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2016年02月01日
民法 平成21年度第1問
設問1
1 BはCに対し、所有権に基づく返還請求権を行使して甲絵画の引渡請求をすることができるか検討する。
(1)Cは所有権喪失の抗弁として売買契約を主張する。Bはそれに対して、Aに授権がなかったこと又はAが無権代理人だったことを主張する。Cはそれに対して表見代理を主張するだろう。争点は、@BがAに代理権を与えたか否か、A表見代理の成立の有無である。
(2)@について
Bとしては、Aに対して「売却についての委任状」を交付したのは甲絵画の処分を授権する趣旨であり、処分の代理権を与える趣旨ではないから、109条ないし112条の「代理権」がなく、表見代理は成立しないと主張しうる。
しかし、代理権授与は事務処理契約であって、事務処理契約から直接に代理権が生じると解する。仮に処分に関する代理権でなく処分の授権がされたにすぎない場合でも、利益状況は異ならないから、109条や112条は類推適用されると考える。
(3)Aについて
ア 109条の表見代理の成否
Cは@Bの代理人としてのAの行為(甲絵画の売買契約)、A@に先立つ代理権授与行為(委任状)を主張立証し、Bは@代理権消滅(「甲絵画を売るのはやめた。委任状は破棄しておくように。」と言ったこと)、ACの悪意・過失(109条但書)を主張立証するが、Cに悪意・過失は認められない。
したがって、109条の表見代理が成立する。
イ 112条の表見代理の成否
112条の条文からは要件は明らかではないが、112条も他の表見代理の規定と同様に表見法理を定めた規定と解されるから、@かつての代理権の存在、A以前の代理について本人の帰責性、B相手方がかつて代理行為者と取引していたことなどがあり、その際存在していた代理権が今も存続していると信じたことと解する。Bについては、単に行為の時点で代理権の不存在を知らなかったことで足りるとする見解もあるが、一回代理権を与えただけでその後延々と表見代理が成立するリスクを負うのは妥当でないから採用しない。
本件では、CはBと何度が同種の取引をしたことがあるという関係にあるだけで、適法に授権を受けたAと取引していたことがあるわけではないから、同条は適用も類推適用もされないと考える(AがかつてBの代理人として何度かCと取引していた事実があれば同条が適用され、Aがかつて代理権はないがBから処分授権を受けてCと取引していた場合には同条が類推適用されると考える)。
したがって、112条は適用されない。
(4)したがって、109条の表見代理が成立することにより、BはCから甲絵画を取り戻すことができない。
設問2前段
1 Aは所有権に基づく返還請求権を行使し、Dに対して乙自動車の引渡請求をするのに対し、DはAの親権者B(Aの財産管理権を有する、824条)による乙自動車の売買契約を主張する。Aは、利益相反行為(826条)並びに代理権濫用を主張しうる。
2 利益相反行為(826条)該当性
利益相反行為か否かは外形的客観的に解釈すべきである。子の所有する車を売却する行為には客観的に利益相反性はないため、利益相反行為に当たらない。
3 代理権濫用の有無
(1)前提として、824条はこの財産管理の代理権を親権者に与えた規定であり、この規定により親権者は子の財産の法定代理人となっている。
(2)代理権濫用とは、本人のためでなく自己に経済的利益を帰属させる目的で、代理権の範囲内の行為をすることである。効果は93条但書類推適用により無効である。Bは、自己の株式購入の資金とする目的で、Aの財産管理権(824条)を行使しているから、代理権濫用に当たり得る。
しかし、親権者の財産管理権(824条)に基づく行為はそれが利益相反行為(826条)に当たらないかぎり広範な裁量があるから、824条の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情がない限り代理権濫用に当たらないと解する。
本件では、Bの株式投資により得られる利益がAにも還元されることがありうること、A自身も売却を望んでいたことから、824条の趣旨に著しく反する特段の事情は認められない。
(3)したがって、代理権濫用に当たらない。
4 したがって、AはDから乙自動車を取り戻すことができない。
絶問2後段
1 親権喪失の宣告が確定していた場合には、AにはBの財産管理権(824条)はない。そのためAの行為は他人物売買となり、債権的に有効だが物権的に無効であるから、Aの所有権に基づく返還請求は認められるのが原則である。この場合にDは112条の表見代理を主張することが考えられる。
2 112条が法定代理に適用されるか。
112条も表見代理の規定である。表見代理の趣旨は、取引安全もあるが、主なのは表見法理と解する。すなわち、表見代理の成立には本人の帰責性が要件となる。
しかし、法定代理権の場合には、それは本人に授与されたものではなく、本人に帰責性がない。
したがって、112条は法定代理に適用されないと解する。
3 したがって、AはDから乙自動車を取り戻すことができる。このように解してもDはBに追奪担保責任(561条)を問えるので不当ではない。 以上
1 BはCに対し、所有権に基づく返還請求権を行使して甲絵画の引渡請求をすることができるか検討する。
(1)Cは所有権喪失の抗弁として売買契約を主張する。Bはそれに対して、Aに授権がなかったこと又はAが無権代理人だったことを主張する。Cはそれに対して表見代理を主張するだろう。争点は、@BがAに代理権を与えたか否か、A表見代理の成立の有無である。
(2)@について
Bとしては、Aに対して「売却についての委任状」を交付したのは甲絵画の処分を授権する趣旨であり、処分の代理権を与える趣旨ではないから、109条ないし112条の「代理権」がなく、表見代理は成立しないと主張しうる。
しかし、代理権授与は事務処理契約であって、事務処理契約から直接に代理権が生じると解する。仮に処分に関する代理権でなく処分の授権がされたにすぎない場合でも、利益状況は異ならないから、109条や112条は類推適用されると考える。
(3)Aについて
ア 109条の表見代理の成否
Cは@Bの代理人としてのAの行為(甲絵画の売買契約)、A@に先立つ代理権授与行為(委任状)を主張立証し、Bは@代理権消滅(「甲絵画を売るのはやめた。委任状は破棄しておくように。」と言ったこと)、ACの悪意・過失(109条但書)を主張立証するが、Cに悪意・過失は認められない。
したがって、109条の表見代理が成立する。
イ 112条の表見代理の成否
112条の条文からは要件は明らかではないが、112条も他の表見代理の規定と同様に表見法理を定めた規定と解されるから、@かつての代理権の存在、A以前の代理について本人の帰責性、B相手方がかつて代理行為者と取引していたことなどがあり、その際存在していた代理権が今も存続していると信じたことと解する。Bについては、単に行為の時点で代理権の不存在を知らなかったことで足りるとする見解もあるが、一回代理権を与えただけでその後延々と表見代理が成立するリスクを負うのは妥当でないから採用しない。
本件では、CはBと何度が同種の取引をしたことがあるという関係にあるだけで、適法に授権を受けたAと取引していたことがあるわけではないから、同条は適用も類推適用もされないと考える(AがかつてBの代理人として何度かCと取引していた事実があれば同条が適用され、Aがかつて代理権はないがBから処分授権を受けてCと取引していた場合には同条が類推適用されると考える)。
したがって、112条は適用されない。
(4)したがって、109条の表見代理が成立することにより、BはCから甲絵画を取り戻すことができない。
設問2前段
1 Aは所有権に基づく返還請求権を行使し、Dに対して乙自動車の引渡請求をするのに対し、DはAの親権者B(Aの財産管理権を有する、824条)による乙自動車の売買契約を主張する。Aは、利益相反行為(826条)並びに代理権濫用を主張しうる。
2 利益相反行為(826条)該当性
利益相反行為か否かは外形的客観的に解釈すべきである。子の所有する車を売却する行為には客観的に利益相反性はないため、利益相反行為に当たらない。
3 代理権濫用の有無
(1)前提として、824条はこの財産管理の代理権を親権者に与えた規定であり、この規定により親権者は子の財産の法定代理人となっている。
(2)代理権濫用とは、本人のためでなく自己に経済的利益を帰属させる目的で、代理権の範囲内の行為をすることである。効果は93条但書類推適用により無効である。Bは、自己の株式購入の資金とする目的で、Aの財産管理権(824条)を行使しているから、代理権濫用に当たり得る。
しかし、親権者の財産管理権(824条)に基づく行為はそれが利益相反行為(826条)に当たらないかぎり広範な裁量があるから、824条の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情がない限り代理権濫用に当たらないと解する。
本件では、Bの株式投資により得られる利益がAにも還元されることがありうること、A自身も売却を望んでいたことから、824条の趣旨に著しく反する特段の事情は認められない。
(3)したがって、代理権濫用に当たらない。
4 したがって、AはDから乙自動車を取り戻すことができない。
絶問2後段
1 親権喪失の宣告が確定していた場合には、AにはBの財産管理権(824条)はない。そのためAの行為は他人物売買となり、債権的に有効だが物権的に無効であるから、Aの所有権に基づく返還請求は認められるのが原則である。この場合にDは112条の表見代理を主張することが考えられる。
2 112条が法定代理に適用されるか。
112条も表見代理の規定である。表見代理の趣旨は、取引安全もあるが、主なのは表見法理と解する。すなわち、表見代理の成立には本人の帰責性が要件となる。
しかし、法定代理権の場合には、それは本人に授与されたものではなく、本人に帰責性がない。
したがって、112条は法定代理に適用されないと解する。
3 したがって、AはDから乙自動車を取り戻すことができる。このように解してもDはBに追奪担保責任(561条)を問えるので不当ではない。 以上
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民法 平成20年度第1問
設問1
1 AのCに対する所有権に基づく本件機械の引渡し請求が認められるか検討する。
(1) 請求原因は@A所有AC占有である。@はAB間の売買契約の解除によりAに所有権が認められる。Aは、CはBから引渡しを受けているから認められる。
(2) Cは占有権限の抗弁として賃借権を主張するが、認められるか。
ア 解除の効果(545条1項本文)の解釈
(ア)Cとしては、解除の効果は遡及せず、既履行債務の原状回復義務と未履行債務の消滅があるだけと構成したい(間接効果説、545条1項本文)。そうするとBC間の賃貸借契約は有効であり、解除によってBの賃貸人たる地位が本件機械の所有権とともにAに法定承継される。法定承継されるための要件はCが賃借権の対抗要件を備えていることだが、Cは「引渡し」(178条)を受けているためこの要件を満たす。
(イ)これに対してAとしては、判例同様解除の遡及効を肯定する(直接効果説)。そうするとBC間の賃貸借契約は他人物賃貸借であり、賃借人は所有者に賃借権を主張できない(559条、560条)。この見解が正当である。
イ 「第三者」(545条1項但書)該当性
(ア)Cとしては、解除の直接効果説を前提としても545条1項但書は解除の遡及効によって害されるものを保護する趣旨であり、「第三者」とは解除前の者をいうところ、Cがこれに当たる。したがって、CはAに対して賃借権を対抗できると主張したい。
(イ)Aとしては、動産の第三取得者に545条1項但書の保護は及ばないと主張したい。
私見は、賃借権の公示は引渡しでは不十分であり、解除前の動産取得者は「第三者」に当たらないと考える。本件機械は3000万円と高額だが、法的安定性を保つためこの結論は動産の金額によって変えるべきではない。CはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求ができるから不当ではない。
2 1(2)ア(ア)、1(2)イ(ア)のいずれかの構成が認められてCが賃借権をAに対抗できる場合に、AのCに対する賃料請求が認められるか検討する。
(1)請求原因は、@BC間の賃貸借契約の存在、AAが本件機械の所有権を有すること、B賃料債権の発生と弁済期の到来と解される。
(2)これに対してCは、対抗要件の抗弁を主張しうる。
ア Cの主張
