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2016年05月07日

事例研究行政法第2版 第1部問題4 ラブホテル建築規制条例をめぐる紛争

設問1
1 処分(行訴法3条2項)とは、国又は公共団体の行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものを言う。
 この定義から、ある行為が処分に当たるための要件は@公権力性、A法効果性、B具体性(紛争の成熟性)と解する。
2 本件不同意は、乙市市長という行政庁の行為だから公権力性がある(@充足)。
 Aについて、不同意の決定(条例3条3項)は、条例の規定上、それ自体が直接に何らかの法的効果を生じさせるものではない。建築基準法上も、市町村長の同意が建築確認の要件となるという規定はないから、建築主は、条例3条2項の同意を得なくても、建築確認申請をして建築確認を受け、建築を進めることは可能である。そうすると条例3条3項の不同意決定の法的性質は観念の通知であり、処分に当たらないとも思える(A不充足)。
 そのうえ、不同意決定を無視して建築確認申請をし、建築確認を得て建築を進めた場合、条例により建築中止命令を出されるおそれがある(条例6条)。この中止命令は罰則で担保されているから(条例11条)、処分に当たることは疑いない。そうすると、B紛争の成熟性の観点からも、建築主には中止命令の取消訴訟を提起させれば足りるとも思える。
 しかし、不同意の決定を争いたい建築主は、不同意決定を無視して建築を進め、中止命令を出されるまで争えないというのは迂遠であり、不同意決定が出た段階で不同意決定自体を争わせた方が紛争の実行的解決に資する。また、不同意決定にもかかわらず建築を進めたい建築主が不同意決定が出た段階で取りうる手段は、不同意決定を無視して建築確認申請をし、建築確認を得て建築を進めることしかない。また、乙市では過去、同様の事例でほぼ確実に中止命令が出されている。このような法の仕組みと運用を考慮すると、不同意決定が出た段階で、建築を進めたい建築主は、将来中止命令を受けるべき法的地位に立たされたと評価できる。そうすると、不同意決定の段階で実質的に中止命令という法的効果が発生し、紛争が成熟していると言いうる(AB充足)。
3 したがって、本件不同意は処分に当たる。
設問2
1 Aが甲県に対して抗告訴訟で争う場合、建築確認の義務付け訴訟(行訴法3条6項2号)が適切である。この場合には建築確認がなされない不作為の違法確認訴訟を併合提起する(同法37条の3第3項1号)。
2 甲県の対応の行政法上の評価
 甲県は、Aに対し、行政指導をしていることを理由に建築確認を留保している。行政指導という事実行為により建築基準法6条4項の期間を経過して建築確認を留保することが適法かが問題となる。
 この点は、行政指導を理由に建築確認を遅延させることは直ちに違法ではないとされている(判例)。しかし、申請者が行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず行政指導を継続し建築確認を留保することは、任意の協力を求めるという行政指導の性質(行手法32条1項参照)に反し、違法である(同33条)。甲県という地方公共団体の行政指導には行手法は適用されないが(行手法3条3項)、同内容の行政手続条例があるからこの議論が当てはまる。
 本件ではAは出店計画を一切変更するつもりがないことをはっきりと言っているので、「行政指導に従う意思がない旨を表明」している。
 したがって、Aに対してこれ以上の行政指導を続け、建築確認を留保することは違法である。  以上

