2019年08月16日
カミカゼの奇跡
台風10号が西日本を直撃
お盆の真っ只中というのに、超大型の台風10号が西日本に上陸して各地で被害が出てしまいましたね。
JR西日本では台風の備えとして、前日から予告して新幹線を終日「計画運休」するという前代未聞の事態になりました。
地球温暖化の影響で台風の勢力も年々増してきているのでしょうか?
しかし、台風の脅威は天候を全く予測できなかった時代、現代とは比べ物にならないほどの被害をもたらし、人々を恐怖に陥れたと考えられます。
そこで、今回は日本史上、台風がターニングポイントとなった事件、「元寇」について語りたいと思います。
ユーラシア大陸を席巻するモンゴル帝国
1206年モンゴルを統一したチンギス・ハン(成吉思汗)は、その後西方に進出し、アジアからヨーロッパにまたがる大帝国を築きました。
チンギス・ハンの孫・フビライは首都を大都(現在の北京)に移し、1271年国号を元と改めます。
高麗(朝鮮半島)も服属させた元は1268年以降、実に6度にわたり日本に使節を派遣し、朝貢と服属を要求しました。
鎌倉幕府八代執権・北条時宗は元の要求を拒否、元の襲来に備えて九州の御家人(鎌倉幕府直属の武士)に異国警固番役という沿岸地域の警備を命じます。
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蒙古襲来
文永十一年(1274年)文永の役
ついに元は高麗を従えた約3万の軍勢をもって日本征服に乗り出します。
その手始めとしてまず対馬と壱岐に侵攻しますが、元軍の圧倒的な兵力の前に日本の守備部隊は壊滅してしまいます。
この時、元軍は島民の多くを殺し、捕虜(ほとんどが女性)にした者の手のひらに穴を開けて鎖で繋いだと言われています。
勢いに乗った元・高麗の連合軍は博多湾に上陸、これを九州の御家人が迎え撃ちます。
この時代、日本の武士はどれだけ多くの軍勢であろうとも、一人が歩み出て「やあやあ我こそは〇〇である!」と、お互い名乗り合ってから戦う一騎打ちが戦い方の基本でした。
そんな日本の武士道精神など知ったことではない元軍は、武士が名乗りを上げている最中に集団で襲い掛かり、さらには「てつはう」という火薬兵器を使い、さんざんに日本軍を苦しめます。
『蒙古襲来絵詞』
しかしこの時、九州地方を暴風雨が襲い、元の船団に大きな被害をもたらしたため、元軍は撤退します。
弘安四年(1281年)弘安の役
その後、南宋を滅ぼし中国制服を完了(1279年)した元は、改めて日本に服属要求の使節を2度にわたり送りますが、北条時宗はこの使節を2度とも処刑します。
これに烈火の如く怒ったフビライは、今度は14万もの大軍を東路軍・江南軍の二手に分けて再び日本に侵攻します。
しかし、日本軍は水際でよく戦い、元軍の上陸を許さなかったのです。
船団の上陸を阻まれたまま再び暴風雨に遭った元軍は大打撃を被り、撤退しました。
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なぜ元は日本を征服できなかったのか?
元は圧倒的な兵力を持ちながら、日本征服に失敗したのには以下の理由が考えられます。
@連合軍の統制がとれず、士気も低かった
元は服属させた高麗や滅ぼした南宋の兵士を動員したので、言葉が通じないこともあり(元はモンゴル人、高麗は朝鮮人、南宋は中国人)指揮系統が乱れていて、まとまりがありませんでした。
それに第一、高麗や南宋の兵士は元に命令されてイヤイヤ遠征させられていたので、日本と戦う気など元々なかったのです。
A日本軍が団結して予想以上に奮戦した
寄せ集めだった元軍に対して、迎え撃つ九州の御家人たちの団結力は強く、また対馬・壱岐における元軍の残虐性を伝え聞いた武士たちは、もし負けたら自分たちも同じ目に遭うと、それこそ必死で戦ったので大軍に負けなかったと考えられます。
B元は海戦が不得手な上に暴風雨に襲われた
もともと海のない地域から勢力を広げたモンゴル人は、陸上の戦いでは無敵を誇りましたが、海戦の経験は少なく、軍船もりっぱなものではありませんでした。
対する日本は海に囲まれた島国なので、海から攻めてくる敵への対処法を心得ており、大軍が水際で攻めあぐねているうちに暴風雨に襲われたため、元の船団が壊滅的打撃を受けたのです。
なお、二度にわたり蒙古襲来から日本を救ったとされる暴雨風=”神風”ですが、実は台風ではなかった可能性があるのです。
なぜなら、一回目の文永の役が行なわれた時期は今の暦になおすと11月半ば過ぎにあたるからです。
日本が亜熱帯化している現代ならともかく、ちょっと台風とは考えられません。
その点、二回目の弘安の役は真夏に行なわれたので台風だと思われます。
まとめ
- アジアを席巻し大帝国を築いた元は日本征服を目論む
- 元は二度にわたり日本へ侵攻するがいずれも失敗に終わる
- 文永の役の暴風雨は台風ではなかった
台風でなかったにせよ、日本の危機に”カミカゼ”が吹いたことは事実のようですね。
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