賃貸人たる地位移転は本件機械の所有権の移転に伴うものであり、賃借人は178条の「第三者」(動産の得喪変更につき引渡しの欠缺を主張する正当の利益を有する者)に当たるから、Aが賃貸人たる地位をCに対抗するためには引渡しが必要である。
仮に賃貸人たる地位が不動産の得喪変更に当たらず対抗問題ではないと考えたとしても、賃借人の賃料の二重払いの危険を避けるため、権利保護要件としての引渡しが必要である。
イ Aの反論
対抗問題ではないから登記は不要である。二重払いの危険は債権譲渡の通知(467条1項)で足りる。
(3)私見は、対抗要件として引渡しを要求すると賃借人が常に勝つことになりかねず妥当でない。しかし賃料の二重払いの危険を避ける必要もある。そこで、賃貸人たる地位を主張するためには債権譲渡の通知(467条1項)が必要と解する。Bが通知をしない場合には、裁判上の代位(423条)によりAが通知すればよい。
設問2
1 AのCに対する引渡し請求が認められる場合
(1) AC間
設問1と同様にAのCに対する所有権に基づく引渡し請求が認められる。
(2) CD間
DはCに対して賃料請求したいが、BC間の賃貸借契約はCがAに本件機械を引渡した時点で履行不能になり消滅するため、それ以降の賃料請求は認められない。
DはCに対して、545条1項但書の第三者に該当することを理由に賃料請求することも考えられるが、Dは解除の遡及効によって害されたのではなく、AがCに対して本件機械の返還請求をしたことにより害されたのであるから、545条1項但書の第三者に該当しない。
このように解しても、BD間の債権譲渡契約上BはCに対する賃料債権を発生させ続ける義務(保護義務)を負うと解されるから、DはBに対して保護義務違反による損害賠償請求(415条)ができるため、不当ではない。
CのAに対する本件機械の引渡し以前の賃料(既払いの賃料)は、他人物賃貸借が有効である以上、清算の必要はない。
2 AのCに対する引渡し請求が認められない場合
(1)Cに対して賃料請求できるのはADいずれかについて
DはCに対して賃料請求したい。それに対してAは解除を主張するだろうが、DはAとの関係では545条1項但書の第三者に当たるため、AはDとの関係では解除によって本件機械の所有権をBから復帰的に承継するのに伴ってBの賃貸人たる地位を承継したということになる。そうするとAはDに賃料債権を1年分譲渡した賃貸人の地位を承継するのであるから、Cに対して賃料請求できるのはDである。
(2)AC間
AはCの賃貸人だが、BC間の契約当初から1年分の賃料は請求できず、賃貸人としての義務だけを負うことになる。
(3)CD間
DはCに対して、BC間の契約当初から1年分の賃料を請求できる。 以上
1 AのCに対する所有権に基づく本件機械の引渡し請求が認められるか検討する。
(1) 請求原因は@A所有AC占有である。@はAB間の売買契約の解除によりAに所有権が認められる。Aは、CはBから引渡しを受けているから認められる。
(2) Cは占有権限の抗弁として賃借権を主張するが、認められるか。
ア 解除の効果(545条1項本文)の解釈
(ア)Cとしては、解除の効果は遡及せず、既履行債務の原状回復義務と未履行債務の消滅があるだけと構成したい(間接効果説、545条1項本文)。そうするとBC間の賃貸借契約は有効であり、解除によってBの賃貸人たる地位が本件機械の所有権とともにAに法定承継される。法定承継されるための要件はCが賃借権の対抗要件を備えていることだが、Cは「引渡し」(178条)を受けているためこの要件を満たす。
(イ)これに対してAとしては、判例同様解除の遡及効を肯定する(直接効果説)。そうするとBC間の賃貸借契約は他人物賃貸借であり、賃借人は所有者に賃借権を主張できない(559条、560条)。この見解が正当である。
イ 「第三者」(545条1項但書)該当性
(ア)Cとしては、解除の直接効果説を前提としても545条1項但書は解除の遡及効によって害されるものを保護する趣旨であり、「第三者」とは解除前の者をいうところ、Cがこれに当たる。したがって、CはAに対して賃借権を対抗できると主張したい。
(イ)Aとしては、動産の第三取得者に545条1項但書の保護は及ばないと主張したい。
私見は、賃借権の公示は引渡しでは不十分であり、解除前の動産取得者は「第三者」に当たらないと考える。本件機械は3000万円と高額だが、法的安定性を保つためこの結論は動産の金額によって変えるべきではない。CはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求ができるから不当ではない。
2 1(2)ア(ア)、1(2)イ(ア)のいずれかの構成が認められてCが賃借権をAに対抗できる場合に、AのCに対する賃料請求が認められるか検討する。
(1)請求原因は、@BC間の賃貸借契約の存在、AAが本件機械の所有権を有すること、B賃料債権の発生と弁済期の到来と解される。
(2)これに対してCは、対抗要件の抗弁を主張しうる。
ア Cの主張
賃貸人たる地位移転は本件機械の所有権の移転に伴うものであり、賃借人は178条の「第三者」(動産の得喪変更につき引渡しの欠缺を主張する正当の利益を有する者)に当たるから、Aが賃貸人たる地位をCに対抗するためには引渡しが必要である。
仮に賃貸人たる地位が不動産の得喪変更に当たらず対抗問題ではないと考えたとしても、賃借人の賃料の二重払いの危険を避けるため、権利保護要件としての引渡しが必要である。
イ Aの反論
対抗問題ではないから登記は不要である。二重払いの危険は債権譲渡の通知(467条1項)で足りる。
(3)私見は、対抗要件として引渡しを要求すると賃借人が常に勝つことになりかねず妥当でない。しかし賃料の二重払いの危険を避ける必要もある。そこで、賃貸人たる地位を主張するためには債権譲渡の通知(467条1項)が必要と解する。Bが通知をしない場合には、裁判上の代位(423条)によりAが通知すればよい。
設問2
1 AのCに対する引渡し請求が認められる場合
(1) AC間
設問1と同様にAのCに対する所有権に基づく引渡し請求が認められる。
(2) CD間
DはCに対して賃料請求したいが、BC間の賃貸借契約はCがAに本件機械を引渡した時点で履行不能になり消滅するため、それ以降の賃料請求は認められない。
DはCに対して、545条1項但書の第三者に該当することを理由に賃料請求することも考えられるが、Dは解除の遡及効によって害されたのではなく、AがCに対して本件機械の返還請求をしたことにより害されたのであるから、545条1項但書の第三者に該当しない。
このように解しても、BD間の債権譲渡契約上BはCに対する賃料債権を発生させ続ける義務(保護義務)を負うと解されるから、DはBに対して保護義務違反による損害賠償請求(415条)ができるため、不当ではない。
CのAに対する本件機械の引渡し以前の賃料(既払いの賃料)は、他人物賃貸借が有効である以上、清算の必要はない。
2 AのCに対する引渡し請求が認められない場合
(1)Cに対して賃料請求できるのはADいずれかについて
DはCに対して賃料請求したい。それに対してAは解除を主張するだろうが、DはAとの関係では545条1項但書の第三者に当たるため、AはDとの関係では解除によって本件機械の所有権をBから復帰的に承継するのに伴ってBの賃貸人たる地位を承継したということになる。そうするとAはDに賃料債権を1年分譲渡した賃貸人の地位を承継するのであるから、Cに対して賃料請求できるのはDである。
(2)AC間
AはCの賃貸人だが、BC間の契約当初から1年分の賃料は請求できず、賃貸人としての義務だけを負うことになる。
(3)CD間
DはCに対して、BC間の契約当初から1年分の賃料を請求できる。 以上
民法 平成19年度第1問
設問1(1)AB間の登記に合致する贈与があった場合
1 XはBに対してT真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続きを求めたい。訴訟物は所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権である。
また、U甲土地の引渡しを受けていない場合には、それも求めたい。訴訟物は所有権に基づく返還請求権としての甲土地引渡請求権である。
また、VAB間の売買契約に対して詐害行為取消権(424条)を行使し、Aに対する移転登記請求をすることも考えられる。
さらに、W甲土地の引渡しを受けている場合には、Bからの明渡請求に対してAに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として留置権(295条)を主張することも考えられるが、これはXのBに対する請求ではないため検討しない、
2(1)TUのいずれも要件は甲土地の@X所有AB占有(登記名義)である。
(2)これに対してBは、自己に登記名義があることから、対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出す。BはXにとって甲土地の得喪変更に正当な利益を有する者であるから「第三者」(177条)にあたる。したがって、Bが背信的悪意者に当たることを主張立証しないかぎり、Xの請求は認められない。
3 Vの要件は@Aに対する被担保債権(所有権移転登記請求権)の取得、A@が詐害行為(AB間の売買契約)の前であること、BAの無資力、C財産権を目的とする法律行為であること、D詐害性を基礎づける事実である。これに対してBはEAを害することを知らなかったことを抗弁に出せる。
このように対抗要件で劣後する債権者も詐害行為取消権を行使できるのは177条の趣旨に反するようにも思えるが、両制度は趣旨が異なり、要件効果も異なるので問題ない。
本件ではCが問題となるが、移転登記請求権も債務不履行があれば損害賠償請求権という金銭債権に変化するため、詐害行為取消権行使時に損害賠償請求権に転化していればこれを満たす。Dについて、詐害性の判断は行為の客観面と主観面の総合判断であるが、贈与は客観的に詐害性が強いため、主観的害意が認定できない本件でも詐害行為に当たると解する。
したがって、BとEの要件を満たせば、Vは認められる。
設問1(2)AB間の登記が虚偽の登記であった場合
この場合はAB間で登記を移転させる意思表示は無効(94条1項)であるから、TUの請求が認められる。
設問2(1)AB間の登記に合致する贈与があった場合
1 請求は設問1のT〜Wと同じである。Wを検討しないことも同じである。
2 請求TUに対して、Cは自己が「第三者」(177条)にあたることを理由に対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出し、これはC自身が背信的悪意者であることをXが立証できないかぎり認められる。
なお、Bが背信的悪意者である場合も、無権利者ではないから、CはBから甲土地を承継する。
3 請求Vは、Cに対して甲土地所有権登記をAに移転させることの請求である。詐害行為取消権の効果は相対的なので、BはCに対して追奪担保責任(561条)を追及できない。
要件は設問1で検討した通りである。
設問2(2)AB間の登記が虚偽の登記だった場合
1 XはCに対してTUの請求をする。
2 これに対してCは、自己が94条2項の「第三者」に当たることを理由に、XとCが対抗関係に立ち、登記を備えたCが確定的に所有権を取得する(177条)という、対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出すと考えられる。この抗弁が認められるか。
CがAB間の通謀について善意の場合には、この主張は認められる。94条2項は表見法理を定めた規定だから無過失も要件となるという見解もあるが、文言上要求されていないから不要と解する。
この場合、甲土地の所有権はどのようにCに移転するのか。第三者が現れたからと言ってAB間の贈与が有効になるわけではないので、A→B→Cと移転するという説は妥当でない。AからCに法定承継されると解する。したがって、甲土地はA→C、A→Xという二重譲渡がなされたことになり、CとXとは対抗関係である。
そしてAB間の虚偽表示について善意である以上、AX間の売買について背信的悪意ということはありえないから、Cは177条の第三者に当たる。
したがって、Cの抗弁は認められる。
3 Vの詐害行為取消しは認められるだろうか。これも設問1(1)3のBEが認められる限りで認められる。
なお、CがAB間の虚偽表示について善意であっても、それが債権者Xを害することを知っているということはあり得る(設問1(1)3のEの抗弁は直ちに認められるわけではない)。 以上
