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2016年05月06日

行政法 予備試験平成27年度

設問1
1 本件指定が処分に当たるならば、本件取消訴訟以外に本件指定の取消訴訟も提起することができる。
2 処分(行訴法3条2項)とは、国又は公共団体の行為のうち、その行為によって直接に国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものを言う。この定義から、ある行為が処分であるための要件は@公権力性、A法効果性、B具体性(紛争の成熟性)と解する。
3(1)本件指定は河川管理者たるA県知事の行為だから@を満たす。
(2)Aについて、本件指定は河川区域を定めるものであり、河川区域に指定されるとその区域内の土地に建築制限がかかる(河川法、以下「法」という26条)。その建築制限に違反すると建築工事の中止等命令が河川管理者の裁量で出され(法75条1号)、その中止等命令には強制力がある(法102条2号)。
(3)これだけであれば、本件指定は単に一般的に河川区域内の建築制限をしたものであり、B具体性がなく処分に当たらないとの結論になりそうである。しかし、本件指定がなされると河川区域は縮尺2500分の1というかなりの詳細さをもって公示されるため(法6条4項、河川法施行令5条2項1号)、河川区域に指定された区域内で建築等をしようとする者は、その土地が区域内であるかについて相当程度具体的に知ることができる。
 しかし、判例は本件のように具体的な処分(法75条1号の中止等命令は明らかに処分に当たる)の前段階の行政行為に処分性を認めるための紛争の成熟性(C)の程度として、後の処分を受けうる地位に立たされることを要求している。本件では、中止命令等を出されるのは無許可で新築等を開始する必要がある。換地処分の前段階の指定と異なり、本件のように処分を受けるために新築等の作為を必要とする事例では、新築等の作為があって初めて中止等命令を受けるべき地位に立たされるのであり、河川地域の指定を受けるだけでは未だ何らかの法的地位に立たされたとは言えない。
4 したがって、本件指定はBを満たさず、処分に当たらない。
設問2
1 Cは、信義則違背及び比例原則違反を主張することが考えられる。
2 信義則違背について
 仮に本件コテージが河川区域内にあるとしても、Cは2000年に本件コテージを建築してから14年間もA県知事から指摘を受けることはなく、本件命令の約1年前の2013年6月にもA県の建築指導課の職員Dから本件コテージは河川区域外であると伝えられている。これらの事実により、本件コテージが河川区域外にあることについて法的保護に値する信頼が生じている。本件命令はかかる信頼を裏切る行為であるから信義則違背により無効であると主張しうる。この主張が認められるか。
 まず、行政も法の支配に服するから行政行為にも信義則の適用があると解すべきである。しかし一方で、法律による行政の原理により、行政庁は正しい法解釈の下で運用されなければならない。そこで、正しい法解釈に変更する行政行為の変更は、その変更により得られる公正、公平等の利益と私人の信頼保護の利益を比較衡量して決すべきである。信頼保護の利益の大きさを評価するには、私人の側の帰責事由の有無、判断が書面でなされたか否か等の事情を考慮する。
 本件では、解釈変更により得られるのは災害防止等の国民の生命・身体に関する利益である。一方,Cは2000年に本件コテージを建築する際に、本件コテージが河川区域内にあるかどうか不明確であったにもかかわらず見切り発車的に河川管理者の指導を受けなかったという責めるべき事情がある。たしかに土地の形状の変化を本件図面に反映させていなかった河川管理者にも責めるべき点はあるものの、Cは確認の一報をすればよいだけであるから、経過した年月が14年と長いものであるとしても、この事実状態は保護すべき必要性が大きいとは言い難い。また、2013年に職員Dから受けた回答は口頭によるものであること、「測量をしないと正確なことは言えない」と留保をつけたものであること、Dは河川課の担当職員Eに紹介を受けたとはいえ、建築指導課の職員であることから、これにより生じた信頼も大きくはなく、法的保護に値しない。
 したがって、信義則違背の違法は認められない。
3 比例原則違反について
 Cは14年間A県知事から指摘を受けることはなかった。また、A県知事には建築物の除却以外に、損害防止措置を取ることを命令することができる(法75条本文)。にもかかわらず、突然本件コテージの除却命令を出すことは、比例原則に違反する。この主張が認められるか。
 比例原則は、警察違反状態を排除するために必要な場合でなければならないという必要性の原則と、必要なものであっても目的と手段が比例していなければならないという過剰規制の禁止を内容としており、元来警察権の限界の一つとされてきた原則であるが、法治主義の当然の結果として、明文はないものの行政の権力作用一般に妥当すると解されている。
 本件命令は、A県外のキャンプ場での事故を契機として出されたものであるが、A県内において同じような事故が発生する蓋然性が高まった等の事情はないので、規制の必要性がない。仮にある程度の必要性を肯定したとしても、発生の可能性の低い事故を防止する目的との関係では、14年間キャンプ場を経営してきたCとの関係では、損害防止措置命令という手段で目的を達成できるというべきである。
 したがって、本件命令は比例原則違反により違法である。  以上
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