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2021年01月17日

「魔術師」本文 vol,14

「魔術師」VOL,14


広場から大通りに入る口には、鎌倉の大仏ほどもある真っ赤な鬼の首が我々のほうを睨んでいました。鬼の眼にはエメラルド色の、能力職の電燈が爛々と燃えて、鋸のような歯を露(あら)わして笑っています。

丁度その歯の生えている上顎と下顎との間が、一箇のアーチになっていて、多勢の人は其処をくぐって行くのです。それでなくても、公園全体が溶鉱炉の如く明るいのに、その大通りの明るさは又一段と際立って、一道の火気は鬼の口から烈々と吹き出ています。

私は恋人に促されてその火の中へ飛び込んだ時、さながら体が焦げるような心地を覚えました。
両側に櫛比(しっぴ)している見世物小屋は、近づいて行くと更に仰山な、更に殺風景な、奇想的なものでした。


極めて荒唐無稽な場面を、けばけばしい絵の具で、忌憚なく描いてある活動写真のかんばんや、建物ごとに独特な、何とも云えない不愉快な色で、強烈に塗りこくられたペンキの匂や、客寄せに使う旗、幟(のぼり)、人形、楽隊、仮装行列の混乱と放埓(ほうらつ)や、それらを一々詳細に記述したら、おそらく読者は悄然として眼を掩(おお)うかも知れません。

私があれを見た時の感じを、一言にして云えば、其処には妙齢の女の顔が、腫物(できもの)のために膿ただれているような、美しさと醜さとの奇抜な融合があるのです。


引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊行





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