1 XはBに対してT真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続きを求めたい。訴訟物は所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権である。
また、U甲土地の引渡しを受けていない場合には、それも求めたい。訴訟物は所有権に基づく返還請求権としての甲土地引渡請求権である。
また、VAB間の売買契約に対して詐害行為取消権(424条)を行使し、Aに対する移転登記請求をすることも考えられる。
さらに、W甲土地の引渡しを受けている場合には、Bからの明渡請求に対してAに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として留置権(295条)を主張することも考えられるが、これはXのBに対する請求ではないため検討しない、
2(1)TUのいずれも要件は甲土地の@X所有AB占有(登記名義)である。
(2)これに対してBは、自己に登記名義があることから、対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出す。BはXにとって甲土地の得喪変更に正当な利益を有する者であるから「第三者」(177条)にあたる。したがって、Bが背信的悪意者に当たることを主張立証しないかぎり、Xの請求は認められない。
3 Vの要件は@Aに対する被担保債権(所有権移転登記請求権)の取得、A@が詐害行為(AB間の売買契約)の前であること、BAの無資力、C財産権を目的とする法律行為であること、D詐害性を基礎づける事実である。これに対してBはEAを害することを知らなかったことを抗弁に出せる。
このように対抗要件で劣後する債権者も詐害行為取消権を行使できるのは177条の趣旨に反するようにも思えるが、両制度は趣旨が異なり、要件効果も異なるので問題ない。
本件ではCが問題となるが、移転登記請求権も債務不履行があれば損害賠償請求権という金銭債権に変化するため、詐害行為取消権行使時に損害賠償請求権に転化していればこれを満たす。Dについて、詐害性の判断は行為の客観面と主観面の総合判断であるが、贈与は客観的に詐害性が強いため、主観的害意が認定できない本件でも詐害行為に当たると解する。
したがって、BとEの要件を満たせば、Vは認められる。
設問1(2)AB間の登記が虚偽の登記であった場合
この場合はAB間で登記を移転させる意思表示は無効(94条1項)であるから、TUの請求が認められる。
設問2(1)AB間の登記に合致する贈与があった場合
1 請求は設問1のT〜Wと同じである。Wを検討しないことも同じである。
2 請求TUに対して、Cは自己が「第三者」(177条)にあたることを理由に対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出し、これはC自身が背信的悪意者であることをXが立証できないかぎり認められる。
なお、Bが背信的悪意者である場合も、無権利者ではないから、CはBから甲土地を承継する。
3 請求Vは、Cに対して甲土地所有権登記をAに移転させることの請求である。詐害行為取消権の効果は相対的なので、BはCに対して追奪担保責任(561条)を追及できない。
要件は設問1で検討した通りである。
設問2(2)AB間の登記が虚偽の登記だった場合
1 XはCに対してTUの請求をする。
2 これに対してCは、自己が94条2項の「第三者」に当たることを理由に、XとCが対抗関係に立ち、登記を備えたCが確定的に所有権を取得する(177条)という、対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出すと考えられる。この抗弁が認められるか。
CがAB間の通謀について善意の場合には、この主張は認められる。94条2項は表見法理を定めた規定だから無過失も要件となるという見解もあるが、文言上要求されていないから不要と解する。
この場合、甲土地の所有権はどのようにCに移転するのか。第三者が現れたからと言ってAB間の贈与が有効になるわけではないので、A→B→Cと移転するという説は妥当でない。AからCに法定承継されると解する。したがって、甲土地はA→C、A→Xという二重譲渡がなされたことになり、CとXとは対抗関係である。
そしてAB間の虚偽表示について善意である以上、AX間の売買について背信的悪意ということはありえないから、Cは177条の第三者に当たる。
したがって、Cの抗弁は認められる。
3 Vの詐害行為取消しは認められるだろうか。これも設問1(1)3のBEが認められる限りで認められる。
なお、CがAB間の虚偽表示について善意であっても、それが債権者Xを害することを知っているということはあり得る(設問1(1)3のEの抗弁は直ちに認められるわけではない)。 以上
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民法 平成18年度第1問
設問1(1)
1 AのCに対する甲絵画の所有権に基づく返還請求が認められるか検討する。
2 請求原因は甲絵画の@A所有、AC占有である。
@について、取消によりAB間の売買契約が遡及的に無効となるから(121条本文)、Aの所有権は認められる。Aは明らかに認められる。
3 これに対してCは、甲絵画の@即時取得の抗弁(192条)、A対抗要件具備による所有権喪失の抗弁(178条)という2つの抗弁を出せる。
(1)@の構成について
@は、取消の遡及効を前提とした主張である。つまり、Aの取消によりBは遡及的に無権利者となる。ここで動産取引安全のための即時取得の問題と考えるのである。
192条から要件となり得るものを挙げると⑴取引行為、⑵⑴による占有取得、⑶平穏、公然、善意、⑷無過失、⑸前主の占有である。このうち⑶は186条1項(暫定真実の規定と解する)によって立証責任が転換されているためCが主張立証する必要はない。また、⑷は188条(法律上の権利推定の規定と解する)で推定されるため、やはりCが主張立証する必要はない。⑸は⑵の内容に含まれるから改めて検討する必要はない。したがってCが主張立証すべき要件は⑴⑵である。
本件では、⑴CはBとの売買契約により⑵甲絵画の占有を取得した。
したがって、Aの請求は認められない。
(2)Aの構成について
Aは、取消によって物権がBからAに承継されることを前提とした主張である。そのためAとCとは甲絵画を巡る二重譲渡の関係になり、対抗問題と考えるのである。
これによると要件は⑴BC売買契約、⑵⑴に基づく引渡し(178条)である。本件ではいずれも認められ、したがってAの請求は認められない。
(3)@とAの比較
以上みた通り@とAとでCが主張立証すべき事実はほぼ同じであるが、@だとAから占有の強暴、陰秘、悪意、過失の再抗弁を許すことになる。これに対してAではAは配信的悪意者の再抗弁しか出せないから、Aの方がCに有利である。
設問1(2)
1 取消の効果が遡及すると考えるか否かに関わらず、BはAの物をCに売ったということになるから、CはAに対し、追奪担保責任を追及することができる(560条、561条)。
2 まず、「売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないとき」にあたる事実としてCが甲をAに返還しなければならなかったことを主張立証することにより、解除ができる(561条前段)。解除によりBC間の売買契約は遡及的に無効となると解されるから、CはBに対し、原状回復請求権(545条本文)の行使として300万円と受領時からの利息(545条2項)の返還請求ができる。
3 次に、損害賠償請求ができる(561条後段)。損害賠償の範囲は信頼利益である。
これに対してBは、CがAB間の売買契約が取消されたことについて悪意だったことを主張立証することにより、561条後段を根拠とする損害賠償を免れることができる。
もっとも、売主の帰責事由によって権利移転ができない場合は561条後段で損害賠償できない場合でも415条により損害賠償できると解されているから、415条に基づく損害賠償をも免れるためにはBは帰責事由がないことをも主張立証する必要がある。415条による損害賠償が認められた場合、損害賠償の範囲は履行利益である。
設問2
1 AのCに対する所有権に基づく返還請求が認められるか検討する。
2 請求原因は甲絵画の@A所有、AC占有である。
3 Cの抗弁として、@192条類推、A95条1項但書の「第三者」該当という2つの構成が考えられる。
(1)@について
取消前にはBは甲絵画の所有権を有しているから、192条を直接適用することはできない。しかし、取消により法律関係が遡及的に消滅(121条本文)すると、Bも遡及的に無権利者となる。また、取消の前後で第三者の保護要件が異なるのは妥当でない。したがって、取消前の第三者にも192条を類推し、同条の要件の下で保護しようとする考え方である。
要件は設問1で検討した通りである。
(2)Aについて
95条1項但書は取消の遡及効(121条本文)によって害される者を保護する規定と解されるから、Cは同条の第三者に当たる。要件は、⑴BC間の売買契約、⑵⑴がAの取消前であることと考えられる。本件ではいずれも認められる。
これに対してAは、CがAB間の売買契約がBの詐欺によるものであることについての悪意を再抗弁とすることができる。条文上要求されていないから第三者保護要件として無過失は不要であり、したがってAはCの過失を主張立証することを再抗弁とすることはできない。対抗要件又は権利保護要件の要否も解釈上問題となり得るが、本件ではCが引渡しを受けているため、Aとしては論じる実益がない。
(3)@とAの比較
Aの構成だとAは抗弁として悪意しか主張立証できないが、@だと強暴、陰秘、悪意、過失を主張立証できるから、Aの方がCに有利である。 以上
1 AのCに対する甲絵画の所有権に基づく返還請求が認められるか検討する。
2 請求原因は甲絵画の@A所有、AC占有である。
@について、取消によりAB間の売買契約が遡及的に無効となるから(121条本文)、Aの所有権は認められる。Aは明らかに認められる。
3 これに対してCは、甲絵画の@即時取得の抗弁(192条)、A対抗要件具備による所有権喪失の抗弁(178条)という2つの抗弁を出せる。
(1)@の構成について
@は、取消の遡及効を前提とした主張である。つまり、Aの取消によりBは遡及的に無権利者となる。ここで動産取引安全のための即時取得の問題と考えるのである。
192条から要件となり得るものを挙げると⑴取引行為、⑵⑴による占有取得、⑶平穏、公然、善意、⑷無過失、⑸前主の占有である。このうち⑶は186条1項(暫定真実の規定と解する)によって立証責任が転換されているためCが主張立証する必要はない。また、⑷は188条(法律上の権利推定の規定と解する)で推定されるため、やはりCが主張立証する必要はない。⑸は⑵の内容に含まれるから改めて検討する必要はない。したがってCが主張立証すべき要件は⑴⑵である。
本件では、⑴CはBとの売買契約により⑵甲絵画の占有を取得した。
したがって、Aの請求は認められない。
(2)Aの構成について
Aは、取消によって物権がBからAに承継されることを前提とした主張である。そのためAとCとは甲絵画を巡る二重譲渡の関係になり、対抗問題と考えるのである。
これによると要件は⑴BC売買契約、⑵⑴に基づく引渡し(178条)である。本件ではいずれも認められ、したがってAの請求は認められない。
(3)@とAの比較
以上みた通り@とAとでCが主張立証すべき事実はほぼ同じであるが、@だとAから占有の強暴、陰秘、悪意、過失の再抗弁を許すことになる。これに対してAではAは配信的悪意者の再抗弁しか出せないから、Aの方がCに有利である。
設問1(2)
1 取消の効果が遡及すると考えるか否かに関わらず、BはAの物をCに売ったということになるから、CはAに対し、追奪担保責任を追及することができる(560条、561条)。
2 まず、「売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないとき」にあたる事実としてCが甲をAに返還しなければならなかったことを主張立証することにより、解除ができる(561条前段)。解除によりBC間の売買契約は遡及的に無効となると解されるから、CはBに対し、原状回復請求権(545条本文)の行使として300万円と受領時からの利息(545条2項)の返還請求ができる。
3 次に、損害賠償請求ができる(561条後段)。損害賠償の範囲は信頼利益である。
これに対してBは、CがAB間の売買契約が取消されたことについて悪意だったことを主張立証することにより、561条後段を根拠とする損害賠償を免れることができる。
