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2019年01月26日

チェコ鉄道事情四度続(正月廿四日)


承前
 二つめは変動する運賃である。同じ区間の同じ座席でも、季節によって、同じ週でも曜日によって、同じ日の中でも時間帯によって、高くなったり安くなったりする。購入の時期による価格の変動は、あるのかもしれないが、現時点では確認できていない。この価格変動制は、レオ・エクスプレスもより極端な形で追随し、チェコ鉄道でも最近部分的に取り入れられている。全席指定ではないチェコ鉄道が、競合する私鉄の走っていない路線でも便指定の割引を行っているのは、立ち乗りを減らすために乗車率の低い時間帯の便に乗客を誘導する目的もあるのかもしれない。
 先週末に所用でプラハに行くのにレギオを使ったのだが、全体的に昨年の同時期より高くなっている印象で、便によっては一番安い席でも199コルナになっていた。これではチェコ鉄道の便を指定した割引乗車券と大差ない。一番安い時期の安い便であれば100コルナぐらいですむこともあるからほぼ倍である。実際に乗ったのはビジネスで、行きは399、帰りは299と、100コルナも差があった。便によっては499というのもあったかな。ペンドリーノは2等で290コルナだったから、コーヒー、紅茶を考えると399なら許容範囲ではあるのだけど、499は微妙である。

 三つ目は、座席のグレード間の格差を目に見える形でつけたことである。チェコ鉄道の電車にも1等席と2等席の区別はあって、1等の運賃は2等の二倍ぐらいなのだが、ペンドリーノでも座席の色が赤になるぐらいの違いしか見えない。多少一人分のスペースが広くなっているにしても、見てわかるほどではないし、以前1等に乗った人の話では、取り立ててサービスがいいというわけでもないようだ。だから、チェコ鉄道の電車では2等席が満席でも、1等席を利用する人はあまり見かけない。使うとすれば、混雑が予想される電車で確実に座るためという理由だろうか。

 それに対して、レギオジェットでは、現在の一番下のローコストは、通路の両側に2つずつ、一列に4つの座席が並び、一人当たりのスペースはチェコ鉄道の古い客車と大差なく、座席も写真で見るだけでも安っぽさを感じさせるもので背を倒すこともできない。車内サービスは一切なく、水と新聞だけはセルフサービスでもらえるが、車内販売は利用できない。プラハ−オロモウツ間は、一番安い時期の一番安い時間帯で100コルナぐらいだが、一番高いのは200コルナ以上で、チェコ鉄道の運賃を越えることもある。

 二番目のスタンダードは、座席の広さは変わらないが、質が格段に上がり、前の座席の背には映画を見たり音楽を聞いたりすることができるモニターがついているという航空機的なつくりになっている。ただし、向かい合わせになっている4人がけの席もあるので、その設備を利用できない場合もある。コンパートメントの場合には6人掛けで、8人掛けだった昔のチェコ鉄道の車両よりは、一人分のスペースは広いはずなのだけど、実際に座ってみるとそんな印象は全くない。コンパートメント自体が狭いのだろうか。
 車内サービスは、普通に利用でき、水や雑誌新聞は配布に来るし、リンゴジュースとアメリカンコーヒーかミントティーなんかも出るのかな。コンパートメントの席だと、もらっても置き場に困るのだけどさ。運賃の幅は130コルナぐらいから300コルナ超までで、ペンドリーノより高い場合もある。
 たしか、参入当初は、ローコストは存在せず、一番安いのはスタンダードだったのだが、一度、安いというのと、話の種にとで利用したことがある。その後長らく使用しなかったことからも、あまりいい印象は抱かなかったことは確実なのだが、乗客は多く、混んでいたから、安さを求める人たちが多いのも事実なのだろう。客層のせいか、せわしない、落ち着かないという感じで、座席も窮屈だったし、これなら、多少高くてもペンドリーノを使った方がましだと思ったのである。

 その上のリラックスは使用したことはないが、ビジネスと同じ車両に置かれているので、様子を見たことはある。座席はペンドリーノと同じで通路を挟んで片側は二人掛け、反対側は一人掛けになっていて、ところどころ向かい合わせになっている席もある。席の作りはスタンダードより上で、ペンドリーノよりも広そうである。
 一番上のビジネスとのサービスの違いがどのぐらいあるのかは知らないが、問題は価格差で、料金を比べて、これならビジネスでいいやと考えてしまうことが多い。せいぜい50コルナの差では試す気にはなれない。ひどいときには150コルナの差があることもあるようだけど、そういう高い時期はプラハ行きを避けてしまうのが人情というものである。

2019年1月24日23時55分。








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