事例研究行政法第2版 第1部問題3 指定医師の指定取消しをめぐる紛争

設問1
 Xは、甲県医師会会長を被告として、指定医師の指定の取消処分の取消訴訟を提起すべきである。
設問2
1 実体法上の違法事由(比例原則違反)
(1)Xの主張
 Xは、たった2例と少なく、かねてよりのXの人工妊娠中絶反対の主張につじつまを合わせようとしたもので悪質でない人工妊娠中絶の届出義務違反により、指定医師を取消されるのは比例原則に違反すると主張すべきである。
 比例原則とは、行政処分が行われるのは必要な場合でなければならないという必要性の原則と、必要な場合であっても目的と手段が比例していなければならないという過剰規制の禁止を内容としており、元来は警察権の行使の場合に用いられていたが、現在は権力的な行政行為一般に妥当するものと解されている。
 Xは、かねてより人工妊娠中絶反対を公言していたのであり、そのこととつじつまをあわせるために問題とされた届け出義務違反を行ったのであり、悪質性がない。また、違反の回数も2例と少ない。加えて、人工妊娠中絶自体は母体保護法の要件を満たしている。そうすると、取消処分の必要性がない。仮に必要性を肯定したとしても、警告、停止(規則15条本文)等、打撃緩和措置を採り得るのであり、突然に取消すという手段は均衡を失している。
(2)反論及び結論
 反論として、人工妊娠中絶の届出義務は指定医師としての最も基本的な義務の一つであり、これを履行しないのは重大な義務違反である。このような重大な義務違反が2例もあり、しかも過失によるものではなく故意によるものであるから、悪質性が大きい。したがって、比例原則に反しないというものが考えられる。
 しかし、25条違反は罰金で処理されるのが法で予定されていることからすれば(32条)、25条違反は被告の主張するほどに重大な義務違反とは到底考えられない。Xに対してなんらの打撃緩和措置を採らずに指定を取り消すのは明らかに均衡を失している。
 したがって、Xの主張は認められる。
2 手続上の違法事由
(1)聴聞手続の欠缺
 指定医師の取消しは不利益処分(行手法2条4号)に当たるから、原則として聴聞手続(同13条1項)が必要である。しかし、本件では聴聞手続きがなされていないから、違法である。聴聞手続きがあれば本件のような明らかな比例原則違反の処分はなされなかったと考えられるから、かかる手続違背は取消事由となる。
 これに対して、被告はXに事実関係を確かめたことを主張するかもしれないが、法定の様式(15条)にのっとっていないため、聴聞に当たらない。また、手続違反が取消事由にならないことも主張しうるが、聴聞手続きを欠くことは重大な違法であるから、認められない。
(2)理由の不備
 指定取消しの通知書に書かれた理由は不備であり、違法(行手法14条)である。理由付記の趣旨は行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制し、不服申立ての便宜を与えることである。侵害処分に対しては、特段の事情のない限り、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用したかを処分の相手方が記載自体から知り得ることが必要である。本件の記載は適用条文が書かれているが、適用の号が書かれていないため、Xは問題の人工妊娠中絶がどの違法事由として評価されたのか記載自体から知ることができない。
 しかし、適用条文は記されているから、この程度で恣意の抑制と不服申し立ての便宜を図る趣旨は達成されている。その事実関係のあてはめは聴聞手続き等で示されれば足りると解され、号数までをする必要はない。
 したがって、行手法14条違反は認められない。  以上


事例研究行政法第2版 第1部問題2 予備校設置認可をめぐる紛争

設問1
1 取消事由のついて
 Xは取消事由として行手法5条違反を主張できるか検討する。
 同条は申請に対する処分に適用される(申請と処分の定義について行手法2条2号、3号)。Xが行った学校教育法(以下「法」)4条の認可の法的性質は、都道府県教育委員会が無認可の各種学校に教育中止命令をだすことができ(法136条2項)、その命令は罰則で担保されている(法143条)から、処分(行手法2条2号)である。そしてXの申請は、中止命令を出されずに教育をするという利益を付与する処分を求めるものであり、法4条より都道府県知事に応答義務が課せられていると解されるから、申請(行手法2条3号)に当たる。したがって、本件には行手法5条が適用される。
 行手法5条は1項で審査基準を定めることを行政庁の義務として定め、同3項で審査基準の公表義務を定めている。本件でXはY県の担当部署に審査基準がないか問い合わせた際、ないと返答を受けたため、この返答が真実ならば5条1項違反であり、この返答が真実でなくても公表されていなかったと認められるから5条3項違反である。
 もっとも、行手法違反があってもそれが取消事由となるかを検討しなければならない。手続法違反があっても、当該手続きを行ったとしても結果が変わらなければ取消事由とするほどの重大な瑕疵ではないと考えられるからである。しかし、「地元予備校間での過当競争を防ぐための適正配置」が考慮されることが知らされていれば、Xとしては定員の削減などの対策をとることが現に可能であったのだから、審査基準を知らされていたならば本件の不許可処分は出されなかった可能性がある。
 したがって、本件の手続法違反は取消事由となる。
2 X勝訴の場合のY県知事の義務
 取消判決は処分庁を拘束する(行訴法33条1項)。そのため、Y県知事は、審査基準を定め、又はすでに定められている審査基準を公表して、改めてXの申請に対する処分をしなければならない(同33条2項)。
 許可処分が義務付けられるわけではない。Xは、勝訴判決により許可処分を確実に得たいならば許可の義務付け訴訟を併合提起すべきである(同3条6項2号、37条の3第3項2号)。
設問2
1 取消事由について
 都道府県知事が各種学校を認可するための要件は法に規定がないから、都道府県知事の裁量事項であるが、まったくの自由裁量ではなく、法の目的に拘束される。そして、実際に都道府県知事の判断過程で当然尽くすべき考慮を尽くさず、または本来考慮すべきでない事情を考慮に入れもしくは過大に評価すべきでない事情を加重に評価した場合には、その判断過程に誤りがあり違法となると解する。
 法4条の認可をするにあたり考慮すべき事情は同法には規定がないから省令を参照する。各種学校規定(以下「省令」)2条は、各種学校の水準の維持、向上を図る努力義務を定めている。ここでいう水準とは教育水準であることは明らかである。そうすると、省令の生徒数(4条)、入学資格(6条)、教員数(8条)の定めはいずれも一定の教育水準を確保する目的と解される。また、省令9条は保健衛生に言及しているから、教育水準維持とともに保健衛生確保の目的も考慮しうる。
 本件で考慮されたのは「地元予備校間での過当競争を防ぐための適正配置」であり、教育水準維持とも保健衛生確保とも異なる。したがって、本件の都道府県知事の判断は本来尽くすべき教育水準維持や保健衛生確保の考慮を尽くさず、本来考慮すべきでない予備校間の適正配置を考慮に入れたものであり、判断過程に誤りがある。
 したがって、本件処分は違法である。
2 Y県知事の義務について
 取消判決は処分庁を拘束する(行訴法33条1項)。そのため、Y県知事は判決の趣旨に従い、予備校の適正配置を考慮せずに改めて申請に対する処分をしなければならない(同33条2項)。同条により、Xは改めて申請をする必要はない。
 許可処分を得たい場合に義務付け訴訟を併合提起すべきことは設問1と同様である。 以上

