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2016年02月01日

民法 平成16年度第1問

設問1
1 635条本文に基づく解除が主張できるか検討する。
 Aは@「瑕疵」、A「契約をした目的を達成できないこと」(以上635条本文)、B仕事の一応の完成、C完成した部分が全体の不可欠の要素であることの主張立証を要する。Aについては相手方の抗弁とする見解もあるが、契約の拘束力からの解放を認めるためにはAも請求原因と考える。Bは、後述のように請負の担保責任を債務不履行責任の特則と解することから要求される。Cは、本問のように一部の瑕疵で全部を解除するための要件として必要である。
 「瑕疵」とは契約で定められた内容を有していないことを言い、コンクリートの基礎工事を完全に行うことは当然契約の内容であると解されるから、その不完全は「瑕疵」に当たる(@)。また、Bは追完請求に関わらず追完しないこと、コンクリートの基礎工事は建築物の根幹部分であることから、追完請求後相当期間が経過すればAを満たすと考える。また、コンクリートの基礎工事は本体の工事と可分であり、この部分は一応完成したと言える(B)。また、コンクリートの基礎工事は全体の不可欠の要素である(C)。
 したがって、635条本文に基づく解除が主張できる。
2 仮に1が認められなかった場合、541条の解除が主張できるか、634条以下と債務不履行責任の関係が問題となる。
 634条以下を債務不履行責任の単純な特則とする見解は請負契約に関して特則を設ける理由がわからず妥当でない。634条以下は仕事が一応完成した後に請負人の仕事完成義務を軽減させるための債務不履行の特則と解する。そうすると635条が解除の要件を限定した趣旨は、契約目的を達成できない場合でなければ解除の一般原則によっても解除を認めないことと解するのが一貫する。
 したがって、541条の解除は主張できない。
3 仮に1が認められなかった場合、641条の任意解除が主張できるか。同条の趣旨が問題となる。
 同条は注文者にとって必要なくなった仕事を完成させることが無意味であり、社会経済的にも非効率だから、契約の拘束力の例外として注文者に理由なしの解除権を認めたものである。そうすると、注文者は解除の際に特に641条に基づき解除する旨を明らかにすることが要求されると解すべきである。また、重ねて主張することを認めると債務不履行がないと信じて仕事を継続する請負人に思わぬ不利益を与えることになる。
 したがって、641条の任意解除は主張できない。
設問2
1 Aは634条2項に基づき以下の2種類の請求を選択して行使できる。
(1)まず、「修補に代えて」100万円の損害賠償請求(選択的損害賠償)ができる。
請求原因は@「瑕疵」A「損害」である(634条2項)。@は屋根の防水工事の手抜きがこれに当たる。Aは、「修補に代えて」する損害賠償の場合は修補費用であり、本件では100万円である。
(2)つぎに、「修補とともに」する損害賠償請求(併存的損害賠償)ができる。
ア これによる場合はまずAはBに修補請求ができる。
イ そのうえで、損害賠償の請求原因は1と同様である。Aについて、本件の雨漏りによるパソコン等の損害は瑕疵のために注文者の完全性利益が害されたもの(瑕疵結果損害)であるが、これが「損害」(634条2項)に含まれるか問題となる。この損害は仕事完成債務とは別の保護義務違反に基づくものとも思えるが、担保責任として認められると考える。本件ではAはBに50万円の請求ができる。
(3)二つの請求の比較
 (2)によればAは実質的に150万円の損害を填補できるので、経済的に有利である。Bの仕事が信用できないという事情のない限り(2)が選ばれるはずである。以下では(2)を選択したことを前提に議論する。
2 AはBの1000万円の請負残代金請求に対し、950万円の支払義務しか追わず、これよりもBの修補義務が先履行であることを主張できる。理由は以下のとおりである。
(1)修補請求の先履行の抗弁
AはBの請負残代金請求に対し、1(2)アの修補請求の先履行を主張して支払いを拒絶することができる。634条2項の修補義務は請負契約に基づく仕事完成義務の性質を有するからである(633条)。
(2)50万円の損害賠償請求との同時履行の抗弁
支払拒絶の範囲は、修補請求の場合に全額の支払いを拒絶できることとの均衡から、報酬差遣全額(本件では1000万円)である。
(3)50万円の損害賠償請求権と1000万円の請負残代金請求権の相殺の抗弁
 債務の性質が相殺を許さない場合は相殺は認められず(505条1項但書)、受働債権に抗弁権が付いている場合はこれに当たると解されている。そして、(2)で見た通りAの受働債権である請負残代金請求権には同時履行の抗弁権が付いているから、相殺はできないのが原則である。
 しかし、請負の報酬請求権と請負目的物の瑕疵による損害賠償請求権は現実の履行をさせなければならない利益は存在せず、相殺した方が相互に便宜であるから、例外的に相殺できると解する。
 したがって、Aは相殺できる。
(4)以上より、Aは950万円の請負残代金支払義務を負い、これよりもBの修補義務が先履行であることを主張できる。 以上

かゆいところ
A「まあ、設問1はね、541条でやる人が多いだろうし、もしかしたら出題者もそれを想定してるのかもしれないわよ。ええ、そりゃそうよ。」
B「だけどあえて瑕疵担保で処理すると。」

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posted by izanagi0420new at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 民法
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