこちらが求める比較も難しいということか、残念。
新しい病気だということは、免疫を持つ人が皆無だということである。これが、毎年流行を起こして免疫を持つ人の多いインフルエンザよりも感染者数が増えやすく、広がるスピードが高い理由だという。だから、ある程度特別な対策が必要なんだと、普通のインフルエンザと同じ扱いでいいんじゃないのという視聴者からの質問に、答えていた。感染が急速に広がるのを防ぐのも大切だけど、次に発生したときのために情報を集めることも大事なんだと理解するべきか。
日本だとこういう番組に対して、政府の圧力が云々と言いだす人が出るのだろうが、それはありえない。番組の初めの方で、政府のこれまでの対策について聞かれたときに、他に移動手段のない中国、韓国への飛行機の便を停止したのはともかく、陸続きのプラハと北イタリアの空港を結ぶ便を停止にしたのは、何の意味もないと切って捨てていた。そして、四人とも異口同音に、ポピュリズムの発露だと強く批判していたのだ。チェコで行われるバイアスロンのワールドカップも無観客で行うことになったしなあ。政府としても何もしないというわけにはいかないのだろうけど、無駄なことをである。
この番組を通して、インフルエンザに毛が生えたようなものというこちらの理解が正しいことが確認できたのがありがたい。実はチェコで患者が出たというニュースにちょっと不安を感じたのだけど、きれいさっぱり消え去った。後は手洗いうがいを徹底して健康的な生活をするだけである。大事なのは夜更かしを避けることだな。軽い高血圧ぐらいなら持病にはならないだろうしさ。
2020年3月4日19時。
そう言えば、医療関係者二人が、WHOが発表した、アルコールと塩素ではウイルスは殺せないという情報に驚いたと言っていたのが印象的だった。口ぶりからは、あんまり信じていなさそうな様子が読み取れた。この手の国際機関は、国連もそうだしIOCもそうだけど、設立当初の存在意義を失って腐りはていているからなあ。
特別な病気ではなく、今後とも付き合っていかなければならない、普通のウイルス性感染症だと理解する必要があると言っていたのも覚えている。
3月5日追記。
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