事例研究行政法第2版 第1部問題1 ソーラーシステム設置の補助金をめぐる紛争

設問1
1 Aの主張の法的根拠
 Aの主張は法律の留保原則に基づくものと考えられる。法律の留保とは、一定事項について行政行為をするには法律の根拠が必要であるという原則である。一定事項とは何なのかについて、種々の見解があるが、主なものは自由主義の観点から国民の権利利益を侵害する行政行為と解する侵害留保説と、自由主義に加えて民主主義の観点から基本権の実現について本質的な事項と解する重要事項留保説である。Aとしては、重要事項留保説を採用し、補助金の交付は給付を受けるという重要事項だから法律事項であると主張したい。
2 Y市長の反論
これに対してY市長は、侵害留保説に立ち、補助金の交付は国民の権利利益を侵害する行政行為ではないから法律の根拠は不要と主張したい。内閣法11条は侵害留保説を前提としていると解されるから、この反論は認められやすいと考えられる。
設問2
 処分(行訴法3条2項)とは、国又は公共団体の行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものを言う。この定義から、処分の要件は@公権力性、A法効果性、B具体性(紛争の成熟性)と解される。
 Y市としては、補助金の交付はY市と住民との契約関係であるから、@を欠くと主張しうる。しかし、条例には「申請(3条)、決定(4条)、決定の取消し(6条、11条)という処分について用いられるのと同様の文言が用いられている。また、交付決定の取消しには理由の提示が求められているが(条例14条)、ここからは交付決定の取消しを行手法上の不利益処分とする立法者意思が看取される(行手法14条参照)。そのため、本件決定には@公権力性があると解すべきである。
 ABが認められることは明らかである。
 したがって、本件決定は処分に当たる。
設問3
1 Bの主張
 Bは@資料1の補助金交付要綱(以下「要綱」3条)の補助対象者に該当するにもかかわらず補助金の交付を受けられないのは要項3条に違反すること、及びA同じ条件のCが交付決定を受けて自分が受けないのは平等原則(憲法14条)違反であることを主張しうる。
 なお、手続違反を主張したいが、本件決定は規則に根拠を置く地方公共団体の処分であるから行手法の適用がなく(行手法3条3項)、行手法違反は主張できない。
2 Y市の反論
 @についいては要項3条は要項1条の目的の範囲内で適用される条文であり、要項1条の目的には「予算の範囲内において」とあるのであるから、予算が尽きた以上3条の適用はないと反論できる。
 Aについては以下のように反論できる。平等原則の適用に当たってはどこに基準(ベースライン)を設定するかが重要である。Bの主張は、給付を受けうる地位がベースラインとなることを前提としている。しかし、本件の補助金は行政府が政策的に恩恵として与えているものであり、補助金を受けられないのが原則であるから、ベースラインは補助金を受けられないことに設定すべきである。そして、Bは、6月以降に申請をしたすべての者と平等に補助金を受けられないだけでえあるから、平等原則違反はない。  以上

