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2021年01月18日

「魔術師」本文 vol,26

谷崎潤一郎著「魔術師」VOL,26


私は彼らが、どうしてこんな魔の王国に来ているのか、その理由を直ちに解釈することが出来ませんでした。聖人でも暴君でも詩人でも学者でも、みんなやっぱり「不思議」というものに惹き寄せられる心を持っているのです。

彼らは或いは研究のため、経験のため、布教のために来たのだと云うでしょう。しかし私に云わせると、彼らの魂の奥底には、程度こそ違え、私が感ずると同じような美を感じ、私が夢見ると同じような夢を夢見る素質が潜んでいるのです。

彼らはただ、私のようにそれを意識し、もしくは肯定しないだけの相違なのです。私は何ということもなく、こんな風に考えました。

私と彼の女とは、支那人の辮髪(べんぱつ)だの、黒人の頭帕(たあばん)だの、婦人のボンネットだのが、紅蓮白蓮(ぐれんびゃくれん)の波打つように錯綜している土間の椅子場に分け入って、辛うじて二つの席に座を占めました。

舞台と私たちとの間には、少なくとも五六行の椅子が並んでいて、その大部分には、瀟洒(しょうしゃ)たる初夏の装いを凝らした欧州種の若い女等が、肉付きのいい清らかな項(うなじ)を揃えて、白鳥のように群がっているのでした。

私の視線はこれ等の幾層にも重なり合った女の肩を打ち超えて、その向こうにある舞台の上に注がれたのです。




谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊




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