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2016年02月01日

民法 平成15年度第2問

問題文
 Aは、Bから登記簿上330平方メートルと記載されている本件土地を借り受け、本件土地上に自ら本件建物を建てて保存登記を行い、居住していた。Aは、本件建物を改築しようと考え、市の建築課と相談し、敷地面積が330平方メートルならば希望する建物が建築可能と言われたため、本件土地を売ってくれるようBに申し込み、Bは、これを承諾した。売買契約では、3.3平方メートル当たり25万円として代金額を2500万円と定め、Aは、代金全額を支払った。
 以上の事案について、次の問いに答えよ(なお、各問いは、独立した問いである。)。
1 本件土地の売買契約締結直後に、本件土地建物を時価より1000万円高い価格で買い受けたいというCの申し込みがあったため、Aは、Cとの間で本件土地建物の売買契約を締結した。しかし、専門業者の実測の結果、本件土地の面積が実際には297平方メートルであることが判明し、面積不足のためにCの希望していた大きさの建物への建て替えが不可能であることがわかり、AC間の売買契約は解除された。
 Aは、Bに対してどのような請求ができるか。
2 数年後、Bは、Aへの移転登記が未了であることを奇貨として、本件土地をDに売却しようと、「Aはかつて賃借人だったが、賃料を支払わないため契約を解除した。」と虚偽の事実を告げた。Dは、事情を確かめにA方に出向いたが、全く話をしてもらえなかったため、Bの言い分が真実らしいと判断し、本件土地を買い受け、移転登記をした。
 AD間の法律構成について論ぜよ。

設問1
1 565条に基づきCへの転売利益の損害賠償請求ができるか検討する。
(1)AB間の本件土地売買は3.3平方メートル当たり25万円であり、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その数量を売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買といえるから、「数量を指示」(565条)した売買である。
(2)しかし、実際には面積は297平方メートルしかなかったから、「不足がある場合」に当たる。
(3)ア では、565条が準用する563条3項により、Cへの転売利益の損害賠償請求ができるか。同条の法的性質が問題となる。
 565条は売買契約の等価的均衡のための法定責任と考えると、数量不足がないと信じたことによってこうむった損害(その意味での信頼利益)のみが賠償対象となる。
 しかし、この考え方は物の数量は債務の内容とならないことを前提としており妥当でない。数量も債務の内容として契約で合意できるから、同条は債務不履行責任の特則と考えるべきである(契約責任説)。したがって損害賠償の範囲は416条に基づいて判断する。
イ 本件で契約責任説を前提にすると、(2)は債務の一部履行不能を基礎づける事実だから、その部分の履行請求権は損害賠償(填補賠償)請求権に転化している。ではCへの転売利益は損害賠償の範囲に含まれるか。416条の解釈が問題となる。
 416条は損害と相当因果関係のある完全賠償を定めた規定であり、1項で通常事情による通常損害、2項で予見可能な特別事情による通常損害の賠償ができることを定めていると解する。予見可能性は違法行為をした債務者の債務不履行時の予見可能性が問題になる。
 Cへの転売は本件売買契約締結直後にいわば偶然にCの申込みにより行われたものであるから、通常事情ではない。そして債務者Bは債務不履行時(原始的一部不能であるから契約時と同時と考える)にこれを予見できないから、予見可能な特別事情でもない。
 したがって、Cへの転売利益は損害賠償の範囲に含まれない。
ウ したがって、Cへの転売利益の損害賠償請求はできない。
2 565条に基づき解除ができるか検討する。
(1)Aは330平方メートルならば希望する建物が建築可能であるからこそ本件売買契約をしたのだから、「残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったとき」(565条、563条2項)にあたる。
(2)Bとしては、Aが本件売買契約前に本件土地の借地人であり、本件建物を建てて居住していたことから、悪意の抗弁(565条、563条3項)を主張しうる。
 しかし、上記事実のみでは悪意は認定できないと考える。
(3)したがって、565条に基づく解除ができ、その効果は契約の遡及的消滅と解するから(545条1項)、既払いの2500万円の不当利得返還請求ができる(703条)。
設問2
1 DはAに対して、所有権に基づく返還請求としての土地明渡請求ができるか検討する。建物収去は土地明け渡しの手段ないし履行態様であって、土地明け渡しと別個の請求権ではな(旧1個説)。
(1)Dは、@本件土地をDが所有すること、A本件土地をAが占有していることを請求原因として主張立証する。
(2)ア Aは@に対して対抗要件の抗弁として、自分が177条の第三者にあたること及びDが投機を備えるまではDの所有権取得を認めないとの権利主張をすることができるが、既にDが登記を備えているため認められない。
イ Aに対して、Aは賃借権の抗弁を以下のように主張しうる。
 AB間の本件土地賃貸借契約はAB間の売買契約を原因として混同によって消滅した(520条)。しかし、BD間で本件土地売買契約が行われ、Dが登記を備えて確定的に所有者になったことにより、BのAに対する登記移転義務は社会通念上履行不能になったから、AはBとの本件土地売買契約を解除できる(543条)。前述のように解除の効果は契約関係の遡及的消滅だから、解除によりBの賃貸人たる地位がAB間の本件土地賃貸借契約時に遡って復活した。対抗要件を具備した不動産賃貸借関係は不動産の所有権に付着する状態債務だから、賃貸人たる地位は不動産所有権に随伴する。BD間の本件土地売買契約によりBの賃貸人たる地位がDに法定承継された(Aは本件建物の保存登記により土地賃借権の対抗要件を具備している、借地借家法10条1項)。したがって、AはDに対し、本件土地賃借権を有する。
(3)(2)イに対してDは、自分が「第三者」(545条1項但書)に該当すると主張するかもしれないが、同条の「第三者」は解除前の法律関係を前提として新たな取引関係に入った者を言うところ、Dは所有者AからではなくBと売買契約を結んでいるから、解除前の法律関係を前提としておらず、主張自体失当である。
(4)(2)イに対してDは、AB間の賃貸借契約の事情を確かめにA方へ出向いたが全く話をしてもらえなかったことを評価根拠事実とする権利濫用の再抗弁(1条3項)を主張しうるが、この程度のことでは権利濫用にならないと考える。
(5)したがって、DはAに対して所有権に基づく返還請求としての土地明渡請求ができない。
2 AのDに対する債務不履行はまだないので、Dは賃貸借契約の債務不履行解除はできず、賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求としての土地明渡請求はできない。
3 DはAに対して、本件土地賃貸人として賃料請求ができる。賃貸人たる地位移転の場面で新賃貸人が賃料請求するための要件として、賃料の二重払いから賃借人を保護するため所有権移転登記が必要と解するが、Dはこれを備えている。
4 以上より、本件土地をめぐるAD間の法律関係は、Dが賃貸人、Aが賃借人の賃貸借契約関係である。   以上

かゆいところ
B「出題者は設問2の事情はどうやって使うことを想定しているのかなぁ?」
A「過失っぽいわね。調査義務の存在とその懈怠。」
B「過失って言っても即時取得の事例じゃないからなぁ。」
A「謎ね。この世であなたの愛を〜手に〜入れるもの〜♪」
B「そんな昔のコナンの歌うたわれても。」

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posted by izanagi0420new at 09:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 民法
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