2016年05月06日

行政法 予備試験平成23年度

設問1
1(1)「処分」(行訴法3条2項)とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものを言う。ある措置が「処分」に当たるか否かは、上記定義が示す要件に当てはまるか否かの他、法の仕組みから当該措置に取消訴訟の排他的管轄を及ぼす必要性があるか否かを考慮して決められている。
(2)本件条例は、モーテルの新築等の規制のため、@不同意決定の通知(6条)、A中止勧告又は中止命令(7条)、B公表(8条)という三段階の措置を規定している。
 BはAの中止命令に対する制裁の趣旨であり、弁明の機会が付与されているから(8条2項)、「処分」に当たる。そして、Aのうち中止勧告は後に制裁が予定されていないから「行政指導」(行手法2条6号)であるが、中止命令は、後にBの制裁が予定されているから、国民に義務を課すものといえ、「処分」と解しうる。
2(1)では、@を「処分」と解する必要があるだろうか。
(2)解する必要はないとする論拠として、Aを処分と解してAの差止訴訟(行訴法2条7項)を提起すれば足りること。@を処分と解すると出訴機関の制限(行訴法14条)にかかり権利救済に不適当であることが考えられる。
(3)しかし、本件条例は建築不同意事由(5条)該当性を町長の判断に係らしめており(4条)、建築主は自ら5条列挙事由非該当性を証明する手段は存在しないのであるから、建築主としては、@の段階でそれ以降の建築を断念するか、同意のないまま建築を進めてABを受けるしかない法的地位に立たされたものと評価できる。また、仮に@の処分性を認めずAの行為の差止訴訟を提起したとしても、争点は結局のところ@の違法性の有無となると考えられるから、@自体を争わせたほうが紛争解決手段として直截かつ簡明である。
3 したがって、本件不同意決定は「処分」に当たる。
設問2
1 提起すべき訴訟
Aは、乙町を被告として(行訴法38条1項、同11条1項1号)、本件条例6条の同意決定の義務付訴訟(同3条6項2号)を本件不同意決定の取消訴訟と併合して(同37条の3第3項2号)提起すべきである。
2 訴訟要件
(1)原告適格は「法令に基づく申請…をした者」(37条の3第2項)に認められるところ、Aは本件条例3条に基づく申請をしているのでこの要件を満たす。
(2)義務付訴訟でAが勝訴すれば乙町長は同意をしなければならなくなり、同意を得ればAは希望する建築ができるから、訴えの利益はある。
(3)本件不同意決定が出されたのは2011年2月18日であり同日Aに通知されたところ、Aは同年7月上旬に弁護士Cに相談しているので、まだ出訴期間(14条1項)は経過していない。  以上

