2016年04月15日
チェコのビザ申請を巡る問題、あるいは、ふざけんな、チェコその2(四月十二日)
三月の初めに、一年の予定でチェコに来る予定だった人が、なかなか来ないので連絡をしてみたら、ビザの発給が遅れていて出発できないとのことだった。それから更に時間が経って、ビザがなぜか発給されなかったという連絡を受けた。日本の人がビザをもらえなかったという話は、初めて聞いたので、ちょっとその事情を探ってみることにした。
最初は、その人が以前しばらく外国に滞在していたために、その滞在していた国の無犯罪証明を提出する必要があり、それを提出しなかったために書類不備で発給が認められなかったのだろうと言われていた。しかし、本当に必要な書類であれば、申請書に外国滞在について記載してあれば、日本のチェコ大使館が受付の際にチェックをして、追加で書類を提出するように求めるはずである。申請書に外国での滞在を記載しなければ、チェコ国内で審査する時にも、外国滞在の事実を知ることはあるまい。つまりそんな書類など必要はなくなる。まあ、日本のチェコ大使館が不親切だったという可能性もなくはないのだが。
先日、チェコ側からビザが発給されなかった公式の理由が書かれた書類が届いたというので、お願いして送ってもらった。チェコ語ができない日本人に、チェコ語で書かれた理由説明書を、そのまま何の説明もなしに送りつけたらしいチェコ大使館の対応も信じられないものであるが、ビザが下りなかった理由を読んで、さすがにそれはないだろうと、いやふざけるなと思ってしまった。
書類に書かれていたビザが下りなかった理由は、滞在中の生活費をまかなえることを証明する書類である銀行の残高証明書の残高の額が足りなかったことだった。理解不能な法律が引用された部分によると、法律で規定された「生存のための最低限度額」というものが存在して月額いくらと決められているらしい。そして、ビザを申請するものは、最初の一ヶ月に関しては、十五ヶ月分、それ以降一ヶ月増えるごとに二ヶ月分加算した額を持っていることを証明しなければいけないと言うようなことが書いてあった。ただし、チェコ人もよくわからんと言っていたので、この解釈が正しいかどうかはわからない。
最悪だったのが、「生存のための最低限度額」がいくらなのかも、この人の場合いくら必要だったのかも、まったく書かれていないことで、日本円でこれこれということは、現在のレートで言うとこの額になるから、滞在期間の生活費をまかなえるとは言えないと結論付けていた。しかし日本人が、自分で適当にこのぐらいで足りるだろうからで、銀行の残高を設定するはずはない。大使館からの指示で最低限必要な額を超えるように調整しているはずである。
本人に確認してみたところ、日本のチェコ大使館のHPのビザ申請の説明のページに、最低三十万円と書いてあったらしい。そちらをチェックしてみると、5,5000コルナというのが、半年分として必要な額で、これを為替のレート変更などのリスクを考えて換算し三十万円という額を提示しているらしい。しかし、書類には預金をコルナに換算すると7,0000コルナぐらいになると書いてあったのだ。何が問題だというのだろう。
再び理由説明書に目を戻す。申請書に書かれた滞在期間が約一年の予定になっていること、受け入れの書類も、住居の書類もすべて一年の期限で出されていることをあげつらっている。ということは、あれか。ビザは最長でも半年分しか出さないのに、滞在費用は一年分用意しろってことか。ふざけんなである。でも、今まで問題になっていなかったのは、何故なのだろうか。担当者が変わったとかそんなところだろうなあ。チェコだし。
それで、最近チェコに来た人で、現在ビザを申請中の人にビザがどうなったか聞いたところ、預金残高が足りないから額を増やして証明書を再提出するように言われたという。この人は、ウィーンのチェコ大使館で申請したのだが、日本にあるものより、オーストリアにあるチェコ大使館の方が親切ってのはどういうことなんだろう。
最近、日本のチェコ大使館のビザ関係の人って、評判悪いんだよなあ。対応がつっけんどんで不親切で共産主義時代の役人みたいだとかなんとか。以前は、もう廿年近く前になるけど、親切なチェコ人の女の人がいて、細かいところまで指導してくれたんだけど。サマースクールの奨学金がもらえたのもある意味あの人のおかげだったし、名前なんだったかな。それはともかく、外国の大使館に雇われた日本人が、他の日本人に対してむやみやたらと威張っているのは昔から変わらないということか。
話を戻そう。そのウィーンで申請中の人の話では、8,5000コルナ相当額が必要だと言われたらしい。ただ、その後、書類の原本を提出する前にビザができたから取りに来いと言われたとも言っていたので、以前の額でよかったということなのだろうか。チェコの役所の困るところは、担当者によって恣意的な決定をすることがあることで、前例無視してるだろお前、と言いたくなることも間々あるのだ。その点オロモウツだと問題があれば事情を説明してくれて対策が取れるんだけど、今回のビザの決定はプラハで下されているから、説明不足でも当然なのか。
改めてまとめておこう。
1)チェコのビザは、滞在予定が一年でも二年でも、最長で半年分しか発給されない。
2)日本のチェコ大使館では、半年分の滞在費として三十万円=5,5000コルナ必要と言っている。
3)チェコの法律によれば、必要な滞在費の計算式は、恐らく、次の通り。
15n+2n(m−1)=13n+2mn
※n=生存のための最低限度額。m=月数。
4)滞在予定期間半年の場合から、一月あたりの生存のための最低限度額を算出すると、
13n+2×6n=25n=55000 n=2200
5)滞在予定が半年ではなく、一年の場合には、滞在費として一年分の額を要求されることがある。
その場合予想される額は、数式から2200×37=81400コルナである。
6)一年分の滞在費として、ウィーンのチェコ大使館から出た85000コルナという数字がある。
7)ウィーンでは額を増やした残高証明送付以前にビザが発給された。
以上のことを考え合わせると、一年の滞在予定でビザを申請する場合には、二つの対策が考えられる。
一つは、申請書の滞在予定期間や出国予定日に、入国から180日で出国するように記入する方法。その場合、受け入れ先の証明書や住居証明なども半年で出しておいたほうがいいかも知れない。
もう一つは、単純に滞在費として銀行に入れる額を増やすことである。その場合、いくらにするかが問題になるのだが、ウィーンの情報を信じれば、85000コルナを円換算して、四十万円ちょっと、余裕を見て五十万円、もしくは、大使館で出している半年三十万円を単純に二倍して六十万円というところだろうか。
ウィーンでの事例から、滞在費が一年分なければビザが認められないというのは、一時的な現象だった可能性もあるが、また突然、運用が変わる可能性は大なので、安全のためにも、大使館の勧める三十万円ではなく、金銭的に問題がなければ五十万円から六十万円で、残高証明を出しておいたほうがいいだろう。
これまで十分に機能している制度の無意味な変更や、運用の恣意的な変更はやめてもらいたいものである。それでも、こういうのを予告も、移行期間もなしにやってしまう、これこそがチェコであると言えば、まったくその通りなのであるが。
4月13日14時。
この情報がチェコのビザを申請する人の役に立てば嬉しい。ホテルはあってもビザがなかったら意味がないし。4月14日追記。
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