もっとも、売主の帰責事由によって権利移転ができない場合は561条後段で損害賠償できない場合でも415条により損害賠償できると解されているから、415条に基づく損害賠償をも免れるためにはBは帰責事由がないことをも主張立証する必要がある。415条による損害賠償が認められた場合、損害賠償の範囲は履行利益である。
設問2
1 AのCに対する所有権に基づく返還請求が認められるか検討する。
2 請求原因は甲絵画の@A所有、AC占有である。
3 Cの抗弁として、@192条類推、A95条1項但書の「第三者」該当という2つの構成が考えられる。
(1)@について
取消前にはBは甲絵画の所有権を有しているから、192条を直接適用することはできない。しかし、取消により法律関係が遡及的に消滅(121条本文)すると、Bも遡及的に無権利者となる。また、取消の前後で第三者の保護要件が異なるのは妥当でない。したがって、取消前の第三者にも192条を類推し、同条の要件の下で保護しようとする考え方である。
要件は設問1で検討した通りである。
(2)Aについて
95条1項但書は取消の遡及効(121条本文)によって害される者を保護する規定と解されるから、Cは同条の第三者に当たる。要件は、⑴BC間の売買契約、⑵⑴がAの取消前であることと考えられる。本件ではいずれも認められる。
これに対してAは、CがAB間の売買契約がBの詐欺によるものであることについての悪意を再抗弁とすることができる。条文上要求されていないから第三者保護要件として無過失は不要であり、したがってAはCの過失を主張立証することを再抗弁とすることはできない。対抗要件又は権利保護要件の要否も解釈上問題となり得るが、本件ではCが引渡しを受けているため、Aとしては論じる実益がない。
(3)@とAの比較
Aの構成だとAは抗弁として悪意しか主張立証できないが、@だと強暴、陰秘、悪意、過失を主張立証できるから、Aの方がCに有利である。 以上
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民法 平成17年度第2問
設問1
1 CがEに対して所有権に基づく返還請求権の行使として庭石の引渡しを請求できるか検討する。
(1)請求原因は@庭石のC所有、AE占有である。@の立証はAC間の売買契約で足りる。
Aは明らかに認められる。
(2)Eは対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出すと思われる。すなわち、CとDとは庭石の二重譲渡を受けた関係にあり、Dが先に引渡し(178条)を受けたからDが優先し、Dは確定的に所有者となった。EはDからの譲受人であるから、確定的な所有権を承継している。
(3)これに対してCは、Dが背信的悪意者であることを再抗弁とすることが考えられるが、認められるか。
178条は、意思表示のみによって生じる動産の物権変動(176条)は、引渡しをするまでは不完全であり、多重に譲渡があった場合には引渡しを先に受けた者が確定的に所有者になることを定めた規定と解する。同条は「第三者」(物権の得喪変更の引渡しの欠缺を主張する正当な利益を有する者)の主観的要件を定めていないが、自由競争が建前である以上、悪意であっても保護されるべきである。しかし、背信的悪意者の場合は自由競争の枠外の問題なので、保護されないと解する。要件は@悪意、A信義則(1条2項)違反である。
本件では、Dは@AC間の庭石売買について悪意である。そして、AもっぱらCに嫌がらせをする意図であるから信義則違反がある。よってDは背信的悪意者に当たる。
ここでCは、背信的悪意者であるDは庭石の所有権を承継しない(無権利者である)ことを前提として、無権利者からの譲受人であるEはまた無権利者であるから、「第三者」に当たらないと主張したい。
しかし、背信的悪意者は権利の承継を「第三者」に対抗できないだけであり、無権利者ではない。したがって、背信的悪意者からの譲受人がまた背信的悪意者でないかぎり、背信的悪意者の譲受人は「第三者」に当たる。
したがって、Eが背信的悪意者でないかぎり、CはEに庭石所有権を対抗できない。
2 以上より、CはEが背信的悪意者でないかぎり、所有権に基づく返還請求権の行使として庭石の引渡しを請求できない。
設問2
1 BはEに対して抵当権に基づく返還請求権の行使として本件庭石の引渡し請求ができるか検討する。
(1)そもそも抵当権に基づく物権的請求権が認められるか。
抵当権も物権であるから、物権的請求権を観念しうる。しかし、抵当権は物の価値を把握する価値権であるから、価値の減少が認められることが行使要件として必要である。もっとも、単に価値の減少があっても依然として被担保債権の満足に十分な場合にまで物権的請求権を認める必要はない。したがって、被担保債権の満足が得られなくなる価値の減少があることを要件とすべきと考える。
(2)甲土地の抵当権の効力が庭石に及んでいるか。
従物(87条1項)とは、@物として独立性があり、A主物に付属しており、B主物の効用を高め、C主物と同一の所有者に属するものをいうが、本件庭石はこれらの要件を満たすから甲土地の従物に当たる。
そして、従物は主物の処分に従う(87条2項)ところ、抵当権の設定は「処分」に当たる。
したがって、甲土地の抵当権の効力は庭石に及んでいる。
(3)そうすると、時価200万円の庭石が担保価値から外れると甲土地の時価は2900万円となり、被担保債権額3000万円を下回るから、Bは抵当権に基づく返還請求権としての本件庭石の引渡請求権を有する。
(4)では、それをEに対抗できるか。
従物に抵当権の効力が及んでいることは、当該従物が抵当不動産上にある限り、抵当権の登記により知ることができる。そのため、抵当不動産上の従物に対して権利を取得した者に対しては、抵当権の効力を対抗できると解する。
本件では、Dは抵当不動産である甲土地上の庭石に対して権利取得したから、Dに対しては対抗できるが、Eは甲土地外で庭石の権利を取得したから、Eに対しては対抗できない。
2 したがって、BはEに対して、抵当権に基づく返還請求権の行使として庭石の引渡しを求めることはできない。 以上
1 CがEに対して所有権に基づく返還請求権の行使として庭石の引渡しを請求できるか検討する。
(1)請求原因は@庭石のC所有、AE占有である。@の立証はAC間の売買契約で足りる。
Aは明らかに認められる。
(2)Eは対抗要件具備による所有権喪失の抗弁を出すと思われる。すなわち、CとDとは庭石の二重譲渡を受けた関係にあり、Dが先に引渡し(178条)を受けたからDが優先し、Dは確定的に所有者となった。EはDからの譲受人であるから、確定的な所有権を承継している。
(3)これに対してCは、Dが背信的悪意者であることを再抗弁とすることが考えられるが、認められるか。
178条は、意思表示のみによって生じる動産の物権変動(176条)は、引渡しをするまでは不完全であり、多重に譲渡があった場合には引渡しを先に受けた者が確定的に所有者になることを定めた規定と解する。同条は「第三者」(物権の得喪変更の引渡しの欠缺を主張する正当な利益を有する者)の主観的要件を定めていないが、自由競争が建前である以上、悪意であっても保護されるべきである。しかし、背信的悪意者の場合は自由競争の枠外の問題なので、保護されないと解する。要件は@悪意、A信義則(1条2項)違反である。
本件では、Dは@AC間の庭石売買について悪意である。そして、AもっぱらCに嫌がらせをする意図であるから信義則違反がある。よってDは背信的悪意者に当たる。
ここでCは、背信的悪意者であるDは庭石の所有権を承継しない(無権利者である)ことを前提として、無権利者からの譲受人であるEはまた無権利者であるから、「第三者」に当たらないと主張したい。
しかし、背信的悪意者は権利の承継を「第三者」に対抗できないだけであり、無権利者ではない。したがって、背信的悪意者からの譲受人がまた背信的悪意者でないかぎり、背信的悪意者の譲受人は「第三者」に当たる。
したがって、Eが背信的悪意者でないかぎり、CはEに庭石所有権を対抗できない。
2 以上より、CはEが背信的悪意者でないかぎり、所有権に基づく返還請求権の行使として庭石の引渡しを請求できない。
設問2
1 BはEに対して抵当権に基づく返還請求権の行使として本件庭石の引渡し請求ができるか検討する。
(1)そもそも抵当権に基づく物権的請求権が認められるか。
抵当権も物権であるから、物権的請求権を観念しうる。しかし、抵当権は物の価値を把握する価値権であるから、価値の減少が認められることが行使要件として必要である。もっとも、単に価値の減少があっても依然として被担保債権の満足に十分な場合にまで物権的請求権を認める必要はない。したがって、被担保債権の満足が得られなくなる価値の減少があることを要件とすべきと考える。
(2)甲土地の抵当権の効力が庭石に及んでいるか。
従物(87条1項)とは、@物として独立性があり、A主物に付属しており、B主物の効用を高め、C主物と同一の所有者に属するものをいうが、本件庭石はこれらの要件を満たすから甲土地の従物に当たる。
そして、従物は主物の処分に従う(87条2項)ところ、抵当権の設定は「処分」に当たる。
したがって、甲土地の抵当権の効力は庭石に及んでいる。
(3)そうすると、時価200万円の庭石が担保価値から外れると甲土地の時価は2900万円となり、被担保債権額3000万円を下回るから、Bは抵当権に基づく返還請求権としての本件庭石の引渡請求権を有する。
(4)では、それをEに対抗できるか。
従物に抵当権の効力が及んでいることは、当該従物が抵当不動産上にある限り、抵当権の登記により知ることができる。そのため、抵当不動産上の従物に対して権利を取得した者に対しては、抵当権の効力を対抗できると解する。
本件では、Dは抵当不動産である甲土地上の庭石に対して権利取得したから、Dに対しては対抗できるが、Eは甲土地外で庭石の権利を取得したから、Eに対しては対抗できない。
2 したがって、BはEに対して、抵当権に基づく返還請求権の行使として庭石の引渡しを求めることはできない。 以上
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民法 平成17年度第1問
問題文
工場用機械メーカーAは、Bからの工場用機械の製作を請け負い、これを製作して、Bに引き渡した。その工場用機械(以下「本件機械」という。)は、Bが使用してみたところ、契約では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに、不具合があって1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかないことが判明した。そこで、Bは、直ちに本件機械の不具合をAに告げて修理を求めた。この事案について、以下の問いに答えよ。なお、各問いは独立した問いである。
1 Bはこうした不具合があったのでは本件機械を導入する意味がないと考えているが、本件機械を契約どおりの商品生産能力の機械とする修理は可能である。Aが修理をしようとしないので、Bは代金を支払っておらず、また、Bには商品の十分な生産ができないことによる営業上の損害が発生している。この場合に、Bの代金債務についての連帯保証人であるCは、Aからの保証債務の履行請求に対してどのような主張をすることができるか。
2 Aが修理をしようとしないため、Bはやむを得ずDに本件機械の修理を依頼し、Dは修理を完了した。その後、Bは、営業不振により高利貸しからの融資を受ける状態になり、結局、多額の債務を残して行方不明となり、Dへの修理代金の支払もしていない。この場合に、Aは本件機械の引渡しの際にBから代金全額の支払いを受けているものとして、Dは、Aに対してどのような請求をすることができるか。
設問1
Cは保証債務の付従性により主債務者Bのもつ以下の抗弁権を援用できる。
1 修補義務の先履行
(1)Aの修補義務の根拠
AB間では請負契約(632条)が締結されており、請負人Aは注文者Bに対して請負目的物の瑕疵担保責任として修補義務を負う(634条)。請求原因は「瑕疵」(同条)である。「瑕疵」とは契約で決められた性質を有さないことを言い、本件機械は契約では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに不具合のため1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかないことは「瑕疵」に当たる。
したがって、Aは修補義務を負う。
(2)Aの修補義務とBの報酬支払義務との関係