行政法 予備試験平成24年度

1 実体的違法について
(1) 本件処分の理由となった本件工事は、Cが個人的に行ったものであり、「指定工事店」
(本件規則7条2項柱書)の「工事」(同6号)に該当しないから、同号を適用した本件処分は違法である。
また、CはAにおいてもっぱら工事の施工に従事しており、Aの役員でもないのであるから、Cの行為をAすなわち「指定工事店」の行為と同視することもできない。
乙市側は、本件規則7条2項柱書の指定工事店該当性の判断に裁量権を主張するかもしれないが、指定工事店該当性は事実認定の問題であるから、羈束行為である。仮に裁量が認められたとしても、前述のように明らかな事実誤認であるから、判断が「全く事実の基礎を欠く」(マクリーン事件)場合に当たり、裁量権を逸脱している。
(2)ただ一度本件条例9条の確認を受けなかっただけで、指定工事店としての法律上の地位をはく奪されるのは不相当であり、比例原則違反の違法がある。
2 手続的違法について
(1) 理由不備
 本件処分はAに与えられた指定工事店としての特許を撤回するものであるから、行手法上の不利益処分(同法2条4号)に当たる。そのため、行手法と同内容の乙市行政手続条例による理由付記が必要であるところ、理由付記の趣旨は行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制し、被処分者に不服申し立ての便宜を与える点にある。そして侵害処分については上記趣旨が特に強く要請されるから、侵害処分の場合に要求される理由の程度は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分がされたのか、処分の相手方がその記載自体から了知しうることが必要と解する。
 本件はまず適用条文の記載がないが、この点は本件規則7条2項6号違反であることが記載自体から了知しうるから、違法でない。しかし、処分の対象となった下水道工事が特定されておらず、これではAはいかなる事実関係に基づき処分されたのか記載自体から了知しえない。
 したがって、本件処分には理由不備の違法がある。
 なお、理由付記の趣旨に鑑みれば理由不備の違法は重大であるから、取消事由となる。
(2) 聴聞手続を欠くこと
 前述のように本件処分はAの特許の撤回であり、「許認可等を取り消す不利益処分」(行手法13条1項1号イ)に該当するから乙市行政手続条例により聴聞手続(行手法15条以下参照)が必要であるところ、Aそのような機会を与えられていない違法がある。
 かかる違法が取消事由となるかについて、前述のとおり本件は工事の主体に明らかな事実誤認があるから、聴聞手続きを経れば乙市の判断は変わっていたと認められ、そうすると本件の手続違背は重大であるから、取消事由に当たると解すべきである。
3 その他の違法事由について
(1)本件処分はAの権利侵害を伴うから、法律の留保の原則より法律事項と解される。しかるに本件処分は本件規則11条に基づいてなされたものであるところ、法律の留保の観点から本件規則11条は違法無効であり、そのため本件処分も違法無効である。
(2)仮に本件規則11条が本件条例11条2項によって委任されたものだとしても、本件条例11条は「必要な事項」としか定めていないため、罰則まで定める本件規則は委任の範囲を超えて無効であるか、または本件条例11条が白紙委任であって無効であるから、いずれにしても本件処分は無効である。 以上

行政法 予備試験平成25年度

1(1)Cは、A市を被告として、Bに対し、景観法17条1項の変更命令として本件マンションの外壁の幅を50メートルにする設計の変更を命ずることを求める訴えを提起することが必要である(行訴法3条6項1号)。
(2)また、同訴えに係る処分につき、仮の義務付けを求めることが必要である(37条の5第1項)。
2 この法的手段を取ることが必要な理由
(1)法8条の景観計画の策定は、それにより直接国民の権利義務を形成し又は範囲を確定する行為ではないから「処分」(行訴法3条2項)に当たらない。そうすると、本件では未だ何らの処分行為がないから、抗告訴訟の原則である取消訴訟は使えない。
