2021年01月17日
「魔術師」本文 vol,18
「魔術師」本文VOL,18
「先(さっき)の言葉は私が悪かった。お前のような清い女が、私のような汚れた男と結びつくことになったのは、大方運命と云うものだろう。
二人の体と魂とは、目に見えぬ宿縁の鎖で、生まれぬ前から一緒に縛られていたのだろう。
お前は清い女のまゝで、私は汚れた男のまゝで、二人は永(とこし)えに愛し合うべき因果に支配されているのだ。
魔術師は愚か、どんなに不思議な、どんなに凄まじい地獄へでも、私はお前を連れて行こう。
お前でさえ恐くないというのに、何で私に恐いものが在るだろう。」
私はこう云って、彼の女の前に跪いて、神々しい白衣(びゃくえ)の裾に長い接吻を与えました。
魔術師の小屋のある所は、彼の女が云った通り、繁華な街の果てにある物寂しい一廓でした。
引用書籍
谷崎潤一郎「魔術師」
中央公論社文庫刊
次回に続く。
「先(さっき)の言葉は私が悪かった。お前のような清い女が、私のような汚れた男と結びつくことになったのは、大方運命と云うものだろう。
二人の体と魂とは、目に見えぬ宿縁の鎖で、生まれぬ前から一緒に縛られていたのだろう。
お前は清い女のまゝで、私は汚れた男のまゝで、二人は永(とこし)えに愛し合うべき因果に支配されているのだ。
魔術師は愚か、どんなに不思議な、どんなに凄まじい地獄へでも、私はお前を連れて行こう。
お前でさえ恐くないというのに、何で私に恐いものが在るだろう。」
私はこう云って、彼の女の前に跪いて、神々しい白衣(びゃくえ)の裾に長い接吻を与えました。
魔術師の小屋のある所は、彼の女が云った通り、繁華な街の果てにある物寂しい一廓でした。
引用書籍
谷崎潤一郎「魔術師」
中央公論社文庫刊
次回に続く。
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