\PR!/
2024年度末に、ついに空自F-35B戦闘機飛行隊が新田原基地で創設されます。
海自「いずも型」護衛艦への搭載を考慮した、STOVL機となります。
図1 いずもF-35B
引用URL:https://twitter.com/JMSDF_SDF/status/1445297105791172613/photo/3
喜ばしいことですが、実運用をするときの大問題はどうなるのでしょう?
空自F-35Bの燃料は、空自のJP-4(JET A-1)なのか海自のJP-5にするのか?!
(前回記事):『イージスにMT30使うの大丈夫?部品供給できる?』
\こちらもご参考にPR!/
(1)ジェット燃料ってどれも同じじゃないの?
もしかすると、ジェットエンジン燃料なんてどれを入れても問題ないと思うかもしれません。
図2 戦闘機燃料補給
引用URL:https://twitter.com/jasdf_hyakuri/status/1165880908848619522/photo/4
まあ確かに、燃えりゃ何でもいいかもしれませんけど!
(関連記事):『海上自衛隊の燃料なめてんじゃねーよ(激怒)!!』
1.1 空自はJP-4からJET A-1燃料へ!
あまり知られていませんが、空自ジェット燃料はJP-4という燃料が使われていました。
図3 JP-4
引用wiki
簡単に説明すると、灯油とガソリンを混ぜたワイドカット系燃料です。
ただ平成28年度以降、民間航空機と同じJET A-1燃料に移行が進んでいます。
(大火力リークス資料より)
図5 JET A-1
引用URL:https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783531/rc/2020/02/26/061c9f880658665cb1b8a36f62ff3521983e09c4.jpg
軍用で色々添加物を入れていたけど、安全性が確認できたため民生用と同じものに移行しています。
(大量生産する民間用の方が、燃料費が安くなるため)
普通なら、空自F-35BもJET A-1と思うかもしれません。
1.2 海自海軍航空機はJP-5!
ここで問題になるのが、海自や米海軍の航空機はJP-5という燃料を使用することです。
図6 JP-5
引用URL:https://d1ldvf68ux039x.cloudfront.net/thumbs/photos/1908/5651137/1000w_q95.jpg
ケロシン(灯油の元)をベースにした燃料で、艦上航空機には欠かせない燃料です。
なぜ空自・空軍の燃料と違うものを使うのか?それは艦上火災での延焼を防ぐためです。
図7 艦上火災
引用URL:https://www.usni.org/sites/default/files/styles/embed_medium/public/Caiella-NH-JA-22%202.jpg?itok=PAmBVRzV
艦載機の火災は怖いですよ〜!なかなか火が消えません。
そのため、引火点が高いJP-5(61℃)を使用して何とか延焼を食い止める方策をしています。
1.3 ガソリン系は艦上に置きたくない!
海上自衛隊や海軍では、ダメコンの観点から引火しやすいガソリン燃料は極力搭載しないのが大原則です。
図8 護衛艦とね
引用wiki
内火艇や複合作業艇用のガソリンタンクは、極力投棄しやすいようになっています。
とにかく、船の中に燃えやすい燃料は持ち込みたくありません!
となると、F-35B戦闘機の燃料をどうする?海自艦船側タンクをどうする?になります。
\F-35戦闘機のすごさを!PR/
F-35はどれほど強いのか 航空自衛隊が導入した最新鋭戦闘機の実力 (サイエンス・アイ新書) [ 青木 謙知 ] 価格:1100円 |
(2)空自F-35BにはJP-5が理想的だけど・・・
合理性を考えると、米海軍・海兵隊と同じくF-35BにJP-5使用が理想です。
図9 米海兵隊F-35B
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FE4rY_UXMAAcs1u?format=jpg&name=4096x4096
しかし空自が、色々と割を食うことになるんですよね、
2.1 空自にJP-5用各種機器を用意させることになる
空自にJP-5を使用させるとなると、新たに地下燃料タンクなど新設する施設が多くなります。
図10 基地燃料タンク
引用URL:googlemap
JP-4やJET A-1に加えてJP-5を扱うことになり、空自の燃料補給取扱いが複雑化します。
さらにKC-46についても、JP-5を空中給油させるために改造が必要でしょう。
空自の別基地にF-35Bが着陸したとき、燃料補給が出来ないことも考えられます。(ココ重要!)
それでもなお、空自にJP-5使用を押し付けるか?となり費用対効果の問題が出ます。
2.2 海自護衛艦にJP-4(JET A-1)を使用させるか?
海自護衛艦に搭載する航空機は、JP-5を使用しています。
図11 空中再補給
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/10/img/1021/02.jpg
護衛艦「いずも」「かが」だけにF-35Bを搭載するのだから、海自護衛艦にJP-4燃料タンクを設置するというのも考えられます。
ただこの場合、艦上救難員や応急工作員などのコワいお兄さんがたを納得させられるかな?
図12 仕事増やすなゴルァ!
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/09/0901.html#sf001-4
さらに海自艦艇装備の人間も、JP-4燃料搭載は遺伝子レベルで嫌がります。(可燃物キライ!)
さらに洋上補給での航空燃料補給用に、補給艦もJP-4専用タンクに改造する必要があります。
海自にとっては、JP-4搭載は絶対嫌だろうな〜!