法17条1項の変更命令は、直接国民の義務を形成する行為だから「処分」(行訴法3条2項)に当たる。Cはこの処分を出すことを求めたいので、義務付訴訟(3条6項)が適切である。そして、Cは法令に基づく申請または審査請求をしていないので、非申請型義務付訴訟(同1号)が適切である。
(2)仮の義務付けを求めるのは、変更命令が届出の日から30日以内でないと出すことができず(法17条2項)、訴訟継続中に期間が経過してしまう可能性が高いからである。
1 非申請型義務付け訴訟の要件のうち本件で問題となり得るのは、@「一定の処分」であること、A「重大な損害」を生ずるおそれがあること、B補充性(以上37条の2第1項)、C原告適格(同3項)である。
2 @について、処分は本件計画に適合させるよう外壁の幅70mの計画を50mにすることであり、特定されているから、これを満たす。
 Aについて、この要件は執行停止の要件(25条2項、3項)と同じであり、執行停止の要件は改正法で緩和されたから、緩やかに解するのが妥当である。そして、その判断に当たっては37条の2第2項の要素を考慮する。Bの計画通りのマンションが建つと景観が損なわれるおそれがある。景観利益は生命・身体と比して重要性は劣るが、法が保全を目的としており(1条、2条)、また、ひとたび失われると回復の困難の程度ははなはだしい。そして、原告の求める処分によって可及的にこれを回避でき、かつ、これはマンション建設自体を断念させるものではないから、Bがこうむる不利益も小さい。以上より、「重大な損害」を生ずるおそれに当たる。
 Bについて、原告の求める処分意外に特別の権利救済手段は法定されていない。また、前述のように取消訴訟も不可能である。また、申請型義務付訴訟は不可能である。また、Bに対する民事訴訟は可能であるが、民事訴訟は他の「適当な方法」に当たらない。
設問2  原告適格について
1 原告適格は処分の義務付けにつき「法律上の利益を有する者」(37条の2第3項)に認められる。「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、法律上保護された利益を有するか否かは、当該処分の根拠法規が、不特定多数人の具体的利益を、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むか否かによって判断され、処分の相手方以外の者に対してこの利益の有無を判断するにあたっては、9条2項の事由を考慮する。
2 本法が保護するのは景観利益である(法1条)。景観は生命・身体・健康等の利益と異なり、性質上不特定多数人の公益として保護されるものであり、法も良好な景観を「国民共通の資産として」(2条)すなわち公益として保護することを目的としているのであって、個々人が景観を眺める利益を保護しているとは解することができない。
 法6条は良好な景観の形成に関する背策について住民に協力する責務を定めているが、前述のような景観の性質に照らすと、この規定も景観利益を特に個々の住民の利益として保護する趣旨とは解されず、むしろ国又は地方公共団体が景観を保護する政策をする場合になんらかの不利益を被るのは住民であることに鑑みて設けられた規定と解すべきである。
 そして、8条の景観計画に違反して建築物の建築(16条1項1号)等がなされた場合に害されるのはやはり国民全体の利益であり、違反建築物付近の住民は違反建築物を含む景観を見るたびに反復継続して害されたところで特にそれらの住民に実害が及ぶものではなく、また、違反建築物に近づけば近づくほど侵害の程度が大きくなるというものでもない。
 Cは本件マンションの隣に住んでおり、従来A市の定めた景観計画によって良好な景観を日常的に享受してきたと言いうるが、それは法が一般公益として景観を保護したことの反射的利益に過ぎない。
したがって、Cは「法律上の利益を有する者」に当たらず、Cには原告適格がない。
 このように解すると、現行法上は現に違法建築がされようとしている場合にそれを裁判所に訴える手段がないことになるが、もともと法律で景観を保護しているのであり、その保護を行政事件訴訟を許してまでも認めるかどうかもまた立法政策の問題であるから、不当ではない。

