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2021年01月16日

「魔術師」本文 vol,4

魔術師」VOL,4


「公園?公園に何があるのさ。」
と、私は少し驚いて尋ねました。

なぜと云うのに、私は今まで、その町にそんな公園のあったことを知らなかったのみならず、その時の彼(か)の女の言葉には、何処となく胡散臭い調子が潜んでいて、云わば秘密の悪事でも唆すように聞こえたからです。


「だってあなたはあの公園が大好きな筈じゃありませんか。私は初めあの公園が非常に恐ろしかったのです。娘の癖にあの公園へ足を踏み入れるのは、恥辱だと思っていたのです。

それがあなたを恋するようになってから、いつしかあなたの感化を受けて、ああいう場所に云い知れぬ興味を感じだしました。あなたに会うことが出来ないでも、あの公園へ遊びに行けば、あなたに会っているような心地を覚え始めました。

・・・・・・あなたが美しいようにあの公園は美しいのです。あなたが物好きであるように、あの公園は物好きなのです。あなたはよもやあの公園を、知らない筈はないでしょう。」


「おお知っている、知っている。」と、私はおもわず答えました。そうして更にこう云いました。
「・・・・・・彼処(あすこ)にはたしかいろいろな、珍しい見世物があった筈だ。世界中の奇蹟という奇蹟のすべてが集まっていた筈だ。

彼処(あすこ)には古代の羅馬(ろーま)に見るような、アムフイセアタアもあるだろう。
スペインの闘牛もあるだろう。それよりももっと突飛な、もっと妖麗な、hippodromeもあるだろう。それから私の大好きな、いとしい可愛いお前よりも尚大好きな活動写真があるだろう。

そうして彼(あ)の世界中の人間の好奇心を唆かしたFantomasやProteaよりも、もっと身の毛のよだつようなフィルムの数々が白昼の幻の如くまざまざと映(うつ)されているだろう。



引用書籍
谷崎潤一郎著「魔術師」中央公論社刊





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