2016年05月06日
行政法 予備試験平成24年度
1 実体的違法について
(1) 本件処分の理由となった本件工事は、Cが個人的に行ったものであり、「指定工事店」
(本件規則7条2項柱書)の「工事」(同6号)に該当しないから、同号を適用した本件処分は違法である。
また、CはAにおいてもっぱら工事の施工に従事しており、Aの役員でもないのであるから、Cの行為をAすなわち「指定工事店」の行為と同視することもできない。
乙市側は、本件規則7条2項柱書の指定工事店該当性の判断に裁量権を主張するかもしれないが、指定工事店該当性は事実認定の問題であるから、羈束行為である。仮に裁量が認められたとしても、前述のように明らかな事実誤認であるから、判断が「全く事実の基礎を欠く」(マクリーン事件)場合に当たり、裁量権を逸脱している。
(2)ただ一度本件条例9条の確認を受けなかっただけで、指定工事店としての法律上の地位をはく奪されるのは不相当であり、比例原則違反の違法がある。
2 手続的違法について
(1) 理由不備
本件処分はAに与えられた指定工事店としての特許を撤回するものであるから、行手法上の不利益処分(同法2条4号)に当たる。そのため、行手法と同内容の乙市行政手続条例による理由付記が必要であるところ、理由付記の趣旨は行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制し、被処分者に不服申し立ての便宜を与える点にある。そして侵害処分については上記趣旨が特に強く要請されるから、侵害処分の場合に要求される理由の程度は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分がされたのか、処分の相手方がその記載自体から了知しうることが必要と解する。
本件はまず適用条文の記載がないが、この点は本件規則7条2項6号違反であることが記載自体から了知しうるから、違法でない。しかし、処分の対象となった下水道工事が特定されておらず、これではAはいかなる事実関係に基づき処分されたのか記載自体から了知しえない。
したがって、本件処分には理由不備の違法がある。
なお、理由付記の趣旨に鑑みれば理由不備の違法は重大であるから、取消事由となる。
(2) 聴聞手続を欠くこと
前述のように本件処分はAの特許の撤回であり、「許認可等を取り消す不利益処分」(行手法13条1項1号イ)に該当するから乙市行政手続条例により聴聞手続(行手法15条以下参照)が必要であるところ、Aそのような機会を与えられていない違法がある。
かかる違法が取消事由となるかについて、前述のとおり本件は工事の主体に明らかな事実誤認があるから、聴聞手続きを経れば乙市の判断は変わっていたと認められ、そうすると本件の手続違背は重大であるから、取消事由に当たると解すべきである。
3 その他の違法事由について
(1)本件処分はAの権利侵害を伴うから、法律の留保の原則より法律事項と解される。しかるに本件処分は本件規則11条に基づいてなされたものであるところ、法律の留保の観点から本件規則11条は違法無効であり、そのため本件処分も違法無効である。
(2)仮に本件規則11条が本件条例11条2項によって委任されたものだとしても、本件条例11条は「必要な事項」としか定めていないため、罰則まで定める本件規則は委任の範囲を超えて無効であるか、または本件条例11条が白紙委任であって無効であるから、いずれにしても本件処分は無効である。 以上
(1) 本件処分の理由となった本件工事は、Cが個人的に行ったものであり、「指定工事店」
(本件規則7条2項柱書)の「工事」(同6号)に該当しないから、同号を適用した本件処分は違法である。
また、CはAにおいてもっぱら工事の施工に従事しており、Aの役員でもないのであるから、Cの行為をAすなわち「指定工事店」の行為と同視することもできない。
乙市側は、本件規則7条2項柱書の指定工事店該当性の判断に裁量権を主張するかもしれないが、指定工事店該当性は事実認定の問題であるから、羈束行為である。仮に裁量が認められたとしても、前述のように明らかな事実誤認であるから、判断が「全く事実の基礎を欠く」(マクリーン事件)場合に当たり、裁量権を逸脱している。
(2)ただ一度本件条例9条の確認を受けなかっただけで、指定工事店としての法律上の地位をはく奪されるのは不相当であり、比例原則違反の違法がある。
2 手続的違法について
(1) 理由不備
本件処分はAに与えられた指定工事店としての特許を撤回するものであるから、行手法上の不利益処分(同法2条4号)に当たる。そのため、行手法と同内容の乙市行政手続条例による理由付記が必要であるところ、理由付記の趣旨は行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制し、被処分者に不服申し立ての便宜を与える点にある。そして侵害処分については上記趣旨が特に強く要請されるから、侵害処分の場合に要求される理由の程度は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分がされたのか、処分の相手方がその記載自体から了知しうることが必要と解する。
本件はまず適用条文の記載がないが、この点は本件規則7条2項6号違反であることが記載自体から了知しうるから、違法でない。しかし、処分の対象となった下水道工事が特定されておらず、これではAはいかなる事実関係に基づき処分されたのか記載自体から了知しえない。
したがって、本件処分には理由不備の違法がある。
なお、理由付記の趣旨に鑑みれば理由不備の違法は重大であるから、取消事由となる。
(2) 聴聞手続を欠くこと
前述のように本件処分はAの特許の撤回であり、「許認可等を取り消す不利益処分」(行手法13条1項1号イ)に該当するから乙市行政手続条例により聴聞手続(行手法15条以下参照)が必要であるところ、Aそのような機会を与えられていない違法がある。
かかる違法が取消事由となるかについて、前述のとおり本件は工事の主体に明らかな事実誤認があるから、聴聞手続きを経れば乙市の判断は変わっていたと認められ、そうすると本件の手続違背は重大であるから、取消事由に当たると解すべきである。
3 その他の違法事由について
(1)本件処分はAの権利侵害を伴うから、法律の留保の原則より法律事項と解される。しかるに本件処分は本件規則11条に基づいてなされたものであるところ、法律の留保の観点から本件規則11条は違法無効であり、そのため本件処分も違法無効である。
(2)仮に本件規則11条が本件条例11条2項によって委任されたものだとしても、本件条例11条は「必要な事項」としか定めていないため、罰則まで定める本件規則は委任の範囲を超えて無効であるか、または本件条例11条が白紙委任であって無効であるから、いずれにしても本件処分は無効である。 以上
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