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2016年05月07日

事例研究行政法第2版 第1部問題9 国立公園内での転落事故をめぐる紛争

回答
1 歩道の設置管理の瑕疵を国賠法2条1項で争えるか検討する、
2 国賠法2条は公の営造物の設置管理の瑕疵による損害を賠償させるための規定であり、要件は@公の営造物であること、A設置管理に瑕疵があることである。@について、公の営造物とは国又は公共団体により公の目的に供される有体物であり、自然公物、動産も含む。実際に公の目的に供されているかが決め手となる。Aについて、設置管理は事実上のもので足りる。瑕疵とはその物が通常有すべき性質を有していないことすなわち危険性を有することを指し、供用関連瑕疵により生じる第三者への危険性も含まれる。もっとも、全く危険性のない物というのは想定できず、生活関係の中で受忍すべきものと一般的に考えられている危険性に対してまで賠償義務を発生させるのは適切でないから、その危険性が社会生活上受忍すべき限度を超える場合に、原則として損害賠償義務が発生すると解する。また、瑕疵の有無の判断は@危険の存在、A損害発生の予見可能性、B損害の回避可能性、を総合的に考慮する。もっとも、公平のためBは抗弁事項と解する。
3 本件では、問題となる柵は@海岸線の歩道に設置されたものであるから設置場所として一般的な危険が存在している。
 そして、問題となるのはA予見可能性である。たしかにXは柵の上のパイプに腰を掛け、下のパイプに足を置き、海側に背を向けて座っており、このように柵をベンチ代わりに使うことは柵の通常の用法に反するから予見不可能とも思える。テニスコートの審判台を本来の用法と異なった使い方をしたため瑕疵が否定された事例もある。しかし、異なる使い方が常態化しており、国や公共団体側にこのような異なった使い方が蔓延することに対する是正責任がある場合には、予見可能性はあるというべきである。
 そうして改めて本件を見ると、問題の歩道は甲県乙市の観光地であり、歩道は観光客を増加させるために乙市の要望で甲県が設置したものである。観光地であるからその歩道を歩くのは観光客であり、飲酒をしていたり歩き疲れていたりすることも多いことが容易に想定される。そして、実際に観光客が従来から防護柵やその周辺に座ることがよくあり、乙市もその事実を把握していた。そうすると、予見可能性はあったというべきである。
 そして、ベンチを設置したり、防護柵を改造したり、「座るな」の警告文を掲出する等の対応で、本件は容易に回避できたと認められる。
4 したがって、本件で歩道の設置者である甲県と、実際に管理を事実上行っていた乙市には損害賠償責任がある。
5 また、費用負担者である国や、事実上管理を行っていた乙市も、国賠法3条によって責任を負う。国賠法3条の趣旨は被害者の救済の便宜であり、道路の設置者と費用負担者が異なる場合が適用の典型例であるが、本件にも当てはまる。  以上
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