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2021年01月18日

「魔術師」本文 vol,33

「魔術師」VOL,32

その時、まるで石膏の如く強張っていた女人の全身は、忽ち電流を感じたようにもくもくと震え始めたかと思うと、氷の融けた河水の如く彼の女の唇も動き始めて、

「ああ王様、有難うございます。私は今夜美しい孔雀になって、王様の玉座の上に輪を描きつつ、飛び廻りとうございます。」

と、婆羅門の行者が祈祷するように、両手を高く天に掲げて合掌するのです。
魔術師は機嫌よく打ち頷いて、直ちに口の中で呪文を唱え始めました。

十分間という話でしたが、彼の女の五体が全く孔雀の羽毛に蔽われてしまうまでには、五分もかからなかったでしょう。そうして残りの五分間に、肩から上の人間の部分が、次第に孔雀の首へと変わって行くのでした。

この、後の五分間の始まりに、まだうら若い女の顔を持った孔雀が、さも嬉し気な瞳を挙げてほほ笑みつつ、次にはうっとりと眼を眠って眉根を寄せ、だんだん切ない鳥の頭に推移しようとする過程が、全てのうちで最も詩的な光景のように感ぜられました。


引用書籍
谷崎潤一郎「魔術師」中央公論社刊




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