親鸞聖人が弘長2年11月28日に亡くなられる前に言われたお言葉。
「わが歳きわまりて安養浄土に還帰す」
死んだら自分の魂がどうなるか、はっきりとおっしゃっている。
死んだら極楽浄土へ行く。
では極楽浄土に行ったら楽して寝ているか。
すぐに戻ってくるとおっしゃっている。
「謹んで浄土真宗を按ずるに、二種の廻向有り。
一には往相、二には還相なり」
浄土真宗とは阿弥陀如来のお働き。
按ずるに二つの下さりものがある。
これが二種の廻向。
一つは往相、二つに還相。
これを往還二廻向という。
何れも阿弥陀如来からいただくものだから
「往還廻向由他力」
と正信偈にある。
曇鸞大師、他力とは阿弥陀如来のお力のことだから、
ともに阿弥陀如来からいただくもの。
これを聖人は教行信証の最初にかかれている。
「往相の廻向に就いて、真実の教・行・信・証有り」
ここから教行信証の名前になっている。
往相廻向とは、往生浄土の相状を与えて頂く。
略して往相。
いま私達がいるのは娑婆、堪忍土。
堪忍とはお互い我慢する、堪えないとやっていけない、
俺が俺が、では苦しみばかり。
細い丸太の上でこっちと向こうでお前どけとやっていると、お互い落ちる。
譲り合い、我慢しないとやっていけない。
人と車なら赤信号でゆずる。
国と国でもここまでがうちの土地だ、これではいけない。
庄松同行にある人が
「この世は娑婆ですから、お互い堪忍していきましょう」
「いやいや私はあなたに堪忍していただいて、生かされております」
私ではなく相手に堪忍してもらって生かされている、ということ。
自分が身を引いてどうぞと渡ってもらってからのほうが早い。
だけどこんな我慢せねばならんのはもう嫌、苦しみばかりの難度海、
こんな苦しみをはなれて、苦しみのない極楽浄土へ行く、
これを往相という。
そして極楽浄土から娑婆に戻ってくるのが還来廻向の相状。
略して還相。
還相を与えて頂くのが還相廻向。
娑婆は色々ある。
アメリカ大統領選、どこまでもお互い譲らない。
金と時間がかかるのが民主政治。
チャーチル「デモクラシーは最低の政治形態だ。
ただしこれまでのすべての政治形態を除けばだ」
結局、人間世界はどっちに転んでも苦しい。
こんな娑婆を離れて極楽浄土へ行きたい。
この往相、還相どちらも阿弥陀如来の働き。
それは何の働きか。
それは南無阿弥陀仏の名号の働き。
そこにおさめられた智慧と慈悲の働き。
南無阿弥陀仏を与えて頂くことによって
往還の二つの力を与えて下さる。
これは南無阿弥陀仏の妙用。
妙用とは働きのこと。
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