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2021年01月18日

「魔術師」本文 vol,31

「魔術師」VOL,31


こう云った時、青白い魔術師の顔にはさも得意気な凄惨な微笑(ほほえみ)が浮かびました。しかも多くの見物人は、彼の不敵な弁舌を聴き、傲慢な態度に接すれば接するほど、だんだん彼に魂を惹きつけられ、征服されて行くような心地がするのです。

やがて魔術師は、その時まで玉座の前で跪いて、彫刻の群像の如くよろよろとして魔術師の前に歩み出で、再び其処に畏まりながら、糸の緩んだ操り人形のように、ぐたりと頭(こうべ)を項垂れました。

「お前は私の奴隷のうちでも、一番私の気に入った、一番可愛らしい女だ。もう五六年、お前が辛抱してさえいれば、私はきっとお前を立派な魔術師にさせてやる。

人間は勿論、神でも悪魔でも及ばないような、世界一の魔法使いにさせてやる。お前はさぞかし、私の家来になったことを幸福に感じているだろう。

人間界の女王になるより、魔の王国の奴隷になる方が、遥かに幸福なことを悟っただろう。」
魔術師は、床(ゆか)に垂れた彼の女の長い髪の毛を、自分の足に踏み敷きながら、反り身になって直立したまま、こんな文句を厳かに云い渡して、

「さあ、これからいつもの変形術を行うのだが、お前は今夜は何になりたい?私はお前が知っている通り、非常に慈悲深い王様だ。

何でもお前の望みのままにさせてやるから、好きなものを言うがいい。」
と、あたかも歓ばしい恩寵を授けるような句調で云いました。



引用書籍
谷崎潤一郎「魔術師」中央公論社刊



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