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タグ / クロア

記事
クロア篇−1章6 [2019/01/20 23:23]
 ベニトラ用の飲み水を取りにいったレジィはまだもどらない。クロアはダムトと話していてもまた口喧嘩に発展しそうだと思い、自身の膝でくつろぐ朱色の猫に意識を向ける。この獣はさきほど「人里には住めない」とクロアに告げた。孤高な生き物のような宣言だ。しかし実際の態度はとてもお高くとまった感じには見えない。ベニトラは人に触られることをこばまないのだ。 (いやがる気力が出ないほど、よわっているの?)  捕縛された魔獣の瞳は疲れきっていた。クロアが猫の顔をのぞくと、やはり目をつむってい..
クロア篇−1章5 [2019/01/19 23:58]
 クロアは自室にもどり、武装を解こうとした。その際に抱いていた猫を寝台のふちにのせる。猫は脱力した状態で、ふかふかな布団に腹這いになった。その様子を見たレジィが「あ、いいんですか?」と申し訳なさそうに言う。 「お布団のうえは清潔になさったほうが……」 「この子、よごれてる?」  この子、とは体を小さく変じたベニトラのことだ。よごれらしいよごれは見当たらず、クロアはこの生き物を清いものとして見ていた。 「いえ……ずっと外で生活をしてた子ですし、一回は体を洗ったらいいかな..
クロア篇−1章4 [2019/01/18 17:30]
 屋敷内の門の下を荷台が通過する。荷を引く馬が進行を止めないうちからクロアは荷台に駆けよった。朱色の魔獣は荷台に縛りつけられてある。ねむっているかのようにおとなしいが、その口元はモソモソうごいていた。起きているのか、夢の中でなにかを食べているのか。クロアはその判断ができそうなダムトをあおぐ。 「この魔獣、寝てるの?」 「そのフリをしているようです」  ダムトがそう言ったとたん、馬と荷台の見張りをしていた兵士たちがどよめいた。馬を誘導していた者まで慌てだすので、馬はその場..
クロア篇−1章3 [2019/01/17 23:13]
 クロアは飛馬のおもむくままに行かせた。クロア自身は飛馬を操縦した経験があまりなく、いつもはダムトが付き添う。信頼する保護者がいないいまでは空中散歩をたのしむ余裕はなかった。しかしここでビビっては同乗するレジィに不安をいだかせてしまう。それゆえ、平常をよそおって「この景色を見ておきなさい。いつもは見られないからね」ともっともらしく語った。  飛馬は屋敷の厩舎のあたりで着地した。この場にいない乗り手が出した命令に忠実に沿ったのだ。クロアとレジィが下馬するのを厩舎担当の官吏が手..
クロア篇−1章2 [2019/01/16 20:30]
 クロアたちは自分たちが住む町をめざした。クロアが魔獣を担ぐ間は飛馬が使えないので、行きの数倍の時間をかけて歩く。町を発ったのが午前。魔獣を捕獲し、町の遠景を発見したころには昼食時を大きく過ぎていた。飛馬を利用すればまたたく間に行ける道のりが、徒歩ではかなりの時間を食う。クロアは飛馬のありがたみを痛感した。  クロアの住む町の名はアンペレといい、周囲が外壁でかこまれている。その壁は何度かの拡張の痕跡があった。この町は種々様々な工房を擁する。ゆえに、事業が発展していくと必要な..
クロア篇−1章1 [2019/01/14 23:23]
 山中の岩壁に洞窟があった。洞窟の中は横幅および高さがある。広さは人ひとりが雨宿りに利用するには広すぎるほど。その洞窟内に、一体の獣が逃げこんだ。それを二人の男女が追いかける。獣は洞窟内の突き当たりで止まり、追跡者のいるほうへ向きなおった。  獣は虎に似た特徴をもち、燃えるような朱色の毛皮を逆立たせている。いまにも飛びかからんという姿勢で人間に牙を見せた。獣は闘争心にあふれている。そんな猛獣を目前にした人間は落ち着きはらっていた。彼らは簡単な武装をしており、獣との応戦はこの..
クロア篇−* [2019/01/13 00:00]
 鬱蒼とした木々の合間を通る男がいた。背が高い壮年は黒い長髪を整えもせず、無造作にたらしている。彼が着る衣類はかつて上等な素材だった。いまでは所々にほつれが目立ち、みすぼらしくなっていた。だが、男には貧しさを感じさせない特徴をもっている。  一つは彼の首にさがる、宝石をふんだんにあしらった装飾品。十字の形をした首飾りだ。その昔、名僧が国王よりたまわった貴重な一品だったという。名僧の関係者が彼に贈ったものだ。しかし彼自身は僧侶と無縁であり、むしろ真逆な立場にいる。男は僧たちの..
クロア篇の登場人物 [2019/01/12 00:40]
用語の解説はできてないですがフィーリングでお読みください。 主要な登場人物 ◇クロア 聖王国内の領主の長女。高身長で力自慢な公女。 生粋の人間ではなく、母親が半分魔族の血を引いている。 外見は人そのものだが、親から受け継ぐ人外の血の影響により、幼少期から怪力を誇る。 次期領主として周囲からは尊重されており、本人もその気ではいる。 だが公女の机上仕事を難しく感じる現状、さらに煩雑な領主の仕事を率先してやりたいとは思っていない。あわよくば妹か弟に押し付けたいと考..
クロア篇に関する設定 [2019/01/05 13:00]
時代はトリフ暦980年設定(現状はあまり意味のない舞台背景) 聖王国アンペレ クロアの住む領地内の都市部。物作りが盛んな職人の町。 地理的に尚武の国と近い。その国の中には商売が盛んな町があり、その町へ納品する物や聖王国内に輸入する商品の流通も担う。 物を作るか商売をするかという人が集まりやすく、そのせいで武芸を志す者がよその地域に流れていく。 結果、万年兵力不足に悩まされている。 お隣の国とは仲が良いので攻められる心配はないが、領内の犯罪や害獣被害には後手に回りが..
クロア篇の裏設定 [2017/12/30 21:30]
本編では全容が解明できてない設定群。 気になる項目をクリックすると隠れた文章が表示できます。 クロア篇は今の調子だと1作かぎりになりそうなので思いきって公開します。 2020年10月7日から掲載開始。この記事は過去に投稿したページを再利用しています クロアが私用の外出させてもらえない理由 クロアが正統な公女でないと気づく者との遭遇率を下げるため。 領内の官吏にも気づける者はいるが、他言しないよう口裏を合わせてきた。 クロア個人の勝手な外出のみ規制がかかってお..
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