行政法 予備試験平成27年度

設問1
1 本件指定が処分に当たるならば、本件取消訴訟以外に本件指定の取消訴訟も提起することができる。
2 処分(行訴法3条2項)とは、国又は公共団体の行為のうち、その行為によって直接に国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものを言う。この定義から、ある行為が処分であるための要件は@公権力性、A法効果性、B具体性(紛争の成熟性)と解する。
3(1)本件指定は河川管理者たるA県知事の行為だから@を満たす。
(2)Aについて、本件指定は河川区域を定めるものであり、河川区域に指定されるとその区域内の土地に建築制限がかかる(河川法、以下「法」という26条)。その建築制限に違反すると建築工事の中止等命令が河川管理者の裁量で出され(法75条1号)、その中止等命令には強制力がある(法102条2号)。
(3)これだけであれば、本件指定は単に一般的に河川区域内の建築制限をしたものであり、B具体性がなく処分に当たらないとの結論になりそうである。しかし、本件指定がなされると河川区域は縮尺2500分の1というかなりの詳細さをもって公示されるため(法6条4項、河川法施行令5条2項1号)、河川区域に指定された区域内で建築等をしようとする者は、その土地が区域内であるかについて相当程度具体的に知ることができる。
 しかし、判例は本件のように具体的な処分(法75条1号の中止等命令は明らかに処分に当たる)の前段階の行政行為に処分性を認めるための紛争の成熟性(C)の程度として、後の処分を受けうる地位に立たされることを要求している。本件では、中止命令等を出されるのは無許可で新築等を開始する必要がある。換地処分の前段階の指定と異なり、本件のように処分を受けるために新築等の作為を必要とする事例では、新築等の作為があって初めて中止等命令を受けるべき地位に立たされるのであり、河川地域の指定を受けるだけでは未だ何らかの法的地位に立たされたとは言えない。
4 したがって、本件指定はBを満たさず、処分に当たらない。
設問2
1 Cは、信義則違背及び比例原則違反を主張することが考えられる。
2 信義則違背について
 仮に本件コテージが河川区域内にあるとしても、Cは2000年に本件コテージを建築してから14年間もA県知事から指摘を受けることはなく、本件命令の約1年前の2013年6月にもA県の建築指導課の職員Dから本件コテージは河川区域外であると伝えられている。これらの事実により、本件コテージが河川区域外にあることについて法的保護に値する信頼が生じている。本件命令はかかる信頼を裏切る行為であるから信義則違背により無効であると主張しうる。この主張が認められるか。
 まず、行政も法の支配に服するから行政行為にも信義則の適用があると解すべきである。しかし一方で、法律による行政の原理により、行政庁は正しい法解釈の下で運用されなければならない。そこで、正しい法解釈に変更する行政行為の変更は、その変更により得られる公正、公平等の利益と私人の信頼保護の利益を比較衡量して決すべきである。信頼保護の利益の大きさを評価するには、私人の側の帰責事由の有無、判断が書面でなされたか否か等の事情を考慮する。
 本件では、解釈変更により得られるのは災害防止等の国民の生命・身体に関する利益である。一方,Cは2000年に本件コテージを建築する際に、本件コテージが河川区域内にあるかどうか不明確であったにもかかわらず見切り発車的に河川管理者の指導を受けなかったという責めるべき事情がある。たしかに土地の形状の変化を本件図面に反映させていなかった河川管理者にも責めるべき点はあるものの、Cは確認の一報をすればよいだけであるから、経過した年月が14年と長いものであるとしても、この事実状態は保護すべき必要性が大きいとは言い難い。また、2013年に職員Dから受けた回答は口頭によるものであること、「測量をしないと正確なことは言えない」と留保をつけたものであること、Dは河川課の担当職員Eに紹介を受けたとはいえ、建築指導課の職員であることから、これにより生じた信頼も大きくはなく、法的保護に値しない。
 したがって、信義則違背の違法は認められない。
3 比例原則違反について
 Cは14年間A県知事から指摘を受けることはなかった。また、A県知事には建築物の除却以外に、損害防止措置を取ることを命令することができる(法75条本文)。にもかかわらず、突然本件コテージの除却命令を出すことは、比例原則に違反する。この主張が認められるか。
 比例原則は、警察違反状態を排除するために必要な場合でなければならないという必要性の原則と、必要なものであっても目的と手段が比例していなければならないという過剰規制の禁止を内容としており、元来警察権の限界の一つとされてきた原則であるが、法治主義の当然の結果として、明文はないものの行政の権力作用一般に妥当すると解されている。
 本件命令は、A県外のキャンプ場での事故を契機として出されたものであるが、A県内において同じような事故が発生する蓋然性が高まった等の事情はないので、規制の必要性がない。仮にある程度の必要性を肯定したとしても、発生の可能性の低い事故を防止する目的との関係では、14年間キャンプ場を経営してきたCとの関係では、損害防止措置命令という手段で目的を達成できるというべきである。
 したがって、本件命令は比例原則違反により違法である。  以上

