2018年04月10日
行政法ポイント
実体法
手続違反が取消事由となるか
〇聴聞手続以外
→当該瑕疵がなければ処分内容が変わりえたか否か
〇聴聞手続の瑕疵
→@違法の重大性、A手続対象となった処分要件事実の処分に対し与える影響の重要性、B処分の日対象者に対する影響の重大性を考慮し、手続上の瑕疵がなかったならば処分の内容が変わりえたかを問題とせずに処分を取消しうる。
〇〇は手続の違法だが取消事由となるか。
確かに、手続をやり直したとしても処分の内容が変わらなければ無用の時間と労力を費やすことになる。そこで、・・・
裁量
行政庁の判断が全く(重要な)事実の基礎を欠き、または社会観念上著しく妥当を欠く場合には、処分は違法である(30条)。
考慮すべき事項を考慮せず、または考慮すべきでない事項を考慮した結果処分が社会観念上著しく妥当を欠く場合にも、処分は違法である。
・原則を一言書く。ex)〇〇は原則として自由な行為である(憲法22条1項)。
・裁量を認定する際には法律の文言と処分の性質の2つの理由をつける。
理由の追完等
☆申請拒否処分
理由の追完× 理由の追加・差替え〇∵紛争の一回的解決
☆不利益処分
理由の追完× 理由の追加・差替え×∵聴聞・弁明手続に挙がらなかった事由に基づく不利益処分を認めることになり、行政手続法の趣旨を潜脱する
受益的行政処分の取消し(3段階で書く)
@原則→行政処分に成立当初から違法の瑕疵がある場合、法律による行政の原理から、明文の根拠なしに職権取消ししなければならない。
A問題点→相手方に過剰な不利益や負担をかけ法的安定性を損なうことになる場合には、職権取消しをなしえないとすべきではないか。
B解決→法の趣旨を考慮し、取り消す場合の不利益と取消ししない場合の不利益を比較衡量して判断
この件に関する判例は農地関係の古いやつしかない
利益的行政処分の撤回
問題点 受益的処分の撤回は不利益処分の性質を有するから法律の根拠が必要ではないか。
解決 公益上の必要が被処分者の不利益を上回る場合は、直接の明文規定がなくても、原処分の根拠規定あるいは行政上の一般原則等を根拠として可能である。
違法性承継
法が出訴期間を設けて(行訴法14条)法的安定性を図っていることから出訴期間経過後の先行行為の違法を後行行為の取消訴訟で主張できないのが原則である。しかし、@両行為間の目的の同一性と沿革的・実質的一体性、A先行行為の適否を争うための手続保障が不十分であることの要件を満たす場合には、例外的に先行行為の違法が後行行為の取消訴訟に承継されると解する。
訴訟法
処分性
処分(行訴法3条2項)とは、国または公共団体の行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。この定義から、処分該当要件は@公権力性、A法効果性、B外部性、C成熟性ないし個別具体性と解する。
・処分か事実行為か、処分か契約か、処分か法規範の定立か等、当該問題で処分でないとすると考えられる法的性質との比較の視点から一貫して論じる。
・届出義務→応答義務を読み取ることで「申請」に該当させることがある。
最判平成16年4月26日(冷凍スモークマグロ事件)
行手法2条3項 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の事故に対し何らかの利益を付与する処分…を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
食品衛生法16条 販売の用に供し、または営業上使用する食品…を輸入しようとする者は、…その都度厚生労働大臣に届け出なければならない。
法の目的は〇〇などであり、法は厚生労働大臣に対して食品等の安全を確保する責任と権限を付与しているところ、同16条は食品を販売しようとする者に対し、厚生労働大臣に対する届出義務を定めているから、同条は、厚生労働大臣に対し輸入届出に係る食品等が法に違反するか否かを認定判断する権限を付与していると解される。そうであるとすれば、法16条は、厚生労働大臣が届出をした者に対し、応答義務を定めていると解するのが相当である。
・処分か行政指導か
最判平成17年7月15日(病院開設中止勧告事件)
上記の医療法及び健康保険法の規定内容や運用の実情に照らすと、医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止勧告は、医療法上は当該勧告を受けた者が任意に従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても保健医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらす。
・処分か処分以前の事実行為か
