推理デスゲーム。
主人公は共同生活体験ゲームを開発した。
自分の脳のデータを送ることで、人工知能プログラムを搭載した架空の人物たちと楽しい共同生活を送れるゲームだった。
しかし何者かによってゲームが乗っ取られ、主人公は元の世界へ帰れなくなってしまう。
「アナタ達にはこれから殺人事件を起こしてもらいます。」
「主人公には犯人を当ててもらいます。正解なら犯人は公開処刑、不正解なら犯人にご褒美を…」
オーバースペック(特殊能力)を持った架空の人物(人工知能キャラクター)達と繰り広げられる殺し合い。
結論から言うと、非常に面白かった
フリーゲームの推理ゲームでは、歴代トップ5に入るクオリティでしょう
推理ゲームは、一般ゲームでもフリーゲームでも、作るのが難しい
何せ推理系のシナリオを書くだけでも勉強しないといけないことが多いのに、ゲームにするとなると、破綻の修正だけではなく、絵やフラグとの整合性など、考えないといけないことが多い
そんな中、本作は1話完結の続きもので、推理ゲームを作る上での繁雑さをかなりスムーズに解決してる。登場する毒物なども独自のものだ
何々の毒は実際には悪臭がするので飲み物に混ぜるのは現実には無理だ〜〜〜なんてディティールも考えなくていい
舞台は主人公が作った電脳世界。
開発中に削除した人工知能キャラクターが反逆を起こし、主人公たちに殺人事件とデスゲームを強制させる
推理ゲーム+デスゲームという複合ジャンルだが、タイトルにもなってるように、実質推理ゲームかな
デスゲームによって次々に容疑者が減っていくので、一風変わった推理が楽しめる
「逆転裁判」でいう法廷パートが、犯人当てをするデスゲームになっている
血も現実離れした色だし、犯人は処刑されるが、「ダンガンロンパ」の影響かな
最後に犯人を追い詰めるために、身体や服装から物的証拠を探すスタイルも、面白い
普通の推理ものと違い、キャラクターがオーバースペックと呼ばれる特殊能力を持ち、それによるチート、トリックで殺人を行う
推理小説というより、SF要素の強いラノベ風だ。西尾維新とかね
でもそんな、現実では有り得ない「オーバースペック」やSFルールを推理に絡めた論理矛盾の少ない実証は見事という他なかった
主人公は探偵役なので誰も殺せない、誰にも殺されない、自殺もできない…という能力を持つが、死なないのをいいことに、敢えて毒死をして毒について改めたりね
オーバースペックを使い、ロジカルな推理で証拠を突き付け、犯人を追い詰めるのは、ワクワクした
逆に、犯人のオーバースペックにより翻弄される展開、推理合戦も熱い
キャラクターも人工知能という設定だが非常に人間味があり、喜怒哀楽も強い
仲間を追い詰める葛藤や、仲間の死による悲しみなど、キャラクターがちゃんと生きたシナリオだった
「フィギュアディテクト」ってネーミングも、かなり秀逸だと思う
立ち絵は普通膝までだが、全身が描かれているのも珍しい。
差分がかなりあって、視覚的にも楽しめた
親切設計なので、捜査も討論もサクサク進める事ができた
というわけで…
ご都合主義、何気ない台詞、パロディ、いかにもなゲーム的演出…
これらすべてが「巧妙な伏線」だった本作の最終章、ネタバレ感想
二転三転するストーリー…
こいつが犯人だと確信した後の、怒涛のどんでん返しと真犯人…
プレイヤーを騙すギミックの数々…
いや、すごいわこのゲーム…
最後の犯人であるズズが死に、イリシーとのサドンデス
だがそんなイリシーもまた死んでいた…
自分を参加者だと名乗り出なかったラエラとの最後の戦い
果たしてイリシーを殺したのはイリシーの自殺か、ラエラか…
ここからの目まぐるしい展開は間違いなくこのゲームのピークなのだが、これまでのストーリー、殺人事件を全て伏線に使い、「ダンガンロンパ」の影響なんだろうな程度に思っていた血の色まで、「表現規制をかけていた」という舞台設定に絡め、イリシーの自殺という最終結論まで持っていくどんでん返しが、本当に秀逸
そしてラエラの自殺でこのデスゲームは幕を降ろすが、最初から死に場所を求めてたのかなあ…
開発者としてそんなラエラすらも愛する主人公…
終わってみれば主人公を乗っ取ろうとしたキャラもいないし、皆悪い奴じゃなかったんだよな…(一部相当アレだけど)
あ、「フィギュアディテクト」は友達がいない女性が、熾烈な仮想体験を経て、現実で成長するストーリーだったんやな…って
評価A+
85点
デスゲーム系でも、「キミガシネ」以来の傑作だった
これだけの面白さでありながら、本作は、余りプレイされていない
ルーキーの新規タイトルということで、知名度も低いのだろう
作者のツイッターフォロワーも、たったの2だ
だがその完成度は飛び抜けてた。間違いなくおすすめの一作です
これが私の……最終結論よ!
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