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2022年になって、米海軍駆逐艦ズムウォルトやフリーダム級LCSが横須賀に寄港するなどなかなかぶっ飛んだ時代となりました。
軍艦のステルス性を極めたような、駆逐艦ズムウォルトはもはや別次元のものとなっています。
そんな中で、最近の軍艦によくあるステルス性を求めてカクカクした形状となるこにどんな意味があるのかという疑問があるようです。
レーダーに映らないというより、レーダー探知を遅らせることが目的といえます。
(前回記事):『【世界情勢】現代補給戦は恐怖の物量戦!』
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(1)駆逐艦ズムウォルト来訪!
2022年になり、あの米海軍ズムウォルトが横須賀に来訪したことはかなり驚くべきことです。
図1 駆逐艦ズムウォルト
引用URL:https://cdn.dvidshub.net/media/thumbs/photos/2209/7436955/1000w_q75.jpg
もはや未来の軍艦と思われましたが、艦砲が開発中止となりアーセナルシップ状態です。
1.1 最近の軍艦なんでステルス性を追求するの?
海上自衛隊も、むらさめ型護衛艦以降はステルス性を追求した設計となり「もがみ」型護衛艦はステルス性を優先した設計となりました。
図2 もがみ型護衛艦
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ffm/mogami/img/1-10.jpg
まあつるペタだの、軍艦の威厳が無いだの散々な言われようですがステルス性を追求している以上仕方ありません。
私も参考記事で散々、ステルス性を追求したロシア艦に文句を言っています。
(参考記事):『【ロシア】ソ連感の無い軍艦なんてただのロシア軍艦だ!』
なんでここまでステルス性を追求するのか?理由としてはレーダー探知をできるだけ遅らせることに重点を置いているからです。
1.2 従来設計だとレーダーに探知されやすい!
以前のようなゴテゴテとした軍艦であると、装備品がむき出しとなりレーダー反射断面積(RCS)が大きくなってしまいます。
図3 あさぎり型護衛艦
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/asagiri/img/152_01l.jpg
あさぎり型護衛艦の右舷後部格納庫に至っては、ステルス性が損なわれる!と散々批判を受けたものです。
(設計当時の1980年代はまだステルス性の配慮はなかったため)
いろんな平面や曲線が折り重なると、どうしてもステルス性が損なわれるものです。
レーダーの発達とステルス研究の成果により、1990年代から軍艦にも対レーダーステルス性を追求するようになったのです。
1.3 レーダー探知が少しでも遅れるのを目指す!
軍艦がステルス性を追求して、各国とも似たような設計となるのはどうしても避けられない状況です。
図4 フランスアキテーヌ級駆逐艦
引用wiki
フランスのアキテーヌ級駆逐艦もどこかで似たような設計になっています。
図5 対艦ミサイル補足
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/EsGNgDNVQAAl3Jd?format=jpg&name=small
とにかくレーダー探知・艦ミサイルのシーカーが目標補足する時間を数秒・数マイルでも遅くできると、生き残れる確率がぐっと上がります。
そのため艦艇のステルス性追求は、全く無意味ではありません。
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(2)航空機とは違う艦艇のステルス性・RCS低減の意義!
ステルス戦闘機などでは、可能な限りレーダーに映りにくい設計を行っています。
図6 F-35A戦闘機
引用URL:https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-35/images/gallery/f35img0004.jpg
しかしながら、艦艇の場合は航空機とは少しばかりステルス性への考えが違います。
2.1 シー・シャドウみたいにはいかない!
艦艇の究極のステルス性を追求したのが、米国で開発された「シー・シャドウ」でしょう。
図7 シー・シャドウ
引用wiki
米国で1982年に就役した実験艦シー・シャドウは、水上艦の究極のステルス性を追求したものです。
かなりステルス性に優れていましたが、乗員の居住性や武器搭載などに問題がある状況です。
水上艦は、戦闘にてできるだけ遠距離の目標を探知すると共に居住性確保のためある程度の容積が必要です。
そうすると、ある程度妥協してできるだけレーダー反射(RCS)が少ない設計となります。
2.2 水上艦のRCS低減はいろいろな方法で!
