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2016年05月06日

行政法 予備試験平成25年度

1(1)Cは、A市を被告として、Bに対し、景観法17条1項の変更命令として本件マンションの外壁の幅を50メートルにする設計の変更を命ずることを求める訴えを提起することが必要である(行訴法3条6項1号)。
(2)また、同訴えに係る処分につき、仮の義務付けを求めることが必要である(37条の5第1項)。
2 この法的手段を取ることが必要な理由
(1)法8条の景観計画の策定は、それにより直接国民の権利義務を形成し又は範囲を確定する行為ではないから「処分」(行訴法3条2項)に当たらない。そうすると、本件では未だ何らの処分行為がないから、抗告訴訟の原則である取消訴訟は使えない。
法17条1項の変更命令は、直接国民の義務を形成する行為だから「処分」(行訴法3条2項)に当たる。Cはこの処分を出すことを求めたいので、義務付訴訟(3条6項)が適切である。そして、Cは法令に基づく申請または審査請求をしていないので、非申請型義務付訴訟(同1号)が適切である。
(2)仮の義務付けを求めるのは、変更命令が届出の日から30日以内でないと出すことができず(法17条2項)、訴訟継続中に期間が経過してしまう可能性が高いからである。
1 非申請型義務付け訴訟の要件のうち本件で問題となり得るのは、@「一定の処分」であること、A「重大な損害」を生ずるおそれがあること、B補充性(以上37条の2第1項)、C原告適格(同3項)である。
2 @について、処分は本件計画に適合させるよう外壁の幅70mの計画を50mにすることであり、特定されているから、これを満たす。
 Aについて、この要件は執行停止の要件(25条2項、3項)と同じであり、執行停止の要件は改正法で緩和されたから、緩やかに解するのが妥当である。そして、その判断に当たっては37条の2第2項の要素を考慮する。Bの計画通りのマンションが建つと景観が損なわれるおそれがある。景観利益は生命・身体と比して重要性は劣るが、法が保全を目的としており(1条、2条)、また、ひとたび失われると回復の困難の程度ははなはだしい。そして、原告の求める処分によって可及的にこれを回避でき、かつ、これはマンション建設自体を断念させるものではないから、Bがこうむる不利益も小さい。以上より、「重大な損害」を生ずるおそれに当たる。
 Bについて、原告の求める処分意外に特別の権利救済手段は法定されていない。また、前述のように取消訴訟も不可能である。また、申請型義務付訴訟は不可能である。また、Bに対する民事訴訟は可能であるが、民事訴訟は他の「適当な方法」に当たらない。
設問2  原告適格について
1 原告適格は処分の義務付けにつき「法律上の利益を有する者」(37条の2第3項)に認められる。「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、法律上保護された利益を有するか否かは、当該処分の根拠法規が、不特定多数人の具体的利益を、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むか否かによって判断され、処分の相手方以外の者に対してこの利益の有無を判断するにあたっては、9条2項の事由を考慮する。
2 本法が保護するのは景観利益である(法1条)。景観は生命・身体・健康等の利益と異なり、性質上不特定多数人の公益として保護されるものであり、法も良好な景観を「国民共通の資産として」(2条)すなわち公益として保護することを目的としているのであって、個々人が景観を眺める利益を保護しているとは解することができない。
 法6条は良好な景観の形成に関する背策について住民に協力する責務を定めているが、前述のような景観の性質に照らすと、この規定も景観利益を特に個々の住民の利益として保護する趣旨とは解されず、むしろ国又は地方公共団体が景観を保護する政策をする場合になんらかの不利益を被るのは住民であることに鑑みて設けられた規定と解すべきである。
 そして、8条の景観計画に違反して建築物の建築(16条1項1号)等がなされた場合に害されるのはやはり国民全体の利益であり、違反建築物付近の住民は違反建築物を含む景観を見るたびに反復継続して害されたところで特にそれらの住民に実害が及ぶものではなく、また、違反建築物に近づけば近づくほど侵害の程度が大きくなるというものでもない。
 Cは本件マンションの隣に住んでおり、従来A市の定めた景観計画によって良好な景観を日常的に享受してきたと言いうるが、それは法が一般公益として景観を保護したことの反射的利益に過ぎない。
したがって、Cは「法律上の利益を有する者」に当たらず、Cには原告適格がない。
 このように解すると、現行法上は現に違法建築がされようとしている場合にそれを裁判所に訴える手段がないことになるが、もともと法律で景観を保護しているのであり、その保護を行政事件訴訟を許してまでも認めるかどうかもまた立法政策の問題であるから、不当ではない。

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