2.3 英国F-35BはJP-5を使用
参考として、英空軍と英海軍F-35BはJP-5を使用しています。
図13 空中給油
引用URL:https://www.raf.mod.uk/index.cfm/_api/asset/image/?filePath=/raf-beta/assets/Image/401DBF52-17CF-46E1-BF09704B814DB31C-20211003_155418.jpg
これは、英国海軍と空軍が同じF-35Bを使用しているため可能になったといえます。
英空軍タイフーン(EF2000)が、JP-8(JET A-1)を使用していることから航空機別にしたことになります。
さて航空自衛隊は、どちらの燃料を使用することになるでしょうか?
既存施設を使えるJP-4が、最適ではあるけど?
\PR!/
(3)戦闘機の燃料は難しいね!
戦闘機や航空機の燃料は、簡単にはいきません。
図14 ストーブ異常燃焼
引用URL:https://i.gzn.jp/img/2018/12/16/nite-gasoline-erroneous-fuel/00.jpg
石油ストーブ(灯油)に、ガソリンを入れたら異常燃焼するのですから!
3.1 海自のJP-4受け入れが妥当かな?
費用対効果だけで考えると、海自がJP-4(JET A-1)を我慢して受け入れるのが正解かもしれません。
図15 P-3C
引用URL:https://twitter.com/jmsdf_smatg/status/1437311726953713668/photo/3
P-3CやP-1など、陸上発進する海自固定翼哨戒機ではJET A-1を使用しています。
火災からの安全性教育をして、地道に意識を変えるしかないかもしれません。
けど、空自のカネでJP-5大量調達もアリだぜ!!
\PR!/
防衛・軍事ランキング
↑ブログ主の更新意欲維持の為↑バナーをクリック↑
↑していただければブログ主が↑頑張ります↑
米海兵隊や英国空母との連携を考えると、やはりJP5しかないと思います。
空自さんには、頑張って受け入れてもらうしかないですね!
数日前に北海道ニュースで、ジェット燃料不足により各地の空港で国際線燃料が確保できないとのニュースですね!
北海道の場合、苫小牧1か所にJETA−1燃料生成プラントが集約されてしまい供給不足になったと聞いています。
検査官時代に、某空自基地へのJP-4燃料検査をしてましたが「こんなに遠距離から燃料輸送するの!」と驚いたことがあります。
継戦能力強化のために、防衛施設予算が増加したのを利用して空自各基地にJP-5燃料タンクを増設してもらうしかなさそうです。(地下燃料タンクで建設費用が増大するけど)
かなり悩ましい問題ですね。
寧ろ、空自基地のタンク増設を選ぶ可能性が高そうと感じます。
と言うのも、民間向けのジェット燃料が不足気味で、帯広空港では国際便の増便とチャーターを燃料調達ができないとの理由で断ったそうです。
理由は製油所の統廃合と運転手不足による輸送の問題。
有事への備えと考えると弾薬以外に燃料の備蓄も考える必要があるかと思います。
やはり米海軍・米海兵隊との共通性を考えると、JP−5選択がベストな感じがします。
新田原基地にJPー5燃料タンク新設を行い、その後順次空自航空基地にJP-5燃料タンクを増設していくしかないでしょう。
せめて、三沢・小松などF-35A戦闘機が展開する基地には優先して増設が必要と思われます。
ただ空自は嫌がるだろうなあ〜!
となれば、潤滑油の問題とも併せて、JP-5一択なのでは?
映画であった、空自UH-60Jが海自護衛艦から給油を受けるということは緊急時には可能です。
ただしホントに緊急時です!管理人が船務士時代に、飛行長・整備長の補佐として航空機運用をCICで行うときに徹底的に叩き込まれた原則です!
ターボファンエンジンの特性として、メインの燃料の他に別種類の燃料を使用できるマルチプルエンジンとなっています。
JP-4使用エンジンに、JP-5燃料を投入してもすぐにはエンスト・燃焼不良が起こしません。
しかし「何時間後に」燃料系故障を起こすか、全く予測がつかないので緊急時のみに限定されています。
さらに基地帰投後に、UH-60Jのエンジンは全交換(オーバーホール)・燃料系統の徹底的な洗浄など大規模整備が必要です。
HS1機を墜落させるくらいなら、燃料補給をして安全に帰還させるようにします。
以前に映画で、飛行中に燃料切れの危機に陥った空自のUH-60Jが偶然近くにいた護衛艦(DD)に着艦し給油をしてもらうというシーンを見たことがあります。
これは現実世界では、燃料の種類の違いからありえないことなのでしょうか?
興味本位の質問で大変恐縮ですが、お答えいただけると嬉しいです。
これからも応援しています!
そうなんですよね、F-35B用エンジンは推力偏向機構の作動にJP-5使用を前提としています。
JP-4(JET A-1)での作動確認は、メーカーでもしていないのでJP-4使用となると日本独自で作動試験をする必要性があります。
エンジンは燃料と共に潤滑油も、一体として考慮する必要性があります。
となると、空自F-35BにはJP-5使用が一番いいことになります。
だけど空自第5航空団整備補給群は大変だろうなあ〜。
(特に補給隊の燃料小隊が過労死しそう・・・)
305飛行隊のF-15Jと共に、F-35B戦闘機の補給はすんごい苦労になりそうです。
とあるので、燃料変えると潤滑油も変わりますよね、コレ