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2016年04月24日

ザフラートカ(四月廿一日)



 四月に入り気温が廿度近くまで上がる日が増えて、あちこちのレストランで、「ザフラートカ」の準備が始まっている。すでに営業を開始しているところも何軒かある。「ザフラートカ」というのは、室内ではなく屋外にテーブルと椅子を置いて、ビーチパラソルのような大きな日よけの傘を使って日陰にした座席で、食事などを提供するものを言う。夏になると、いや日本人の感覚では春が本格的になると、室内よりも屋外で食べたり飲んだりする人が出始める。
 この言葉は、庭を表すチェコ語「ザフラダ」の指小形なので、ビールを飲ませる場合には、ビアガーデンと言ってもいいだろう。レストランが入っている建物に中庭がある場合には、中庭を使うことが多し、レストランの前の歩道や、広場にある場合には広場の一部を占拠して(許可は取っていると思うけど)、「ザフラートカ」を出すお店もある。大きな道路の歩道のザフラートカは、車の交通量の多い場合には、空気がよくないので避けたほうが無難かもしれない。
 ただし、ビールを飲ませるレストランだけでなく、喫茶店やケーキ屋さんなどでも、このザフラートカを出す場合があるので、ザフラートカ=ビアガーデンというわけにもいかないのである。喫茶店でもビールを飲める場合が多いけれども、例えばホルニー広場の喫茶店マーラーのザフラートカでは、冷たいアイスクリームを食べて、コーヒーかジュースを飲んでいる人が圧倒的に多いのである。

 チェコの人は、日本人よりもはるかに寒さに強い、若しくは暑さに弱いので、ちょっと気温が上がると外で食べたり飲んだりするほうがいいと考えるようである。だから日中の最高気温が20度にならないうちから準備を始めて、夏が終わった後も、肌寒いと感じるようになっても、ザフラートカでの営業を続けてしまうのだろう。チェコ人と飲みに行くと、こっちがちょっと寒いから中のほうがいいかなあと思っていても、多数決で外で飲み食いすることが多い。
 この点で、チェコ人に近いのが北海道の人である。数年前の九月の初めだっただろうか、秋も深まりと言いたくなるような涼しい日の夕方、チェコ人の友達から、日本でお世話になっている人と飲んでいるから出て来いと呼ばれて、飲み屋に向かった。すでに日は沈み急に気温が下がり始めていて、寒いと思いながらその店に行くと、友人たちは、店の中ではなくザフラートカで飲んでいたのである。
 寒さに震えて冷たいビールを飲みながら、日本の人にとってこの寒さの中でビールを飲むのはつらいですよねと聞いたら、その日本からオロモウツに来た方は、にっこり笑ってそんなことはないと答えた。北海道の出身だから寒さには強いんですよと付け加えられて、北海道はチェコに似ていると言われることがあるのを思い出した。真冬でもサンダルで近所の飲み屋に行ってしまうのだとか。これではチェコ人以上である。

 チェコは四季があると言われるとはいえ、一部の年中行事を除くと季節感を感じさせるものはそれほど多くない。九月の終わりや、五月の初めに降る雪に、冬を感じていいものなのかわからないし、気温が三十度を越えてしまう年もあるので、五月を春というべきなのか悩んでしまう。そんなチェコで、夏という季節を強く感じさせるのが、サフラートカである。特にビアガーデンとなっているザフラートカで大声でしゃべりながらビールを傾けている姿を見ると、多少肌寒い天気でも、夏が来たのだと思わされることがある。
 先日の肌寒い小雨のぱらついた日には、ドルニー広場のザフラートカで、備え付けの毛布を被って震えながら食事をしているのを見かけてしまった。そこまでして外で食べたいのかなあ。ザフラートカの出ている間は、強い雨の降らない限り意地でも外で食べるという人もいるみたいである。夏の短い、ときに本当の夏の存在しない年もあるチェコでは、ザフラートカで飲み食いをすることで、夏なのだと自分に言い聞かせているのかもしれない。うがった見方ではあるけれども、ザフラートカへのこだわりの中には、チェコ人なりの季節感が隠れているに違いない。

 時々、偉そうに季節感というものは日本人にしか理解できないと主張する人がいるが、そんなことはない。チェコ人にもチェコ人なりの季節感はあって、その発露の仕方が日本人にはわかりにくいだけである。

4月22日23時。




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posted by olomoučan at 07:11| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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