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2021年01月17日

「魔術師」本文 vol,13

「魔術師」VOL,13


私たちの立っている広場は、正確な半円形を形作って、その周囲の弧の上から、七条の道路が扇の骨の如く八方へ展(ひら)いていました。七条のうちで最も広い、最も立派なのは、真ん中の大通りでした。

何十軒何百軒あるか分からない公園の見世物の中で、取り分け人気を呼んでいる小屋は大概其処にあるらしく、或いは厳めしい、或いは危なっかしい、あるいは頓興な、或いは均整な、ありとあらゆる様式の建築物が、城砦(じょうさい)のように軒を並べ、参差(しんし)として折り重なっているのです。

其処には日本の金閣寺風の伽藍もあれば、サラセニックの高閣もあり、ピサの斜塔を更に傾けた突飛な櫓(やぐら)があるかと思えば、杯形に上へ行く程脹らんでいる化け物じみた殿堂もあり、家全体を人面に模した建物や、紙屑のように歪んだ屋根や、蛸の足のように曲がった柱や、波打つもの、渦巻くもの、湾曲するもの、反り返るもの、千差万別の肢体を弄して、或いは地に伏し、或いは天を摩店(ま)しています。

「あなた・・・・・・」
そうしてその時、私の愛らしい恋人は、こう云いかけて軽く私の茶母とたもと)を引きました。

「あなたは何が珍しくて、そんなに見惚(みと)れていらっしゃるの?この公園へはたびたびお出でになったのでしょう?」
「私は此処へ何度も来ている。」

そう云わなければ恥辱を受けるように感じて、私は慌てて頷きました。「・・・・・・だがしかし、幾度来ても私は見惚れずにいられないのだ。それ程私はこの公園が好きなのだ。

「まあ。」と云って、彼の女はあどけなくほほ笑みながら、「魔術師の小屋は彼処(あすこにあるのです。さ早く行きましょう。」
と、左手を挙げて、その大通りの果てを指さしました。



引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊



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