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2019年12月19日

ブルマン発見(十二月十六日)



 80年代から90年代はじめの日本には、日本ではコーヒー文化がいびつな発展の仕方を遂げていて、他の国ではありえないようなものが存在しているなんてことを主張する人たちがいた。当時はまだ今ほど気軽に海外に行くような時代ではなかったから、その主張を信じるしかなかったのだが、日本独特であることがいいことなのか、悪いことなのかは判断できなかった。
 そんな「外国通り」の人々が主張していたことの中に、「ブレンド」なんてコーヒーは日本の喫茶店にしかないと言うものがあったと記憶する。他の国のことは知らないが、2000年ごろにチェコにきたとき、確かにブレンドは存在しなかった。当時はまだ共産党独裁時代の名残で、コーヒーといえば、お湯をかけるだけのチェコ風トルココーヒーで、ネッスルのインスタントコーヒーがネスカフェとして堂々とメニューに載っていた時代だから、喫茶店らしい喫茶店がなかったのも事実だ。

 その後EU加盟などで、チェコの西ヨーロッパ化が進み、さすがにネスカフェをメニューに載せているような喫茶店はなくなったが、トルココーヒーは今でも一定の人気を誇っているようで、メニューに残している店が多い。西ヨーロッパー風の小じゃれた喫茶店は増えているが、確かにブレンドをメニューに載せている店はない。しかし、ないのはブレンドだけではない。コーヒー豆の産地や銘柄を指定したコーヒーもないのだ。あるのはエスプレッソ(ただしチェコ風が多い)、カプチーノ、ラテなどの淹れ方、飲み方の区別であって、豆の区別ではない。
 考えてみれば最近のチェコの喫茶店は、飲み屋がビール会社によって囲い込まれているのと同じで、コーヒー会社によって囲い込まれているところが多い。自分の店で豆を選ぶのではなく、コーヒー会社が提供する豆をそのまま使っている。ということは、チェコの喫茶店にはブレンドがないのではなく、ブレンドしかないのである。そのブレンドを使って、いろいろな淹れ方のコーヒーを提供しているのがチェコの、そして恐らくヨーロッパの喫茶店だと言えそうである。

 では、ブレンドや、銘柄指定のコーヒーがまったくないかというとそんなことはなく、オロモウツにも何軒かあるコーヒー豆を焙煎して販売するお店では、ブレンドも含めていろいろな種類の豆を買うことができる。そしてこの手のお店には、喫茶店や立ち飲みのできるスペースが併設されていることが多いので、同じエスプレッソでも豆を指定して注文することができる。
 うちで行きつけにしているコドーでは、お店で飲めるコーヒーは毎日二種類提供しており、注文するときには、まず豆を選んでから淹れ方を指定することになる。二種類のうちの一つはコドーブレンドで、もう一つは販売している豆の中から選ばれることが多いのだが、普段は店の豆の販売リストに載っていないような特別な豆が提供されることもある。その場合には淹れたコーヒーだけでなく、豆も買えるのがありがたい。時間帯によっては残りが少なくて買えないこともあるけど。
 ちなみにコドーでは、以前よりは減ったけれども、常に10種類以上の豆が買えるし、ブレンドも一種類だけではなく三種類提供している。今は二種類に減ったのかな。でもパラツキー大学のアンテナショップに特別なブレンドを提供しているから三種類買える点では変わらない。自分でも自宅ではいろいろな豆を代わる代わる飲んでいるけど、職場ではコドーブレンドを愛飲している。

 日本で最高級のコーヒーというと、名前が上がるのがブルーマウンテンである。喫茶店で飲んでも他のよりもはるかに高かったし、豆を買う場合にも倍の値段ではきかななかったと記憶する。日本で行きつけにしていた豆屋では、他の豆と比べると分量が半分以下で値段は倍以上だったかな。入れてくれる袋もブルーマウンテン専用の金色の見た目が豪華な奴だったし。
 このブルーマウンテンについても、ありがたがるのは日本人だけだなんて話が昔はまことしやかに流れていた。こちらについてはコドーが開店してからも見かけなかったし、他の豆を焙煎しているお店でも見かけたことがなかった。コドーで期間限定で提供する豆の中に、何とかマウンテンというのを見かけたときには、これかとも思ったのだが、全然別のものだった。それで、ブルーマウンテンというのは、日本で販売するためのブランドなのかなと納得していた。

 それが、今日なくなりかけた自宅の豆を補給するためにコドーに寄ったらカウンターの前に行列ができていた。並びたくはなかったので、出直そうと一度店を出たのだが、その時に、日替わりコーヒーの銘柄がブルーマウンテンになっているのに気づいた。一杯なんと68コルナ。プラハでなら普通のエスプレッソでもこのぐらいして不思議はないが、オロモウツでは見かけたことのない値段である。コドーでは普通のコーヒーなら20コルナちょっとで飲めるわけだから3倍の値段である。
 ブルマン好きの日本人の端くれとしては、これは買わずばなるまいと店内に引き返して行列に並んだ。豆が買えなかったら店内で飲んでもいい。幸い買うことはできたのだが、値段が……。100グラムで500コルナ。300ぐらいかなと予測していたのだけど驚きの高さである。普通に売られている豆で一番高いのが70コルナちょっとだから、約7倍である。

 店の人の話では世界で二番目に高いコーヒーで、そんなに量がたくさん入ったわけではないので、一人当たりの販売量を200グラムに制限しているのだとか。コーヒーに一度に1000コルナも出す人はなかなかいないだろうなあ。自分でもひよって100グラムしか買わなかったし。銘柄は忘れたけど、前回買った特別に高いのは、100グラムで100コルナちょっとだったかなあ。
 まあ、せっかく高い金を出して買ったのだから、週末辺り時間をかけていろいろな方法で飲んでみようか。ちょっと危険なのは、ドリップ専用の注ぎ口が細いポットがほしいなんてことを考えてしまっていることである。日本にいるときには、そこまで細かい味の違いなんてわからないのに、勢いで買ってしまったからなあ。

 日本のコーヒー文化に関する伝説は、伝説でしかなかったのである。冒頭の「外国通り」というのは誤記ではなく、漢学者の宮崎市定氏の著作に出てくる表現をもじったものである。
2019年12月17日9時。












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