どちらかといえばSF小説なのか?
内容的には「SF小説をベースにロボット要素とラノベ要素を乗っけた」と形容するのが適当なのだろうか、ただしSF色は特別濃くはない感じ。特に1巻はその傾向が強いようで、メインキャラが出揃うまでの様子はあまりロボットもの的な感じではなく、出揃ったあとも割とそんな雰囲気で話が進む。主に全くわからない敵の全容、目的を知る事が話の主な目的になっている感じ。基本的な図式は「謎の多い新兵器に一人だけ適応できる少女が海兵隊に配属された」と言う割とベタっちゃベタなもの、そこから二つの軸をベースに話が展開していく事になります。
ただ絵柄(挿絵深野洋一)はややアニメ的と言うか、漫画絵(ラノベ絵と言うより少女漫画の影響を受けた男の絵という感じ)といった感じですが、経歴を見ると割と納得、確かにそんな感じの絵を書いている人見たい。その為かやや硬めな作品内の雰囲気と比べてイラストはなんかみんな若い。
前書きによると、内容的にナデシコと似た部分が多い事が指摘されたようですが(これは機動戦艦的な意味であると共に遊撃宇宙戦艦的な意味も含まれていると思われる)、90年の作品のセリフリメイクなのでこっちの方が早いので問題ないらしい。
あらすじ放射能の中でかろうじて生き延びている木星圏、その厳しい状態に浸かる絶対人間主義と呼ばれる思想が広がり、地球に対して独立する動きが生まれる。そして鎮圧に向かった軍は、カリスト沖海戦と呼ばれる戦いでニューヨーク級強襲戦艦ザオウを失うのであった。海兵隊の「エドワード・カーター」はそこで部下を失い、人型兵器「ヒュームス」に乗るのをどこかで恐れ始めた。
その後、空間エアフォース(空軍)のエースパイロットである「オージェ・ナザーロフ」は新型ヒュームス「ギガース」を輸送する輸送船の護衛に付いていた、そこに海賊船が襲撃、オージェは迎撃に向かうが、戦闘機では分が悪い。ギガースのパイロット、「リーナ・ショーン・ミズキ」は戦闘機だけでは落としきれないと主張し出撃し、空軍と協力して海賊船を沈めるのだった。リーナはサイバーテレパスと呼ばれるコンピューターと心を通わせる事ができる能力者であり、それ故にギガースを任されていたのである。
しかし本来沈めるのは難しいと言われていた巡洋艦を空軍が沈めた事に疑問を持ったジャーナリスト、「コニー・チャン」は軍に対して無茶な方法で取材、ギガースは機密でありはぐらかされるが、何かを感づいて取材を続ける内に、月である記者に出会うのだった。
リーナはその後海兵隊に配属されるが、小娘が海兵隊に配属となると揉める事になるが、その後の出撃で軌道から外れた隊長を救出し、徐々に打ち解けていくのであった。
そしてアトランティスにオージェらの空軍がやってくる、木星の機動兵器「トリフネ」に対抗するには空軍の力が必要と言う事だが、海兵と空軍との関係で悶着、しかし今度は火星軌道に木星の艦隊が向かってきたのであった、リーナが何かを行いトリフネをかく乱したためになんとか撃退できたものの、木星の巡洋艦の1隻が火星のマスドライバーに特攻、火星の基地は補給が困難となり、アトランティスは事実上地球へ撤退となったのである。
コニーはその後も取材を続けていたが、であった記者が木星のスパイであった、その為捕まってしまうが、「ジンナイ」と言う議員により救出される。リーナはそのスパイが計画した月面のエイトケン天文台を襲撃をオージェと共に防ぐが、そのときに捕虜がリーナの事を木星の指導者である「ヒミカ」と呼んだのである…。
登場メカ主にヒュームスと言うロボット兵器と戦闘機の2種類がある。本編以外でも少し解説があるため比較的分かりやすい。
ヒュームス人型兵器。元々は単なる強化作業服だったが、軍事転用されて以降は人型兵器の通称になっている。元々はコロニーなんかの制圧用兵器だったが、軌道戦でも使用可能になっている。歴史としては単なる土木作業用が軍艦の整備などにも使われるようになり(軍艦のエンジンは核エンジンなので、ヒュームスの高い防護性能が求められた)、それがコロニー等の制圧用に使われ、その後宇宙空間から自力で目標に侵入できるように、そして宇宙空間で戦闘できるようにと強化されていった。推進剤の不足から戦闘は30分が限界。
テュール