これについては請負の担保責任の法的性質が問題となる。請負契約は請負人が仕事完成義務を負う契約類型だから、瑕疵担保と債務不履行の区別がつきにくい。そのため請負の担保責任は端的に債務不履行責任の性質を有すると解すべきである。そうすると修補義務は仕事完成義務の性質を有するから、報酬支払義務より先に履行すべきものである(633条)。
2 損害賠償請求権との同時履行
(1)Aの損害賠償義務の根拠
Bは商品の十分な生産ができないことによる営業上の損害を、瑕疵の「修補とともに」賠償請求しうる。要件は@「瑕疵」の他にA「損害」が必要である。
AとしてBは上記の営業上の損害を主張立証することになるが、このような瑕疵結果損害も請負の担保責任の内容となるかが問題となる。仕事完成義務とは別の保護義務違反の問題とする見解もある。しかし、前述のように請負の担保責任の法的性質は債務不履行であるから、瑕疵結果損害も634条2項の「損害」として請求できると解する。
(2)Bの損害賠償請求権とAの報酬請求権の関係
同時履行である(634条2項後段、533条)。
(3)同時履行の範囲
目的物の引渡しと報酬支払が同時履行と解される(633条)こととの均衡から、損害賠償請求権は報酬支払請求権の全額と同時履行の関係に立つと解する。
3 損害賠償請求権との相殺
(1)債務の性質が許さない場合は相殺はできず(505条1項但書)、受働債務に抗弁権が付着している場合はこれに当たると解されている。2で見た通りAの報酬支払い請求権には同時履行の抗弁権が付着しているから相殺できないのが原則である。しかし、この場合相互に現実の履行をさせる利益に乏しく、相殺した方が便宜だから、例外的に注文者からの相殺の抗弁が認められると解する。
(2)Cの援用の可否
457条2項は保証人が主債務者の相殺の抗弁をもって債権者に「対抗することができる」と定めている。この文言からは相殺の抗弁権を行使できそうであるが、債権者と保証契約を結んだことにより保証人に主債務者の財産の処分権を認めるのは不合理なので、保証人は、相殺によって消滅する限度で債権者に対して保証債務の履行を拒絶できると解すべきである。したがってCはBの持つ損害賠償請求権の範囲で、Bが相殺権を持つことを主張立証して保証債務の履行を拒絶できると解する。
4 解除
(1)Bの635条に基づく解除権の有無
635条の解除権を行使するための請求原因には@「瑕疵」、A契約目的を達成できないことが必要である。Aは抗弁と解する余地もあるが、契約の拘束力から解放する根拠として請求原因となると解する。本件では@は前述のとおりであり、AもBは不具合のために本件機械を導入する意味がないと考えているから、満たす。したがって、Bは635条に基づく解除権を有する。
(2)Cの援用の可否
CはAB間の契約の当事者ではないから、CにはAB間の契約について解除権はない。しかし、解除権が行使された場合の保証人は主債務者が解除権を有することを理由に保証債務の履行を拒絶できると解すべきである。CはAが解除権を有することを理由に保証債務の履行を拒絶できる。
設問2
1 423条に基づき、Bに対する修理代金支払請求権を保全するため、BのAに対する修補に代わる損害賠償請求権を代位行使できるか検討する。
(1)請求原因は、@被保全債権の存在、A保全の必要性(債務者の無資力)、B代位行使する債権の存在(以上423条1項)と解する。
本件で@は前述のとおり満たす。AはBが多額の債務を抱えていることから満たすと思われるが、立証のためにはDは利害関係人として家庭裁判所に財産管理人の選任を請求し(25条)、財産状況を確認する必要があろう。Bについて、BはAに対して修補に代わる損害賠償請求か修補とともにする損害賠償請求かを選択できるため(634条1項)、選任された財産管理人が「修補に代えて」修補相当額の損害賠償を選択した場合には、この要件を満たす。
(2)Aは抗弁として@代位を許す債権ではないこと(423条1項但書)、A弁済期が到来していないこと(同2項)を主張しうる。本件では@は認められない。Aについて、損害賠償請求権は請求時に弁済期が到来する(412条3項)から、認められない。
(3)以上より、DはBの財産管理人を置くことを請求し、AとBの要件を満たす場合に限り表記の代位行使ができる。
2 703条に基づきAに対して修補費用を不当利得返還請求できるか検討する。
(1)前提として、2は1の請求が認められない場合に補充的に請求できるだけなのか、不当利得制度の本質が問題となる。公平説によれば不当利得は補充的だが、公平説は物権行為の無因性を採用したドイツの議論であって、日本民法の解釈として不適当である。日本民法の解釈としては利得の原因に応じて類型化する説が妥当であり、したがって不当利得制度は補充制を持たないと考える。本件でもDは1と2を併存的・選択的に請求できる。
(2)本件のような侵害利得の事例では請求原因は@Aの受益、A@がDの権利に由来することと解する。一般的には⑴受益⑵損失⑶因果関係⑷法律上の原因のないことを挙げるが、⑵と⑶はAに吸収される。⑷は、物権的請求権で占有権限が相手方の抗弁であることとの均衡から、法律上の原因のあることがAの抗弁になると解する。
本件では、Aは修補義務を免れている(@)。また、@はDのBに対する報酬請求権に由来するものである(A)。
(3)Aは抗弁として@権利喪失、A法律上の原因の存在、B利得消滅、C消滅時効を主張立証しうるが、本件ではいずれも認められない。
(4)したがって、DはAに対し、表記の請求をすることができる。 以上
工場用機械メーカーAは、Bからの工場用機械の製作を請け負い、これを製作して、Bに引き渡した。その工場用機械(以下「本件機械」という。)は、Bが使用してみたところ、契約では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに、不具合があって1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかないことが判明した。そこで、Bは、直ちに本件機械の不具合をAに告げて修理を求めた。この事案について、以下の問いに答えよ。なお、各問いは独立した問いである。
1 Bはこうした不具合があったのでは本件機械を導入する意味がないと考えているが、本件機械を契約どおりの商品生産能力の機械とする修理は可能である。Aが修理をしようとしないので、Bは代金を支払っておらず、また、Bには商品の十分な生産ができないことによる営業上の損害が発生している。この場合に、Bの代金債務についての連帯保証人であるCは、Aからの保証債務の履行請求に対してどのような主張をすることができるか。
2 Aが修理をしようとしないため、Bはやむを得ずDに本件機械の修理を依頼し、Dは修理を完了した。その後、Bは、営業不振により高利貸しからの融資を受ける状態になり、結局、多額の債務を残して行方不明となり、Dへの修理代金の支払もしていない。この場合に、Aは本件機械の引渡しの際にBから代金全額の支払いを受けているものとして、Dは、Aに対してどのような請求をすることができるか。
設問1
Cは保証債務の付従性により主債務者Bのもつ以下の抗弁権を援用できる。
1 修補義務の先履行
(1)Aの修補義務の根拠
AB間では請負契約(632条)が締結されており、請負人Aは注文者Bに対して請負目的物の瑕疵担保責任として修補義務を負う(634条)。請求原因は「瑕疵」(同条)である。「瑕疵」とは契約で決められた性質を有さないことを言い、本件機械は契約では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに不具合のため1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかないことは「瑕疵」に当たる。
したがって、Aは修補義務を負う。
(2)Aの修補義務とBの報酬支払義務との関係
これについては請負の担保責任の法的性質が問題となる。請負契約は請負人が仕事完成義務を負う契約類型だから、瑕疵担保と債務不履行の区別がつきにくい。そのため請負の担保責任は端的に債務不履行責任の性質を有すると解すべきである。そうすると修補義務は仕事完成義務の性質を有するから、報酬支払義務より先に履行すべきものである(633条)。
2 損害賠償請求権との同時履行
(1)Aの損害賠償義務の根拠
Bは商品の十分な生産ができないことによる営業上の損害を、瑕疵の「修補とともに」賠償請求しうる。要件は@「瑕疵」の他にA「損害」が必要である。
AとしてBは上記の営業上の損害を主張立証することになるが、このような瑕疵結果損害も請負の担保責任の内容となるかが問題となる。仕事完成義務とは別の保護義務違反の問題とする見解もある。しかし、前述のように請負の担保責任の法的性質は債務不履行であるから、瑕疵結果損害も634条2項の「損害」として請求できると解する。
(2)Bの損害賠償請求権とAの報酬請求権の関係
同時履行である(634条2項後段、533条)。
(3)同時履行の範囲
目的物の引渡しと報酬支払が同時履行と解される(633条)こととの均衡から、損害賠償請求権は報酬支払請求権の全額と同時履行の関係に立つと解する。
3 損害賠償請求権との相殺
(1)債務の性質が許さない場合は相殺はできず(505条1項但書)、受働債務に抗弁権が付着している場合はこれに当たると解されている。2で見た通りAの報酬支払い請求権には同時履行の抗弁権が付着しているから相殺できないのが原則である。しかし、この場合相互に現実の履行をさせる利益に乏しく、相殺した方が便宜だから、例外的に注文者からの相殺の抗弁が認められると解する。
(2)Cの援用の可否
457条2項は保証人が主債務者の相殺の抗弁をもって債権者に「対抗することができる」と定めている。この文言からは相殺の抗弁権を行使できそうであるが、債権者と保証契約を結んだことにより保証人に主債務者の財産の処分権を認めるのは不合理なので、保証人は、相殺によって消滅する限度で債権者に対して保証債務の履行を拒絶できると解すべきである。したがってCはBの持つ損害賠償請求権の範囲で、Bが相殺権を持つことを主張立証して保証債務の履行を拒絶できると解する。
4 解除
(1)Bの635条に基づく解除権の有無
635条の解除権を行使するための請求原因には@「瑕疵」、A契約目的を達成できないことが必要である。Aは抗弁と解する余地もあるが、契約の拘束力から解放する根拠として請求原因となると解する。本件では@は前述のとおりであり、AもBは不具合のために本件機械を導入する意味がないと考えているから、満たす。したがって、Bは635条に基づく解除権を有する。
(2)Cの援用の可否
CはAB間の契約の当事者ではないから、CにはAB間の契約について解除権はない。しかし、解除権が行使された場合の保証人は主債務者が解除権を有することを理由に保証債務の履行を拒絶できると解すべきである。CはAが解除権を有することを理由に保証債務の履行を拒絶できる。
設問2
1 423条に基づき、Bに対する修理代金支払請求権を保全するため、BのAに対する修補に代わる損害賠償請求権を代位行使できるか検討する。
(1)請求原因は、@被保全債権の存在、A保全の必要性(債務者の無資力)、B代位行使する債権の存在(以上423条1項)と解する。
本件で@は前述のとおり満たす。AはBが多額の債務を抱えていることから満たすと思われるが、立証のためにはDは利害関係人として家庭裁判所に財産管理人の選任を請求し(25条)、財産状況を確認する必要があろう。Bについて、BはAに対して修補に代わる損害賠償請求か修補とともにする損害賠償請求かを選択できるため(634条1項)、選任された財産管理人が「修補に代えて」修補相当額の損害賠償を選択した場合には、この要件を満たす。
(2)Aは抗弁として@代位を許す債権ではないこと(423条1項但書)、A弁済期が到来していないこと(同2項)を主張しうる。本件では@は認められない。Aについて、損害賠償請求権は請求時に弁済期が到来する(412条3項)から、認められない。
(3)以上より、DはBの財産管理人を置くことを請求し、AとBの要件を満たす場合に限り表記の代位行使ができる。
2 703条に基づきAに対して修補費用を不当利得返還請求できるか検討する。
(1)前提として、2は1の請求が認められない場合に補充的に請求できるだけなのか、不当利得制度の本質が問題となる。公平説によれば不当利得は補充的だが、公平説は物権行為の無因性を採用したドイツの議論であって、日本民法の解釈として不適当である。日本民法の解釈としては利得の原因に応じて類型化する説が妥当であり、したがって不当利得制度は補充制を持たないと考える。本件でもDは1と2を併存的・選択的に請求できる。
(2)本件のような侵害利得の事例では請求原因は@Aの受益、A@がDの権利に由来することと解する。一般的には⑴受益⑵損失⑶因果関係⑷法律上の原因のないことを挙げるが、⑵と⑶はAに吸収される。⑷は、物権的請求権で占有権限が相手方の抗弁であることとの均衡から、法律上の原因のあることがAの抗弁になると解する。
