世界中で根強い人気を誇るトランプゲーム「バカラ」。最も歴史あるカードゲームの一つであり、多くのテーブルゲームファンから愛されています。
ルールが単純でベットしやすく、かつ細かいルールを知れば知るほど、勝負に至るまでの過程が楽しめる、初心者から上級者まで引き付ける魅力にあふれているゲームです。
ところで、バカラは単純で初心者でも勝ちやすいことから、こんな疑問を聞くことがあります。
「バカラは、運のゲームなの?それとも、実力で勝つことができるゲームなの?」
結論から先に言います。バカラはまぎれもなく「運のゲーム」です。
あっさりと答えてしまい拍子抜けしたかもしれませんが、実際、バカラは実力の介入がほとんどなく、ほぼ運のみによって客の勝敗が決するゲームなのです。
ここでいう実力とは、確率的に妥当な、「勝つ方法」を着実に実行する能力、スキルのことをさします。
例えばポーカーにはもちろん運は大切ですが、札の捨て方、降りる判断、駆け引きなどに、実力の要素がかなりあります。
しかしバカラにはそういったものはありません。どのような打ち方をしても、上級者でも初心者でも、理論上、勝つ確率はほぼ変わらないのです。
ここで、バカラの一般的なルールを簡単におさらいしてみましょう。
バカラは「プレーヤー」と「バンカー」が勝負するゲーム。とはいえ「プレーヤー」と「バンカー」は仮想的な設定にすぎません
テーブル上でプレーヤーとバンカーが勝負する形にはなっているのですが、ベットする人は、この勝負自体には参加できません。
ディーラーが「プレーヤー」と「バンカー」のサイドそれぞれに、2枚あるいは3枚のカードを配り、その合計の末尾の数字の大きさで勝敗を決めます。
3枚目を引くか否かのルールは若干複雑ですが、2枚引いた時点での双方の数字で、自動的に決まります。ベットする側は、とりあえずこのルールは覚えなくてもよいのです。
客は、「プレーヤー」と「バンカー」どちらが勝つか、あるいはタイ(引き分け)か予想してベットします
この自分のベットした側に勝たせるために、できることはゼロ。つまり見るだけ。ここに実力が介入する余地はないのです。
客が決められるのは、どこにいくらベットするかという「賭け方」です。
では、このかけ方に、より勝ちやすい方法はないのでしょうか。何かしらの方法があれば、実力の差も生じ、運のゲームとは言い切れないことになります
この場合の「実力」とは、プレーヤーとバンカーのどちらのサイドが勝つ可能性が高いかを、見極めるスキルです。
たとえば競馬は、馬に関する知識、馬場の分析力などのように、より勝ちやすい賭け先を選ぶ方法があります。
しかし、バカラにはこれも(ほぼ)ありません。
どちらが勝つか負けるかは偶然によって決まりますから、それを予想する合理的な方法はありません。
ただし、中上級者の多くは、その人なりの賭け方の方法論をもっています
ベットする、しないの「おし引き」をしたり、あるタイミングで、ある種の確信をもって厚くベットしたりということがあるのです
しかしその有効性は理論的に証明できるものではありません。
たとえば、勝敗のメモをとり「プレーヤー(バンカー)の勝ち(負け)が連続しているから」と判断材料にする方がいます。もちろんこれは楽しみ方の一つですが、理論的な根拠はありません。
もっとも確率的に言うと、勝ちやすい張り方がまったくないわけではありません。
バカラは3枚目を引く、引かないのルールにより、バンカーのほうが少しだけ勝ちやすくなっているからです。また、タイは確率的に最も低くなります。
その分、予想が当たった場合の配当に差がつけられています。一般的なルールでは、プレーヤーの勝ちを的中した場合には、賭け額と同額が払い戻され2倍になりますが、バンカーの勝ちを当てた場合には、5%のコミッション(手数料)が差し引かれ1.95倍となります。
そして、タイを的中させた場合、8倍の配当を得ることができます(さまざまなルールがあります)。
コミッション率によりますが、勝つ確率と配当により、最も勝ちやすい賭け方が一応あることになります。
なおコミッション5%の場合、トータルでも少しだけバンカーが有利。また、タイは8倍の配当でも最も不利です。
ということは、ひたすらバンカーにベットし続けるのが「正解」であり、「実力」といえるのかもしれませんが、さすがにこの方法で打つことが「実力」というのは無理がありそうです。
ここまでお読みになって、「完全な運任せのゲームでは面白くないな……」と感じられた方もいるかもしれません。
しかし、バカラが多くの人々を魅了してきたのは、純然たる運の勝負であるからこそなのだはいえないでしょうか。
バカラは、ベット、各サイドのカードの公開、3枚目を引く決定、そして勝敗の決定、払い戻しと、各プロセスに感情の高まるポイントがあります。道具立て、手さばきの美しさ、カードの動き等、演出にさらに豊かさが加わります。
実に美しいのです
なにしろ運勝負でスキルが介入しないだけに、私たちにできることは、勝敗の行く末を見守ることのみ。余計なことを考えず、ただひたすらに、目の前の非日常的な光景に没入し、胸を高鳴らせればよいのです。
いうまでもなく、勝利を収めたときの気持ちは格別。
まったくの偶然なのに、否、偶然だからこそ、まるで世界から祝福されているかのような陶酔感が味わえます。この、プレイした人にしかわからない至福の瞬間が、多くの人を虜にしてきたのです。