行政法 予備試験平成26年度

設問1
1 本件不許可処分を、@占用許可申請を拒否する処分ではなく、A占有許可の撤回処分と理解することによって、まず授益的法律行為の撤回は制限されるという法理を導くことができる。すなわち、法治国家原理に基づく法的安定性及び既得権の保護を根拠として、合理的理由のない撤回は許されない。
 さらに、授益的法律行為の撤回が侵害行為の性質を帯びるから法律の根拠が必要であるとまで主張することも考えられる。菊田医師事件では法律の根拠は不要とされたが、本件はCの側に落ち度があるわけではないから、同判例の射程外だと主張することも考えられる。もっともこの点については、授益的法律行為の撤回は法の仕組みによって与えられた地位がなくなるだけであり、本来の侵害行為とは異なるから、公益上の必要があれば法律の根拠は不要と解するのが正当である。
 また、撤回できるとしてもCに特別の犠牲を強いるものであるから補償が必要であると主張することもできる。
2 行政手続法の観点からは、@だと申請に対する処分(第2章)の規定が適用されるだけだが、AだとよりCに有利な不利益処分(第3章)の規定が適用され、しかも本件は許認可等を取消す不利益処分(13条1項1号イ)に該当すると考えられるので、聴聞手続きが必要となるという違いがある。
3 行政事件訴訟法の観点からは、@だと許可の義務付け訴訟(3条6項2号)に拒否処分の取消訴訟(3条2項)を併合提起(37条の3第3項2号)し、仮の救済として仮の義務付け(37条の5)を求めることになるが、Aだと拒否処分の取消訴訟だけでよく、仮の救済としては執行停止(25条)を求めることになる。Aには、このように提起する訴訟が一つで済むという利点の他、仮の救済まで求める場合には、Cが主張立証する要件が軽い(37条の5、25条対照)という利点もある。
設問2(1)
1 @法39条2項に従って判断する法律論では、規定の文言からは行政庁に原則として許可が義務付けられる。この規定の趣旨は、漁港という行政財産をできるだけ活用することにより漁港の発展を図ることにあると解する。また、行政財産の管理の点では地方自治法の特別法とする趣旨もあると解する。
2 A地方自治法238条の4第7項に従って判断する法律論では、規定の文言からは不許可が原則である。この規定の趣旨は、行政財産が私人の便益を図る目的のそれでない場合には、私人の財産と同じようにこれを当然に利用しなければならないものではないという一般原則を確認するとともに、行政の中立性も企図されていると解する。
3 Aの法律論は、@で企図された行政財産の活用という立法目的を回避し、不許可を適法とする可能性が高まるという利点がある。
設問2(2)
1 本件において、A県側の法律論は、@法39条2項によって判断する場合は法1条の目的を促進する占用に限られる、ACによる本件敷地の占用は、法1条の目的を促進するものではないという二つの前提のもとに、上記Aの法律論を主張するものである。
2 前提@は認められる。ある法の適用範囲がその法目的に拘束されるのは当然だからである。
3 しかし、前提Aは認められない。本件の事実関係を見ると、本件公共空地付近の魚市場の廃止に伴いAは観光客を誘引する目的で本件事業を行っている。そうすると、本件の事情の下では観光客を誘引することが具体化された法1条の目的と解釈できる。そして、Cは観光客を対象にして店内の内装工事を行っているから、Cの占用は法1条の目的を促進するものである。
4 したがって、A県側の法律論は認められない。 以上

国会法

第1章 国会の召集など
・常会は1月中に召集するのが常例。
・総選挙があれば任期が始まる日から30日以内に臨時会。参議院の通常選挙の時も同じ。
第2章 会期など
・常会の会期は150日。ただし、議員の任期満限の場合は満限時に会期終了。
・臨時会及び特別階の会期は両議院一致の議決で決める。
・会期延長は両議院一致の議決。
・延長回数は常会1回、特別会及び臨時会2回。
・会期延長は衆議院優越。
・会期の起算点は招集の当日。
・休会は両議院一致の議決。
・休会は10日以内。
第4章 議員
・各議院の議員は、院外における現行犯逮捕の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。
第5章 委員会及び委員
・各議院の委員会は、常任委員会及び特別委員会の二種とする。
・議員は、少なくとも一箇の常任委員となる。
・委員会の定足数は半数以上の出席。
・委員会の評決数は出席議員の過半数。
・委員会は非公開。ただし報道する者で委員長の許可を得たものはこの限りでない。
第6章 会議
・議員が議案を発議するには、衆議院は20人以上、参議院は10二院以上の賛成が必要。予算を伴う法律案を発議するには、衆議院は50人以上、参議院は20人以上。
・一の地方公共団体のみに適用される特別法は、住民投票で過半数の同意を得た時に確定して法律となる。
・会議不継続の原則。ただし各議院の議決で特に付託された案件で閉会中に審査した議案と懲罰事犯は後会に継続する。
第6章の2 憲法改正の発議
・議員が日本国憲法の改正案を発議するには、衆議院は100人以上、参議院は50人以上。修正の動議を議題とする場合も同じ。
・憲法改正原案について国会で最後の可決があった場合はその可決をもって、発議をし国民に提案したものとする。
第7章 国務大臣の出席等
・委員会は、内閣総理大臣の出席を求めることができる。
第10章 両議院関係
・衆議院は、不一致があれば両院協議会を求めることができる。参議院は、衆議院の回付案に同意しなかったときに限り両院協議会を求めることができる。ただし衆議院はそれを拒める。
・条約は参議院が先議しても良い。
・内閣総理大臣の指名について、両議院の議決が一致しないときは、参議院は、両院協議会を求めなければならない。
・両院協議会は、各議院において占拠された各々10人の委員で組織する。
・定足数は3分の2の出席。評決数は出席協議委員の3分の2以上。
第13章 辞職など
・衆議院の比例代表選出議員が議員となった日以後において、当該議員が他の政党に所属するものとなったときは退職者となる。
posted by izanagi0420new at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 憲法
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