本件では、Aは修補義務を免れている(@)。また、@はDのBに対する報酬請求権に由来するものである(A)。
(3)Aは抗弁として@権利喪失、A法律上の原因の存在、B利得消滅、C消滅時効を主張立証しうるが、本件ではいずれも認められない。
(4)したがって、DはAに対し、表記の請求をすることができる。 以上
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民法 平成16年度第2問
1 Eが抵当権に基づく妨害排除請求としてAの登記の抹消請求ができるか検討する。
(1)請求原因は@EC間の消費貸借契約、A@の担保のため甲不動産に抵当権設定、B同不動産にAの抵当権設定登記の存在と解する。抵当不動産の占有者に対して明渡しを求める場合はほかにC競売手続の妨害目的とD優先弁済請求権の行使が困難となる状況があることが要件となるが、先順位の抵当権設定登記の場合はそれがあるだけで後順位抵当権者は劣後することになるから、それらの要件は不要と解する。
(2)これに対してAは、登記保持権限の抗弁として@AB間の消費貸借契約、A@の担保のため甲不動産に抵当権設定、B抵当権設定当時に甲不動産をCが所有していたこと主張立証する。Bは、抵当権設定契約が物権契約であることから要求される。
(3)それに対してEは、Bの債務の時効消滅を主張する。要件としては@@から10年経過(167条1項)、AEの時効援用(145条)、BBの無資力(後述)と解される。
ア Aの時効援用について、Eの立場から詳述する。判例は時効援用権者を時効により直接の利益を受ける者とする。そして後順位抵当権者にとって、先順位抵当権が時効消滅することによる配当額増加に対する期待は反射的利益に過ぎないから、後順位抵当権者は直接受益者に当たらないという。この判例に従うと、後順位抵当権者Eには時効援用権が認められないということになる。ここで反射的利益とされたことの意味は、後順位抵当権者は先順位抵当権の登記を抹消しなくても自己の債権が無価値になるわけではないこと。また、時効援用は他の抵当権者にも影響することを考慮されてのことだと考えられる。
しかし、時効を援用しうる債務者が無資力である場合には、後順位抵当権者は時効を援用しないと被保全債権が無価値となる。また、無価値となる債権の保全という理由があれば、他の抵当権者に影響がでることも正当化されうる。したがって、債務者が無資力である場合には、後順位抵当権者も直接受益者といえ、時効援用権者になると解すべきである。
したがって、Bの要件が加わる場合にEはBの時効を援用できる。そしてBは債務超過で行方不明だから、Eは「利害関係人」(25条)として管理人を置くことを家庭裁判所に請求し、管理人により無資力を証明させることにより、Bを満たす。
イ Aの反論及び私見
時効はある事実状態の継続のみで権利の変動を認める制度だから、債務者の無資力を要件に加えることは妥当でなく、Eの主張は採用できない。
もっとも、Eの言い分の趣旨はEにBの時効援用権を代位行使(423条)させることで実質的に同じ効果をもたらすことができる。その際の請求原因はT被保全債権の存在U代位債権の存在V債務者の無資力と解される。それらを主張立証することにより、EはBの時効援用権を代位行使することを主張できる。
この点についてAからは時効援用権が一身専属的権利(423条1項但書)にあたるという反論があり得る。しかし、債務者が無資力の状態では、将来にわたって債務返済をもくろむ債務者の意思よりも、現在の債権の保全を図ろうとする債権者の意思を優先すべきだから、債務超過者の時効援用権は一身専属権に当たらないと解する。
(4)ア これに対してAは、Cが複数回にわたって合計800万円をBに代わって弁済し、残りの債務も代わって弁済する旨繰り返し申し出たことが「承認」(147条3項)に当たり、時効が中断するという抗弁を出しうる。
イ それに対してEは、物上保証人には「承認」権がないと主張しうる。
ウ 私見
承認とは債務の存在を認識していることを示すことであり、これは財産の処分を伴うから債権者のみが承認権者に当たると解される。
もっとも、CはBの父親であること、前述のようにCはBの代わりに弁済し、また弁済を続ける意思表明をしていることから、Bの債務はCが免責的に引受けたと解すべきである。免責的債務引受について明文はないが、引受人に対する債務引受の合意と債務者に対する債務免除(519条)の混合契約であり、免除は債権者の一方的意思表示で行うことができるから、免責的債務引受は債権者と引受人の合意で行うことができると解される。本問でも、AとCとの間で免責的債務引受が行われた。したがって、Cは債務者として承認し、よって時効は中断した。
この場合、(3)で検討したBの時効援用権の代位行使はCのそれに変わる。Cが無資力である場合に限り代位行使できる。
(5)これに対してEは、Cの免責的債務引受又は承認が詐害行為(424条)に当たることを主張しうる。
2 以上みた通り、Cが無資力であり、かつ、Cの免責的債務引受又は承認が詐害行為に当たらないかぎり、EのAに対する抵当権設定登記の抹消登記請求は認められない。 以上
かゆいところ
A「これは単純に難しいわ。」
B「主張反論で書かずに普通に書けばもうちょっと読みやすくかけるんじゃないの?」
A「まあそうかもね。あと、抵当権に基づく妨害排除の要件としてそもそも債務者の無資力を要求するべきなのかもしれないわ。」
(1)請求原因は@EC間の消費貸借契約、A@の担保のため甲不動産に抵当権設定、B同不動産にAの抵当権設定登記の存在と解する。抵当不動産の占有者に対して明渡しを求める場合はほかにC競売手続の妨害目的とD優先弁済請求権の行使が困難となる状況があることが要件となるが、先順位の抵当権設定登記の場合はそれがあるだけで後順位抵当権者は劣後することになるから、それらの要件は不要と解する。
(2)これに対してAは、登記保持権限の抗弁として@AB間の消費貸借契約、A@の担保のため甲不動産に抵当権設定、B抵当権設定当時に甲不動産をCが所有していたこと主張立証する。Bは、抵当権設定契約が物権契約であることから要求される。
(3)それに対してEは、Bの債務の時効消滅を主張する。要件としては@@から10年経過(167条1項)、AEの時効援用(145条)、BBの無資力(後述)と解される。
ア Aの時効援用について、Eの立場から詳述する。判例は時効援用権者を時効により直接の利益を受ける者とする。そして後順位抵当権者にとって、先順位抵当権が時効消滅することによる配当額増加に対する期待は反射的利益に過ぎないから、後順位抵当権者は直接受益者に当たらないという。この判例に従うと、後順位抵当権者Eには時効援用権が認められないということになる。ここで反射的利益とされたことの意味は、後順位抵当権者は先順位抵当権の登記を抹消しなくても自己の債権が無価値になるわけではないこと。また、時効援用は他の抵当権者にも影響することを考慮されてのことだと考えられる。
しかし、時効を援用しうる債務者が無資力である場合には、後順位抵当権者は時効を援用しないと被保全債権が無価値となる。また、無価値となる債権の保全という理由があれば、他の抵当権者に影響がでることも正当化されうる。したがって、債務者が無資力である場合には、後順位抵当権者も直接受益者といえ、時効援用権者になると解すべきである。
したがって、Bの要件が加わる場合にEはBの時効を援用できる。そしてBは債務超過で行方不明だから、Eは「利害関係人」(25条)として管理人を置くことを家庭裁判所に請求し、管理人により無資力を証明させることにより、Bを満たす。
イ Aの反論及び私見
時効はある事実状態の継続のみで権利の変動を認める制度だから、債務者の無資力を要件に加えることは妥当でなく、Eの主張は採用できない。
もっとも、Eの言い分の趣旨はEにBの時効援用権を代位行使(423条)させることで実質的に同じ効果をもたらすことができる。その際の請求原因はT被保全債権の存在U代位債権の存在V債務者の無資力と解される。それらを主張立証することにより、EはBの時効援用権を代位行使することを主張できる。
この点についてAからは時効援用権が一身専属的権利(423条1項但書)にあたるという反論があり得る。しかし、債務者が無資力の状態では、将来にわたって債務返済をもくろむ債務者の意思よりも、現在の債権の保全を図ろうとする債権者の意思を優先すべきだから、債務超過者の時効援用権は一身専属権に当たらないと解する。
(4)ア これに対してAは、Cが複数回にわたって合計800万円をBに代わって弁済し、残りの債務も代わって弁済する旨繰り返し申し出たことが「承認」(147条3項)に当たり、時効が中断するという抗弁を出しうる。
イ それに対してEは、物上保証人には「承認」権がないと主張しうる。
ウ 私見
承認とは債務の存在を認識していることを示すことであり、これは財産の処分を伴うから債権者のみが承認権者に当たると解される。
もっとも、CはBの父親であること、前述のようにCはBの代わりに弁済し、また弁済を続ける意思表明をしていることから、Bの債務はCが免責的に引受けたと解すべきである。免責的債務引受について明文はないが、引受人に対する債務引受の合意と債務者に対する債務免除(519条)の混合契約であり、免除は債権者の一方的意思表示で行うことができるから、免責的債務引受は債権者と引受人の合意で行うことができると解される。本問でも、AとCとの間で免責的債務引受が行われた。したがって、Cは債務者として承認し、よって時効は中断した。
この場合、(3)で検討したBの時効援用権の代位行使はCのそれに変わる。Cが無資力である場合に限り代位行使できる。
(5)これに対してEは、Cの免責的債務引受又は承認が詐害行為(424条)に当たることを主張しうる。
2 以上みた通り、Cが無資力であり、かつ、Cの免責的債務引受又は承認が詐害行為に当たらないかぎり、EのAに対する抵当権設定登記の抹消登記請求は認められない。 以上
かゆいところ
A「これは単純に難しいわ。」
B「主張反論で書かずに普通に書けばもうちょっと読みやすくかけるんじゃないの?」
A「まあそうかもね。あと、抵当権に基づく妨害排除の要件としてそもそも債務者の無資力を要求するべきなのかもしれないわ。」
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民法 平成16年度第1問
設問1
1 635条本文に基づく解除が主張できるか検討する。
Aは@「瑕疵」、A「契約をした目的を達成できないこと」(以上635条本文)、B仕事の一応の完成、C完成した部分が全体の不可欠の要素であることの主張立証を要する。Aについては相手方の抗弁とする見解もあるが、契約の拘束力からの解放を認めるためにはAも請求原因と考える。Bは、後述のように請負の担保責任を債務不履行責任の特則と解することから要求される。Cは、本問のように一部の瑕疵で全部を解除するための要件として必要である。
「瑕疵」とは契約で定められた内容を有していないことを言い、コンクリートの基礎工事を完全に行うことは当然契約の内容であると解されるから、その不完全は「瑕疵」に当たる(@)。また、Bは追完請求に関わらず追完しないこと、コンクリートの基礎工事は建築物の根幹部分であることから、追完請求後相当期間が経過すればAを満たすと考える。また、コンクリートの基礎工事は本体の工事と可分であり、この部分は一応完成したと言える(B)。また、コンクリートの基礎工事は全体の不可欠の要素である(C)。
したがって、635条本文に基づく解除が主張できる。
2 仮に1が認められなかった場合、541条の解除が主張できるか、634条以下と債務不履行責任の関係が問題となる。
634条以下を債務不履行責任の単純な特則とする見解は請負契約に関して特則を設ける理由がわからず妥当でない。634条以下は仕事が一応完成した後に請負人の仕事完成義務を軽減させるための債務不履行の特則と解する。そうすると635条が解除の要件を限定した趣旨は、契約目的を達成できない場合でなければ解除の一般原則によっても解除を認めないことと解するのが一貫する。
したがって、541条の解除は主張できない。
3 仮に1が認められなかった場合、641条の任意解除が主張できるか。同条の趣旨が問題となる。
同条は注文者にとって必要なくなった仕事を完成させることが無意味であり、社会経済的にも非効率だから、契約の拘束力の例外として注文者に理由なしの解除権を認めたものである。そうすると、注文者は解除の際に特に641条に基づき解除する旨を明らかにすることが要求されると解すべきである。また、重ねて主張することを認めると債務不履行がないと信じて仕事を継続する請負人に思わぬ不利益を与えることになる。
