スポンサードリンク 「魔術師」本文 vol,16: 1分読むだけ文学通
アフィリエイト広告を利用しています
ブログ紹介
(^_-)-☆管理人アスカミチルです。

このブログは、ユーザーさんを文学通にさせるのがねらい!!
内容は2構成。
★YOUTUBEチャンネル
「動画文学通」毎日P.M.4:00までに「三国志演義」朗読更新。

https://www.youtube.com/
channel/UCTZ5GnDOX9
JTi8NHODbF26A

そして、
★「1分読むだけ文学通」毎日P.M.4:00までに谷崎潤一郎「痴人の愛」本文更新。


アスカミチルさんの画像
アスカミチル
<< 2021年04月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
カテゴリーアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
検索
アスカミチルお勧めリンク

広告

posted by fanblog

2021年01月17日

「魔術師」本文 vol,16

「魔術師」VOL,16


私の趣味を自分の趣味とし、私の嗜好を自分の嗜好にしようと努めた結果なのです。世間の人は彼の女のことを、私のために堕落をしたというかもしれません。

しかし彼の女の趣味や嗜好がいかほど悪魔に近づいたにせよ、彼の女の心、彼の女の心臓はいまだに人間らしい温情と品位とを、失わずにいたのでした。

そう考えると、私は彼の女に感謝せずにはいられませんでした。私のような、世の中になんの望みもなく、ただ美しい夢を抱いて国々を漂白しながら、物憂く侘しく生きている人間が、貴い乙女の魂を征服していることを思うと、私は非常にもったいない心地がしました。

「私はとてもお前のような優しい女子の恋人になる資格は無いのだ。お前は私と一緒になって、この公園に遊びにくるには、あまりに気高い、あまりに優しい人間だ。





私はお前に忠告する。お前のためには、二人の縁を切ったほうが、どんなに幸福だかわからない。私はお前が、こんな所へ平気で足を踏み入れる程、大胆な女になったかと思うと、自分の罪が空恐ろしく感ぜられる。」

私は不意にこう云って、彼の女の両手を捕らえたまま、往来に立ち竦(すく)んでしまいました。しかし彼の女はやっぱり平気で、にこやかに笑っているばかりです。



引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊





この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10475884
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。