ネコと贅沢　ボンビーライフ

例年4月はそれまで上り調子だった売上が落ち着き、
寒い時期に比べると商品の動きが活発ではないのだが、
今年は一段とおとなしく感じる。

4月というのは新生活が始まる時期だから
何かとお金がかかって
必需品ではないケーキを買う頻度が少なくなる。
だから売上が徐々に落ち始めるのだけれど、
そこに熊本で大きな地震が起きたものだから
明日は我が身と考えて
人々は財布の紐をきつくしてているのだろう。

東日本大震災以来、
プレートの境界上で起きる地震に関心が集まり、
次に起きる大地震は南海トラフ地震という報道が次々なされ
世間の視点がそちらにばかり向いていた。
ところがそれが地震の少ないノーマークに近い熊本の
それも活断層に由来する地震が起きてしまった。

しかもその被害の甚大さ。
それをリアルタイムに目にすることになったのだから
人々が動揺するのも無理はない。

震度６以上の大きな揺れが複数回発生し、
活断層に添って移動しながら何日も地震が続くという
過去に例のない地震となっている。

想定外の事態が起きるということが容易に想定される
という皮肉な雰囲気のなか、
人々がいざという時のために消費を抑えようという気になっても
全く不思議ではない。
景気の回復の遅れや老後不安の上に起きた今回の地震。
安心して消費できない世の中に拍車がかかってしまったのだ。

東日本大震災の時、
交通網が遮断されて食材が全く流通していなくて
店を開きたくても材料がなくて開店できない状況になった。
それ以来なるべく材料は多めに仕入れるようにして
いつ流通が止まっても数日は大丈夫なようにしてきたが、
今回の熊本地震で新たな問題が出てきた。

私が仕入れている材料の中で、
国内唯一と言っていいくらい
その通販サイトでしか扱っていない材料があるのだが、
その通販サイトの会社のある場所が
熊本の益城町だったのだ。

地震によって被災されたようで、
現時点においてそのサイトは閉鎖されている。
つまりその材料を入手する手立てが
現在の私にはないという羽目に陥っている。

もちろん地震による被災は事故なのだから
その会社に非は全く無いので責めるつもりはない。
一日も早く営業を再開してくれることを望んでいる。

が、しかし同時に、
こういった事態への対処も考えなくてはならなくなった。
いつどこでどんな災害が起きるか分からないのだから、
一つの仕入先がどうにかなってしまった場合にでも
自分の店が営業できるように仕入先を複数確保しておかなければ
立ちいかない状況になってしまった。

大会社ならそんな心配はクリアできるだろう。
常に大量仕入れをしてストックしたり、
複数の商社と取引したり、
何なら中間業者に頼らずに
自社輸入とか自社生産してしまうことも可能だ。

だが個人店舗だとそういうわけにはいかない。
輸入や生産を中止されたら
その材料を手にすることはできなくなる。
個人輸入するにせよ自家生産するにせよ、
多大な手間と時間と費用をかけなければならなくなる。

今後はそういった事態を想定した上で
メニュー作りしなければならない。

全くリスキーな世の中になったものだ。
熊本地震は対岸の火事ではない。
遠く離れていても影響が直結している。