したがって、641条の任意解除は主張できない。
設問2
1 Aは634条2項に基づき以下の2種類の請求を選択して行使できる。
(1)まず、「修補に代えて」100万円の損害賠償請求(選択的損害賠償)ができる。
請求原因は@「瑕疵」A「損害」である(634条2項)。@は屋根の防水工事の手抜きがこれに当たる。Aは、「修補に代えて」する損害賠償の場合は修補費用であり、本件では100万円である。
(2)つぎに、「修補とともに」する損害賠償請求(併存的損害賠償)ができる。
ア これによる場合はまずAはBに修補請求ができる。
イ そのうえで、損害賠償の請求原因は1と同様である。Aについて、本件の雨漏りによるパソコン等の損害は瑕疵のために注文者の完全性利益が害されたもの(瑕疵結果損害)であるが、これが「損害」(634条2項)に含まれるか問題となる。この損害は仕事完成債務とは別の保護義務違反に基づくものとも思えるが、担保責任として認められると考える。本件ではAはBに50万円の請求ができる。
(3)二つの請求の比較
(2)によればAは実質的に150万円の損害を填補できるので、経済的に有利である。Bの仕事が信用できないという事情のない限り(2)が選ばれるはずである。以下では(2)を選択したことを前提に議論する。
2 AはBの1000万円の請負残代金請求に対し、950万円の支払義務しか追わず、これよりもBの修補義務が先履行であることを主張できる。理由は以下のとおりである。
(1)修補請求の先履行の抗弁
AはBの請負残代金請求に対し、1(2)アの修補請求の先履行を主張して支払いを拒絶することができる。634条2項の修補義務は請負契約に基づく仕事完成義務の性質を有するからである(633条)。
(2)50万円の損害賠償請求との同時履行の抗弁
支払拒絶の範囲は、修補請求の場合に全額の支払いを拒絶できることとの均衡から、報酬差遣全額(本件では1000万円)である。
(3)50万円の損害賠償請求権と1000万円の請負残代金請求権の相殺の抗弁
債務の性質が相殺を許さない場合は相殺は認められず(505条1項但書)、受働債権に抗弁権が付いている場合はこれに当たると解されている。そして、(2)で見た通りAの受働債権である請負残代金請求権には同時履行の抗弁権が付いているから、相殺はできないのが原則である。
しかし、請負の報酬請求権と請負目的物の瑕疵による損害賠償請求権は現実の履行をさせなければならない利益は存在せず、相殺した方が相互に便宜であるから、例外的に相殺できると解する。
したがって、Aは相殺できる。
(4)以上より、Aは950万円の請負残代金支払義務を負い、これよりもBの修補義務が先履行であることを主張できる。 以上
かゆいところ
A「まあ、設問1はね、541条でやる人が多いだろうし、もしかしたら出題者もそれを想定してるのかもしれないわよ。ええ、そりゃそうよ。」
B「だけどあえて瑕疵担保で処理すると。」
1 635条本文に基づく解除が主張できるか検討する。
Aは@「瑕疵」、A「契約をした目的を達成できないこと」(以上635条本文)、B仕事の一応の完成、C完成した部分が全体の不可欠の要素であることの主張立証を要する。Aについては相手方の抗弁とする見解もあるが、契約の拘束力からの解放を認めるためにはAも請求原因と考える。Bは、後述のように請負の担保責任を債務不履行責任の特則と解することから要求される。Cは、本問のように一部の瑕疵で全部を解除するための要件として必要である。
「瑕疵」とは契約で定められた内容を有していないことを言い、コンクリートの基礎工事を完全に行うことは当然契約の内容であると解されるから、その不完全は「瑕疵」に当たる(@)。また、Bは追完請求に関わらず追完しないこと、コンクリートの基礎工事は建築物の根幹部分であることから、追完請求後相当期間が経過すればAを満たすと考える。また、コンクリートの基礎工事は本体の工事と可分であり、この部分は一応完成したと言える(B)。また、コンクリートの基礎工事は全体の不可欠の要素である(C)。
したがって、635条本文に基づく解除が主張できる。
2 仮に1が認められなかった場合、541条の解除が主張できるか、634条以下と債務不履行責任の関係が問題となる。
634条以下を債務不履行責任の単純な特則とする見解は請負契約に関して特則を設ける理由がわからず妥当でない。634条以下は仕事が一応完成した後に請負人の仕事完成義務を軽減させるための債務不履行の特則と解する。そうすると635条が解除の要件を限定した趣旨は、契約目的を達成できない場合でなければ解除の一般原則によっても解除を認めないことと解するのが一貫する。
したがって、541条の解除は主張できない。
3 仮に1が認められなかった場合、641条の任意解除が主張できるか。同条の趣旨が問題となる。
同条は注文者にとって必要なくなった仕事を完成させることが無意味であり、社会経済的にも非効率だから、契約の拘束力の例外として注文者に理由なしの解除権を認めたものである。そうすると、注文者は解除の際に特に641条に基づき解除する旨を明らかにすることが要求されると解すべきである。また、重ねて主張することを認めると債務不履行がないと信じて仕事を継続する請負人に思わぬ不利益を与えることになる。
したがって、641条の任意解除は主張できない。
設問2
1 Aは634条2項に基づき以下の2種類の請求を選択して行使できる。
(1)まず、「修補に代えて」100万円の損害賠償請求(選択的損害賠償)ができる。
請求原因は@「瑕疵」A「損害」である(634条2項)。@は屋根の防水工事の手抜きがこれに当たる。Aは、「修補に代えて」する損害賠償の場合は修補費用であり、本件では100万円である。
(2)つぎに、「修補とともに」する損害賠償請求(併存的損害賠償)ができる。
ア これによる場合はまずAはBに修補請求ができる。
イ そのうえで、損害賠償の請求原因は1と同様である。Aについて、本件の雨漏りによるパソコン等の損害は瑕疵のために注文者の完全性利益が害されたもの(瑕疵結果損害)であるが、これが「損害」(634条2項)に含まれるか問題となる。この損害は仕事完成債務とは別の保護義務違反に基づくものとも思えるが、担保責任として認められると考える。本件ではAはBに50万円の請求ができる。
(3)二つの請求の比較
(2)によればAは実質的に150万円の損害を填補できるので、経済的に有利である。Bの仕事が信用できないという事情のない限り(2)が選ばれるはずである。以下では(2)を選択したことを前提に議論する。
2 AはBの1000万円の請負残代金請求に対し、950万円の支払義務しか追わず、これよりもBの修補義務が先履行であることを主張できる。理由は以下のとおりである。
(1)修補請求の先履行の抗弁
AはBの請負残代金請求に対し、1(2)アの修補請求の先履行を主張して支払いを拒絶することができる。634条2項の修補義務は請負契約に基づく仕事完成義務の性質を有するからである(633条)。
(2)50万円の損害賠償請求との同時履行の抗弁
支払拒絶の範囲は、修補請求の場合に全額の支払いを拒絶できることとの均衡から、報酬差遣全額(本件では1000万円)である。
(3)50万円の損害賠償請求権と1000万円の請負残代金請求権の相殺の抗弁
債務の性質が相殺を許さない場合は相殺は認められず(505条1項但書)、受働債権に抗弁権が付いている場合はこれに当たると解されている。そして、(2)で見た通りAの受働債権である請負残代金請求権には同時履行の抗弁権が付いているから、相殺はできないのが原則である。
しかし、請負の報酬請求権と請負目的物の瑕疵による損害賠償請求権は現実の履行をさせなければならない利益は存在せず、相殺した方が相互に便宜であるから、例外的に相殺できると解する。
したがって、Aは相殺できる。
(4)以上より、Aは950万円の請負残代金支払義務を負い、これよりもBの修補義務が先履行であることを主張できる。 以上
かゆいところ
A「まあ、設問1はね、541条でやる人が多いだろうし、もしかしたら出題者もそれを想定してるのかもしれないわよ。ええ、そりゃそうよ。」
B「だけどあえて瑕疵担保で処理すると。」
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民法 平成15年度第2問
問題文
Aは、Bから登記簿上330平方メートルと記載されている本件土地を借り受け、本件土地上に自ら本件建物を建てて保存登記を行い、居住していた。Aは、本件建物を改築しようと考え、市の建築課と相談し、敷地面積が330平方メートルならば希望する建物が建築可能と言われたため、本件土地を売ってくれるようBに申し込み、Bは、これを承諾した。売買契約では、3.3平方メートル当たり25万円として代金額を2500万円と定め、Aは、代金全額を支払った。
以上の事案について、次の問いに答えよ(なお、各問いは、独立した問いである。)。
1 本件土地の売買契約締結直後に、本件土地建物を時価より1000万円高い価格で買い受けたいというCの申し込みがあったため、Aは、Cとの間で本件土地建物の売買契約を締結した。しかし、専門業者の実測の結果、本件土地の面積が実際には297平方メートルであることが判明し、面積不足のためにCの希望していた大きさの建物への建て替えが不可能であることがわかり、AC間の売買契約は解除された。
Aは、Bに対してどのような請求ができるか。
2 数年後、Bは、Aへの移転登記が未了であることを奇貨として、本件土地をDに売却しようと、「Aはかつて賃借人だったが、賃料を支払わないため契約を解除した。」と虚偽の事実を告げた。Dは、事情を確かめにA方に出向いたが、全く話をしてもらえなかったため、Bの言い分が真実らしいと判断し、本件土地を買い受け、移転登記をした。
AD間の法律構成について論ぜよ。
設問1
1 565条に基づきCへの転売利益の損害賠償請求ができるか検討する。
(1)AB間の本件土地売買は3.3平方メートル当たり25万円であり、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その数量を売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買といえるから、「数量を指示」(565条)した売買である。
(2)しかし、実際には面積は297平方メートルしかなかったから、「不足がある場合」に当たる。
(3)ア では、565条が準用する563条3項により、Cへの転売利益の損害賠償請求ができるか。同条の法的性質が問題となる。
565条は売買契約の等価的均衡のための法定責任と考えると、数量不足がないと信じたことによってこうむった損害(その意味での信頼利益)のみが賠償対象となる。
しかし、この考え方は物の数量は債務の内容とならないことを前提としており妥当でない。数量も債務の内容として契約で合意できるから、同条は債務不履行責任の特則と考えるべきである(契約責任説)。したがって損害賠償の範囲は416条に基づいて判断する。
イ 本件で契約責任説を前提にすると、(2)は債務の一部履行不能を基礎づける事実だから、その部分の履行請求権は損害賠償(填補賠償)請求権に転化している。ではCへの転売利益は損害賠償の範囲に含まれるか。416条の解釈が問題となる。
416条は損害と相当因果関係のある完全賠償を定めた規定であり、1項で通常事情による通常損害、2項で予見可能な特別事情による通常損害の賠償ができることを定めていると解する。予見可能性は違法行為をした債務者の債務不履行時の予見可能性が問題になる。
Cへの転売は本件売買契約締結直後にいわば偶然にCの申込みにより行われたものであるから、通常事情ではない。そして債務者Bは債務不履行時(原始的一部不能であるから契約時と同時と考える)にこれを予見できないから、予見可能な特別事情でもない。
したがって、Cへの転売利益は損害賠償の範囲に含まれない。
ウ したがって、Cへの転売利益の損害賠償請求はできない。
2 565条に基づき解除ができるか検討する。
(1)Aは330平方メートルならば希望する建物が建築可能であるからこそ本件売買契約をしたのだから、「残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったとき」(565条、563条2項)にあたる。
(2)Bとしては、Aが本件売買契約前に本件土地の借地人であり、本件建物を建てて居住していたことから、悪意の抗弁(565条、563条3項)を主張しうる。
しかし、上記事実のみでは悪意は認定できないと考える。
