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2020年02月09日

チャペクの小説2(二月六日)



 SF的な『山椒魚戦争』に続いて、日本に翻訳紹介されたチャペクの小説は、推理小説的な『Povídky z jedné kapsy』である。この作品は、チェコ、いやチェコスロバキアでは、対をなす『Povídky z druhé kapsy』とともに同時に刊行されたようだが、日本では前者の翻訳が圧倒的に早かった。ただし、どちらも短編集なので収録された短編の翻訳年を基準にすれば、それほど大きな違いはない。
 どちらも、全訳を刊行した訳者は二人だけである。まずは『Povídky z jedné kapsy』から。
 
@ 栗栖継訳『ひとつのポケットから出た話』(至誠堂、1960)
 この初版よりも、後に1976年に晶文社から「文学のおくりもの」シリーズで刊行された版のほうがよく知られている。1997年には同社から「ベスト版」なるものも刊行されているが、収録された短編の数が変わっているようには見えず、何が「ベスト」なのかわからない。装丁がよくなったりしたのだろうか。古本屋で手に入れて実際に読んだのは、このベスト版だったと思う。
 この本の存在はチェコ語の勉強を始める前から知っていたのだが、中学か、高校の図書館に入っていたはずだし、当時は亡くなった作家の本は原則として読まないという謎のルールで自らを縛って本を探していたこともあって、手に取るにいたらなかったのである。このルールも読んでからすでに亡くなったことを知ったりとか穴だらけのルールだったのだが、チャペクは引っかかってしまった。児童書扱いされていたのも、手を出さなかった理由になっているかもしれない。背伸びしたいお年頃だったのだ。

ひとつのポケットから出た話 (ベスト版 文学のおくりもの)






A 栗栖茜訳『ひとつのポケットからでた話』(東京、海山社、2011)
 栗栖家の親子で同じ作品を訳した例は多いが、これもその一つ。題名の違いは感じが一つひらかれているだけ。個々の短編の題名の比較まではする気になれなかった。

ひとつのポケットからでた話





 個々の短編の発表は、栗栖継のものが一番多いのだが、至誠堂版の『ひとつのポケットから出た話』の刊行以後のものばかりなので、本から切り出す形でアンソロジーに採用されたものだろう。この訳者のことだから、改訳したり注を増やしたりしている可能性もあるけど。

 栗栖継訳で個別に発表されたのは以下の作品。
 「青い菊の花」(『ヨーロッパ短篇名作集』、学生社、1961)
 「最後の審判」(『 全集・現代世界文学の発見』第12巻、学芸書林、1970)
 「足あと」(『奇妙なはなし』、文春文庫、1993)
 「セルヴィン事件」(『新・ちくま文学の森』4、筑摩書房、1994)

 意外なのは千野栄一の翻訳が一篇しか活字になっていないことである。名著とされる『ポケットのなかのチャペック』の著者なのだから、「ポケットの中からでてきた」物語は、この人の翻訳ですべて読めるものと思っていた。それとも『ポケットの中のチャペック』に収録されているのだろうか。チェコにいると図書館にいけないから確認できない。とまれ、確実に千野訳で読めるのは「足跡」だけで、白水社刊の『現代東欧幻想小説』(1971)に収録されている。

 もう一人、英文学者で詩の翻訳で知られる田中清太郎が「盗まれた機密文書」を筑摩書房の『世界ユーモア文学全集』第11巻(1961)に寄せている。この全集に田中訳のチャペクの短編は全部で5篇収録されているが、そのうち4篇は、二つ目のポケットから出た短編集のものである。
 戦前の工藤訳については『山椒魚戦争』で取り上げたので繰り返さない。


 それで、二冊目の『Povídky z druhé kapsy』の全訳は以下の二つ。
@田才益夫 訳『ポケットから出てきたミステリー』(東京、晶文社、2001)
A栗栖茜訳『もうひとつのポケットからでた話』(東京、海山社、2011)
 どちらも日本を離れた後の刊行なので、読んでも購入してもいないと思うのだが、もしかしたら田才訳は一時帰国した際に読んだかもしれない。

ポケットから出てきたミステリー




もうひとつのポケットからでた話





 個々の短編の訳では、上にも書いたように『世界ユーモア文学全集』に収録された田中清太郎訳が4篇存在する。このうち「盗まれた殺人事件」「オーケストラ指揮者の話」「結婚詐欺師の失敗」は、原典の同定に苦労しなかったのだが、「じゅうたん愛好家の悩み」は大変だった。いろいろ調べて、結局、チェコ語の内容説明から「Čintamani a ptáci」だろうと推定した。ただ、この話、日本語で読んだことがあるような気もするのである。問題はどの本で読んだかで、田才訳を読んだのか、子供向けの童話に再話されたのを読んだのか、これまでに読んできた大量の本の海に沈んでまったく判然としない。読書日記なり、記録なりつけていればよかったのだろうが、そんな暇があったら次の本を読みたがるガキだったからなあ。
 栗栖継訳も4篇、「金庫破りと放火犯の話」と「なくした足の話」は、筑摩書房の『世界文学大系第』第93巻(1965)に、「盗まれたサボテン」と「切手収集」は学習研究社の『世界文学全集』第34巻(1978)に収録されている。このうち「切手収集」には、クンデラの『冗談』の訳者として知られる関根日出男訳(『世界短編名作選 東欧編』、新日本出版社、1979)が、「金庫破りと放火犯の話」には、栗栖茜訳(『ちくま文学の森』7、筑摩書房、2011)が存在する。

 こうして見ると、このちょっと推理っぽい作風は筑摩書房の好みに合ったのか、筑摩の全集やアンソロジーに収録されたものが多い印象である。
2020年2月7日16時。










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