M1、旧式のヒュームス。本来の使用目的であった制圧任務だけではなく宇宙空間の戦闘でも使用可能になったヒュームス。しかし常に3機で行動し、突撃艇から線をつけてエネルギー供給を受け続けないとならないと言う状況であり、通称操り人形。
クロノス:エドワード・カーター他
M2、テュールと違い突撃艇なしで運用可能だが、やはり稼働時間は30分が限界。テュールが外された突撃艇に搭載されることもある。ここまでは装備が無反動機関銃。
クロノス改:エドワード・カーター
M2‐A1、ギガースのデータを用いた改良型クロノス。装備は荷電粒子ライフルに変わっている他、スラスターも改良されている。アトランティスに配備されたが、数が足りないためテュール、クロノスも未だに運用されている。
ギガース:リーナ・ショーン・ミズキ
XM3‐G、全高は付録の資料を見る限り10.6m。現状操縦可能なのがサイバーテレパスのリーナのみである。クロノスではまだ宇宙での戦闘には不十分であった為に開発されたと言う事だが、事実上1機しか存在しない明らかに特殊な立ち位置であり、周囲を困惑させている。汎用性が高く、またライフルも無反動機関銃から荷電粒子ライフルに代わっている。月面着陸までなら可能。
戦闘機空軍(空間エアフォース)が使用している戦闘機、空軍の目的はあくまで惑星の軌道上での戦闘をする為の組織であり、本来は空軍、海軍と共に治安維持を目的として作られ、お互いに担当するエリアが違い、海軍との共同戦線を取る事はなかった。
ズヴェズダ:オージェ・ナザーロフ他
Mig-105bis(103との表記も有り、誤植?)。空間エアフォースに所属する戦闘機。宇宙戦闘機と言うより超高高度戦闘機と言う立ち位置。ミサイル4発を搭載しており、限りなく不可能に近いが巡洋艦を沈める事ができる。ギガースの護衛についていたが、ギガースのサポートも有りミサイルを巡洋艦クラスの海賊船(木星の影響下にある)に打ち込んでなんとか撃退した。
ツィクロン:オージェ・ナザーロフ他
Su‐107S。ズヴェズダの後継機として開発されている戦闘機、ヒュームスと同じ完全な閉鎖式コックピットになっており、宇宙での戦闘に特化した物となっている。武装もギガースと同じものを使っており、さらにミサイルもズヴェズダの4発から8発に増加している。それでズヴェズダとほぼ同じ加速力を実現している。
その他ニューヨーク級強襲母艦
4隻存在する、最も高価な船。
アトランティス
リーナ達の母艦。他のニューヨーク級と比べて遥かに大きな戦力が集められており、パイロットたちもそのことに疑問に思っている。
ザオウ
戦争の初期に起こったカリスト沖海戦によって失われた。
ダイセツ
アトランティスと行動を共にしている事が多い。
ニューヨーク
ネームシップ、空気。
ロングビーチとホーチミン
ロングマーチ級巡洋艦、アステロイドベルトをパトロール中に消息を絶ったという事で、生還は絶望視されていたが…?。
トラファルガー級重巡洋艦
複数登場するが概ね空気。
艦載機
特に名前はついていない、主に強襲母艦に搭載されている。ミサイルと無反動砲を搭載した戦闘ポッドないしは武装をつけたシャトルと劇中では呼ばれている、海軍はあくまで戦闘を艦が行う事が前提になっており、ヒュームスはあくまで施設等を制圧するのが主目的、艦載機もあくまで迎撃が目的の様子。最終的にアトランティスの艦載機は空軍機に入れ替えられる、他の艦に関しては未だに艦載機が使用されている模様。
木星木星の過酷な環境の中で生きる者たちが、突如としてヤマタイ国を名乗り地球から独立する動きを見せた。地球では一部の人間以外は内情はほとんど知られていない。兵士は主に連合軍の木星方面隊がそのまま参加しているらしい。
カガミブネ
巨大な鏡のようなものを展開している大型艦。全体的に謎が多い。
トリフネ
戦闘機とヒュームスの中間の性質を持つ兵器、基本は戦闘機だが、腕なども持っており、展開した姿が鳥のように見える。ヒュームス並みの作業能力を持ち、ほぼ戦闘機並みの推進剤を詰める。全体的に不可解な行動が多く、海兵隊を当惑させている。
感想等通常の解説の部分が割と感想になってる感が有りますが。作者は作家としてのキャリアの長い人なのである程度読みやすく、かつ話を引っ張る能力も高い様子。
絵柄に関してはなんかみんな若くってなんか吹いてしまう。一切挿絵がないならばなんとなくガンダムOVA位の絵柄で脳内再生されてたんでしょうけど。