(3)したがって、565条に基づく解除ができ、その効果は契約の遡及的消滅と解するから(545条1項)、既払いの2500万円の不当利得返還請求ができる(703条)。
設問2
1 DはAに対して、所有権に基づく返還請求としての土地明渡請求ができるか検討する。建物収去は土地明け渡しの手段ないし履行態様であって、土地明け渡しと別個の請求権ではな(旧1個説)。
(1)Dは、@本件土地をDが所有すること、A本件土地をAが占有していることを請求原因として主張立証する。
(2)ア Aは@に対して対抗要件の抗弁として、自分が177条の第三者にあたること及びDが投機を備えるまではDの所有権取得を認めないとの権利主張をすることができるが、既にDが登記を備えているため認められない。
イ Aに対して、Aは賃借権の抗弁を以下のように主張しうる。
AB間の本件土地賃貸借契約はAB間の売買契約を原因として混同によって消滅した(520条)。しかし、BD間で本件土地売買契約が行われ、Dが登記を備えて確定的に所有者になったことにより、BのAに対する登記移転義務は社会通念上履行不能になったから、AはBとの本件土地売買契約を解除できる(543条)。前述のように解除の効果は契約関係の遡及的消滅だから、解除によりBの賃貸人たる地位がAB間の本件土地賃貸借契約時に遡って復活した。対抗要件を具備した不動産賃貸借関係は不動産の所有権に付着する状態債務だから、賃貸人たる地位は不動産所有権に随伴する。BD間の本件土地売買契約によりBの賃貸人たる地位がDに法定承継された(Aは本件建物の保存登記により土地賃借権の対抗要件を具備している、借地借家法10条1項)。したがって、AはDに対し、本件土地賃借権を有する。
(3)(2)イに対してDは、自分が「第三者」(545条1項但書)に該当すると主張するかもしれないが、同条の「第三者」は解除前の法律関係を前提として新たな取引関係に入った者を言うところ、Dは所有者AからではなくBと売買契約を結んでいるから、解除前の法律関係を前提としておらず、主張自体失当である。
(4)(2)イに対してDは、AB間の賃貸借契約の事情を確かめにA方へ出向いたが全く話をしてもらえなかったことを評価根拠事実とする権利濫用の再抗弁(1条3項)を主張しうるが、この程度のことでは権利濫用にならないと考える。
(5)したがって、DはAに対して所有権に基づく返還請求としての土地明渡請求ができない。
2 AのDに対する債務不履行はまだないので、Dは賃貸借契約の債務不履行解除はできず、賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求としての土地明渡請求はできない。
3 DはAに対して、本件土地賃貸人として賃料請求ができる。賃貸人たる地位移転の場面で新賃貸人が賃料請求するための要件として、賃料の二重払いから賃借人を保護するため所有権移転登記が必要と解するが、Dはこれを備えている。
4 以上より、本件土地をめぐるAD間の法律関係は、Dが賃貸人、Aが賃借人の賃貸借契約関係である。 以上
かゆいところ
B「出題者は設問2の事情はどうやって使うことを想定しているのかなぁ?」
A「過失っぽいわね。調査義務の存在とその懈怠。」
B「過失って言っても即時取得の事例じゃないからなぁ。」
A「謎ね。この世であなたの愛を〜手に〜入れるもの〜♪」
B「そんな昔のコナンの歌うたわれても。」
Aは、Bから登記簿上330平方メートルと記載されている本件土地を借り受け、本件土地上に自ら本件建物を建てて保存登記を行い、居住していた。Aは、本件建物を改築しようと考え、市の建築課と相談し、敷地面積が330平方メートルならば希望する建物が建築可能と言われたため、本件土地を売ってくれるようBに申し込み、Bは、これを承諾した。売買契約では、3.3平方メートル当たり25万円として代金額を2500万円と定め、Aは、代金全額を支払った。
以上の事案について、次の問いに答えよ(なお、各問いは、独立した問いである。)。
1 本件土地の売買契約締結直後に、本件土地建物を時価より1000万円高い価格で買い受けたいというCの申し込みがあったため、Aは、Cとの間で本件土地建物の売買契約を締結した。しかし、専門業者の実測の結果、本件土地の面積が実際には297平方メートルであることが判明し、面積不足のためにCの希望していた大きさの建物への建て替えが不可能であることがわかり、AC間の売買契約は解除された。
Aは、Bに対してどのような請求ができるか。
2 数年後、Bは、Aへの移転登記が未了であることを奇貨として、本件土地をDに売却しようと、「Aはかつて賃借人だったが、賃料を支払わないため契約を解除した。」と虚偽の事実を告げた。Dは、事情を確かめにA方に出向いたが、全く話をしてもらえなかったため、Bの言い分が真実らしいと判断し、本件土地を買い受け、移転登記をした。
AD間の法律構成について論ぜよ。
設問1
1 565条に基づきCへの転売利益の損害賠償請求ができるか検討する。
(1)AB間の本件土地売買は3.3平方メートル当たり25万円であり、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その数量を売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買といえるから、「数量を指示」(565条)した売買である。
(2)しかし、実際には面積は297平方メートルしかなかったから、「不足がある場合」に当たる。
(3)ア では、565条が準用する563条3項により、Cへの転売利益の損害賠償請求ができるか。同条の法的性質が問題となる。
565条は売買契約の等価的均衡のための法定責任と考えると、数量不足がないと信じたことによってこうむった損害(その意味での信頼利益)のみが賠償対象となる。
しかし、この考え方は物の数量は債務の内容とならないことを前提としており妥当でない。数量も債務の内容として契約で合意できるから、同条は債務不履行責任の特則と考えるべきである(契約責任説)。したがって損害賠償の範囲は416条に基づいて判断する。
イ 本件で契約責任説を前提にすると、(2)は債務の一部履行不能を基礎づける事実だから、その部分の履行請求権は損害賠償(填補賠償)請求権に転化している。ではCへの転売利益は損害賠償の範囲に含まれるか。416条の解釈が問題となる。
416条は損害と相当因果関係のある完全賠償を定めた規定であり、1項で通常事情による通常損害、2項で予見可能な特別事情による通常損害の賠償ができることを定めていると解する。予見可能性は違法行為をした債務者の債務不履行時の予見可能性が問題になる。
Cへの転売は本件売買契約締結直後にいわば偶然にCの申込みにより行われたものであるから、通常事情ではない。そして債務者Bは債務不履行時(原始的一部不能であるから契約時と同時と考える)にこれを予見できないから、予見可能な特別事情でもない。
したがって、Cへの転売利益は損害賠償の範囲に含まれない。
ウ したがって、Cへの転売利益の損害賠償請求はできない。
2 565条に基づき解除ができるか検討する。
(1)Aは330平方メートルならば希望する建物が建築可能であるからこそ本件売買契約をしたのだから、「残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったとき」(565条、563条2項)にあたる。
(2)Bとしては、Aが本件売買契約前に本件土地の借地人であり、本件建物を建てて居住していたことから、悪意の抗弁(565条、563条3項)を主張しうる。
しかし、上記事実のみでは悪意は認定できないと考える。
(3)したがって、565条に基づく解除ができ、その効果は契約の遡及的消滅と解するから(545条1項)、既払いの2500万円の不当利得返還請求ができる(703条)。
設問2
1 DはAに対して、所有権に基づく返還請求としての土地明渡請求ができるか検討する。建物収去は土地明け渡しの手段ないし履行態様であって、土地明け渡しと別個の請求権ではな(旧1個説)。
(1)Dは、@本件土地をDが所有すること、A本件土地をAが占有していることを請求原因として主張立証する。
(2)ア Aは@に対して対抗要件の抗弁として、自分が177条の第三者にあたること及びDが投機を備えるまではDの所有権取得を認めないとの権利主張をすることができるが、既にDが登記を備えているため認められない。
イ Aに対して、Aは賃借権の抗弁を以下のように主張しうる。
AB間の本件土地賃貸借契約はAB間の売買契約を原因として混同によって消滅した(520条)。しかし、BD間で本件土地売買契約が行われ、Dが登記を備えて確定的に所有者になったことにより、BのAに対する登記移転義務は社会通念上履行不能になったから、AはBとの本件土地売買契約を解除できる(543条)。前述のように解除の効果は契約関係の遡及的消滅だから、解除によりBの賃貸人たる地位がAB間の本件土地賃貸借契約時に遡って復活した。対抗要件を具備した不動産賃貸借関係は不動産の所有権に付着する状態債務だから、賃貸人たる地位は不動産所有権に随伴する。BD間の本件土地売買契約によりBの賃貸人たる地位がDに法定承継された(Aは本件建物の保存登記により土地賃借権の対抗要件を具備している、借地借家法10条1項)。したがって、AはDに対し、本件土地賃借権を有する。
(3)(2)イに対してDは、自分が「第三者」(545条1項但書)に該当すると主張するかもしれないが、同条の「第三者」は解除前の法律関係を前提として新たな取引関係に入った者を言うところ、Dは所有者AからではなくBと売買契約を結んでいるから、解除前の法律関係を前提としておらず、主張自体失当である。
(4)(2)イに対してDは、AB間の賃貸借契約の事情を確かめにA方へ出向いたが全く話をしてもらえなかったことを評価根拠事実とする権利濫用の再抗弁(1条3項)を主張しうるが、この程度のことでは権利濫用にならないと考える。
(5)したがって、DはAに対して所有権に基づく返還請求としての土地明渡請求ができない。
2 AのDに対する債務不履行はまだないので、Dは賃貸借契約の債務不履行解除はできず、賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求としての土地明渡請求はできない。
3 DはAに対して、本件土地賃貸人として賃料請求ができる。賃貸人たる地位移転の場面で新賃貸人が賃料請求するための要件として、賃料の二重払いから賃借人を保護するため所有権移転登記が必要と解するが、Dはこれを備えている。
4 以上より、本件土地をめぐるAD間の法律関係は、Dが賃貸人、Aが賃借人の賃貸借契約関係である。 以上
かゆいところ
B「出題者は設問2の事情はどうやって使うことを想定しているのかなぁ?」
A「過失っぽいわね。調査義務の存在とその懈怠。」
B「過失って言っても即時取得の事例じゃないからなぁ。」
A「謎ね。この世であなたの愛を〜手に〜入れるもの〜♪」
B「そんな昔のコナンの歌うたわれても。」
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2016年01月18日
やべ、ブログ消しちゃった!笑
A「気に入らない答案の記事を削除しようとしたら、間違えてブログ自体を削除しちゃったわ!どうしましょ!笑。」
B「あほだなあ。」
A「ごひいきに見ていてくれた人(そんな人がいるとしたら)、申し訳ないです。一気に復旧というわけにはいかないかもしれないけど、徐々に新しい記事を作りながら復旧していきますのでご期待ください。」
B「丁寧な言葉遣いできるんだね。」
A「あーむかつくわ。」
B「書いた答案はワードファイルとかで残ってるんでしょ?」
A「うーん、あるやつはあるけど。私たちの会話とかは直接記入してたから完全に消えちゃったかも。」
B「そんなのいらないでしょ笑。答案さえ早く復旧してくれたらいいよ。」
A「できるだけそうするわ。」
B「ということで、『司法試験 かゆいところ』等で検索してくださったみなさま、お待ち願います。」
B「あほだなあ。」
A「ごひいきに見ていてくれた人(そんな人がいるとしたら)、申し訳ないです。一気に復旧というわけにはいかないかもしれないけど、徐々に新しい記事を作りながら復旧していきますのでご期待ください。」
B「丁寧な言葉遣いできるんだね。」
A「あーむかつくわ。」
B「書いた答案はワードファイルとかで残ってるんでしょ?」
A「うーん、あるやつはあるけど。私たちの会話とかは直接記入してたから完全に消えちゃったかも。」
B「そんなのいらないでしょ笑。答案さえ早く復旧してくれたらいいよ。」
A「できるだけそうするわ。」
B「ということで、『司法試験 かゆいところ』等で検索してくださったみなさま、お待ち願います。」