最判平成20年9月10日(浜松市土地区画整理事業計画事件)
施行地区内の宅地所有者等は、事業計画の決定がされることによって、前記のような規制を伴う土地区画事業の手続に従って換地処分を受けるべき地位に立たされる。
換地処分等がされた段階では、工事等も進捗し、換地計画も具体的に定められるなどしており、事情判決(行訴法31条1項)がされる可能性が相当程度あるから、実効的な権利救済を図るためには、事業計画決定の段階でこれに対する取消訴訟の提起を認めることに合理性がある。
・処分か法規範の定立か
最判形成21年11月26日
児童及び保護者は、保育の実施期間が満了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待しうる法的地位を有する。
そして、条例は一般的には個別具体性を欠き処分に当たらないが、本件改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により廃止の効果を生じさせ、児童及び保護者という限られた特定の者らに対し、直接、上記の地位を奪う結果を生じさせる。
・通達は、原則として、法規の性質を持つものではなく、上級行政機関が関係下級機関及び職員に対してその職務権限の行使を指揮するために発する行政組織内部における命令にすぎない。したがって、これらの者がその通達に拘束されることはあっても、一般の国民は直接これに拘束されるものではなく、このことは、通達の内容が法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大な関わりを持つようなものである場合においても別段異なるところはない。労災就学援護費の支給手続等を定めた本件通達及び本件要綱は、専ら労災法の目的に沿った労働福祉事業を実施するに当たり、恣意的差別を排し、画一的かつ統一的に取扱い、公平を期するために行政機関内部の判断基準として設けられたものにすぎず、この基準を満たしたからといって、被災労働者の遺族らに具体的権利を付与する趣旨のものではない。
・行政行為に対する不服については、特に労災法に不服申立手続を定めない限り、一般法である行政不服審査法が適用されるのであるから、被告主張のように特別の審査手続の定めの有無だけをもって、労災就学援護費の不支給について、行政処分の取消しの訴えが提起できないと解するのは相当でない。
・簡易迅速に還付を受けることができる手続を利用することができる地位
原告適格
原告適格が認められる「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)とは、当該処分により自己の権利または法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、処分の根拠となった行政法規が不特定多数人の具体的利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むと解される場合にかかる利益も上記法律上保護された利益に当たる。個別的利益保護の趣旨を含むか否かは9条2項の事項を考慮して判断する。
1⃣根拠法の趣旨目的の解釈 保護範囲要件を抽象的に定立
1⃣-@ 根拠法の目的規定の指摘
1⃣-A 関係法令のあぶり出しと関係法令の趣旨目的の指摘
1⃣-B 委任条例か自主条例かの判別→自主条例なら下剋上的解釈をすることの許否
1⃣-C @根拠法の規定及びA関係法令の趣旨目的を参酌すれば、根拠法の趣旨目的は○○と解する。
ex)事業に伴う騒音、振動等によって周辺住民の健康又は生活環境の被害が発生することを防止し、もって健康で文化的な都市生活を確保し良好な生活環境を保全すること
2⃣利益の内容性質の解釈
2⃣-@ 保護範囲要件を具体的に定立
処分があった場合に騒音、振動等によって直接的に被害を受けるのは周辺の一定範囲に居住する住民に限られる。
2⃣-A 不利益要件
また、それらの住民が上記の被害を反復、継続し受けた場合、健康や生活環境に係る著しい被害に至りかねない。
2⃣-B 結論 個別保護要件
(2⃣で検討した)そのような被害の内容、性質、程度等に照らせば、この具体的利益は、(1⃣で検討した)都市計画法及びその関連法令によって個々人の個別的利益としても保護されていると解される。
従って、周辺住民のうち処分に伴う事業による騒音、振動等によって健康又は生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は、「法律上の利益を有する者」として原告適格を有する。
3⃣ あてはめ
X1は、…
X2は、…
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