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2021年01月18日

「魔術師」本文 vol,22

魔術師VOL,22


「あなたは誰がこの森を設計したかご存知ないでしょう。これはあの魔術師が作ったのです。つい近頃、自分が勝手に植木屋を指図して、大木をどんどん運ばせて、僅かの間に植えさせてしまったのです。

仕事に与った大勢の人夫たちは、誰一人もこの森がどんな形に出来上がるか、気が付いた者はいませんでした。彼らはただ魔術師の命ずるままに、一本一本木を植えて行っただけでした。

いよいよ森が出来上がった時、魔術師は愉快そうに笑って、『森よ、森よ、お前は蝙蝠の姿になって、人間どもを威嚇してやれ。』と叫びながら、魔法杖を振り上げて大地を三度び叩きました。




すると忽ち、其処に居合わせた人夫等は、自分たちが今まで夢中で拵えていた白楊樹の森が、偶然にも怪鳥の影法師に似ていることを発見したのです。

それ以来、魔術師の評判は、この森の噂とともに、普く街中へ広まりました。或る人の説では、実際森が怪鳥の形を持っているのではなく、見る人の方が、そういう幻覚を起こすのだと云います。





しかしとにかく、魔術師の小屋へ行こうとして、此処を通りかかった者は、必ず影法師に脅かされて、肝を冷やさずにはおりません。

森が魔法にかけられているのか、見る人の方がかけられているのか、その秘密を知っているのは、ただ当人の魔術師ばかりです。」


こういう彼の女の物語を聞きながら、私はなおも瞳を凝らして、付近一帯の風物を細やかに点検しました。



引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊
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