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2021年01月17日

「魔術師」本文 vol,12

「魔術師」VOL,12


しかも一層驚くべきことは、素肌も同然な肉体に伽羅を纏うた数百人のチャリネの男女が、淡々と輝く火の柱によじ登りつつ、車の廻(めぐ)るにしたがって、上方の輻(や)から下方の輻へと、順次に間断なく飛び移っている有様です。

遠くからそれを眺めると、車輪全体へ鈴なりにぶら下がっている人間が、火の粉の降るように、天使の舞うように、衣を翩々(へんぺん)と翻して、明るい夜の空を翺翔(こうしょう)しているのでした。

私の注意を促したのは、この車ばかりではなく、ほとんど公園の上を蓋(おお)うている天空のあらゆる部分に、奇怪なもの、道化たもの、妖麗なものの光の細工が、永劫に消えぬ花火の如く、蠢(うご)めき、閃めき、のたくっているのを認めました。

もしあの空の光景を、両国の川開きを歓ぶ東京の市民や、大文字山の火を珍しがる京都の住民にみせたなら、どんなにびっくりすることでしょう。

私がその時、ちょいと見渡したところだけでも、未だに忘れられない程の放胆な模様や巧緻な線状が、数限りなくあるのです。たとえて云えば、それは誰か、人間以上の神通力を具備している悪魔があって、空の帳(とば)りに勝手気ままな落書きを試みたとも、形容することができるでしょう。

或いは又、世界の最後の審判の日、D
oom's Dayの近づいた知らせに、太陽が笑い、月が泣き、彗星が狂いだして、種々雑多な変化星が、縦横無尽に天際を曳航するのにも似ているでしょう。


引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊

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