航空機のRCSについて、360度全方向のデーター表は結構出ています。
図8 航空機RCS
引用URL:https://www.researchgate.net/profile/Henning-Heiselberg-2/publication/224186083/figure/fig5/AS:393073545760771@1470727444716/Frequency-averaged-polar-RCS-of-a-metal-model-of-aircraft-fighter-F-35.png
同じように、艦艇でもステルス性を図る指標としてRCS(レーダー反射断面積)があります。
図9 艦艇RCS
引用URL:https://www.c-130.net/forum/download/file.php?id=30480&mode=view
艦艇の場合、真横のRCS共に艦首・艦尾のRCSも結構大きいものがあります。
その他、角度によってはRCSが低くなるところもあり結果としてRCSを低減させるには外板を傾けていくのが一般的になります。
2.3 AC-14アンカーが意外とステルス性の問題となる!
海上自衛隊でも、昔に艦艇の洋上でのRCS計測をいくつもの艦艇で行い意外な結果が出たことがあります。
各艦艇とも、設計段階でのRCS予測クリアする結果でしたが意外なものがステルス性を失わせる結果が出たことがあります。
図10 護衛艦アンカー
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/dd/takanami/img/113_04l.jpg
それは、艦艇に当然装備されているAC-14アンカーがRCS増加の要因となることでした。
洋上で航行している護衛艦は、AC-14アンカーが艦首の外壁に張り付いていますがこのアンカーが意外とRCSを増大させている原因と判明しています。
図11 フォーミダブル級フリゲート
引用wiki
19DD(あきづき型)にてアンカーの艦内格納が検討されましたが、船価上昇の原因となるため「もがみ型」護衛艦になってようやく、フォーミダブル級フリゲートのような格納型になったのです。
もがみ型護衛艦のステルス性追求の方法として、アンカーの艦内収納が行われました。
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(3)ISAR(逆合成開口レーダー)には弱いよ!
艦艇のステルス性追求は、レーダー探知を少しでも遅らせる効果がありますが苦手なものもあります。
図12 逆合成開口レーダー
引用URL:https://www.slideserve.com/hugha/advanced-synthetic-aperture-radars-powerpoint-ppt-presentation
逆合成開口レーダーと呼ばれるレーダーは、艦艇の揺れによる電波の乱れを利用して目標探知を行うためステルス性があまり意味をなさない場合もあります。
しかしながら、ISARが搭載できるのは今のところ航空機が中心です。
将来的には、ISARを持った水上レーダーも登場するでしょうが今のところはカクカクのステルス性追求で十分でしょう。
今後の技術革新を迎えると、艦艇のステルス性も変化するかもしれませせんよ〜!
電波のステルス性は、キツネとタヌキの化かし合いです!
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ズムウォルトが横須賀のDESRON15配属というのはなかなかすごい時代になってきましたね〜。
以前はNAVSEAの開発部隊で開発任務に従事するといわれていましたが、2番艦が就役したので、前方展開する余裕が出てきたのかもしれません。
今後も横須賀に出入りする光景が日常になるかもしれません。
第七艦隊公式Twitter等でも岸壁扱いされてるズムウォルトですが
CNNの報道では第15駆逐戦隊に配属されるとの事なので今後は横須賀でたびたび目撃できる事になるそうで
ttps://www.cnn.co.jp/usa/35193812.html
>米海軍の最新鋭駆逐艦「ズムウォルト」がアジアへ 横須賀に入港
むらさめ型護衛艦が登場したころから、接岸にて操艦しずらいといった苦情やひゅうが型護衛艦(16DDH)にて艦橋モックアップを作ったときに「これじゃ後方確認や操艦が出来ん!」という文句だ出て艦橋ウィングを急遽設計追加となったことがありステルス化が遅れたところがありますね〜。
チャフと併用して艦艇のステルス化については19DDにてようやく始まったといえます。
艦艇では、相手に対する角度への操艦にて探知距離に変化があることが判明しましたが航空機で同じようなことがあるんですね〜、大変勉強になる情報を教えていただき感謝します。
艦船のステルス化は消えることでなく発見を遅らせるというのは正鵠を得ていると思います。その分、被弾の確率を減らし、ECMやチャフの効果を高める(又は量を減らす)ことが出来ます。ただ、本格的にステルス化を求めるならば潜水艦へ投資するのが本道ですね。
また、自分はステルスとは単に反射波を減らす(魔法のマント)だけではなくて、総合芸術だと思っています。見えないんじゃなくて、相手から見えているのに認識させない技術や運用(同じ航空機でもベテランと若手が操る機体とでは被探知距離が違うそうです)は主として航空機のステルスのものですが、艦船でも考慮されるかもしれません。