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2021年01月18日

「魔術師」本文 vol,23

「魔術師」VOL,23


【魔法の森、これは町の人が付けた名前なのです。】・・・・・・は、単に形態が妖怪じみているばかりではなく、空の中途に濃い高い帳(とばり)をめぐらして、その圏内に包まれた区域を、公園全体の華やかな色彩から都合よく遮断し、闇と呪いとに充たされた荒涼たる情景を作るのに、極めて主要な役目を勤めているのでした。

森に取り巻かれた場所の広さは、何でも不忍池(しのばずのいけ)ぐらいはあったでしょう。そうしてその大部分には、真っ暗な、腐った水のどんよりと澱んだ、じめじめとした沼が、氷のように冷ややかな底光りを見せて、一面に行き渡っている様子でした。



魔法の森で、自分の視覚を疑った私は、その沼に対しても、あんまり水面が静かであるためほんとうの水が湛えてvあるのか、それともガラスが張ってあるのか、暫く断案を下すのに躊躇しました。



実際、ガラス張りだと信ずることが可能な程、その水は磑々(がいがい)として動かず流れず、一つ所に凝り固まって、試しに石を投げ込んでも、戛々(かつかつ)と鳴って撥ね返りそうに思われました。

この粛然とした「死」のように寂しく厳(いか)めしい沼の中頃に、島とも船とも見定め難い丘のような物が浮かんでいて、

” The Kingdom of Magic” 

と微かに記した青い明りが、たった一点、常住の暗夜を照らす星の如く、頂の尖ったところに灯(とも)されています。

引用書籍

谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊



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