アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2016年02月01日

民法 平成20年度第1問

設問1
1 AのCに対する所有権に基づく本件機械の引渡し請求が認められるか検討する。
(1) 請求原因は@A所有AC占有である。@はAB間の売買契約の解除によりAに所有権が認められる。Aは、CはBから引渡しを受けているから認められる。
(2) Cは占有権限の抗弁として賃借権を主張するが、認められるか。
ア 解除の効果(545条1項本文)の解釈
(ア)Cとしては、解除の効果は遡及せず、既履行債務の原状回復義務と未履行債務の消滅があるだけと構成したい(間接効果説、545条1項本文)。そうするとBC間の賃貸借契約は有効であり、解除によってBの賃貸人たる地位が本件機械の所有権とともにAに法定承継される。法定承継されるための要件はCが賃借権の対抗要件を備えていることだが、Cは「引渡し」(178条)を受けているためこの要件を満たす。
(イ)これに対してAとしては、判例同様解除の遡及効を肯定する(直接効果説)。そうするとBC間の賃貸借契約は他人物賃貸借であり、賃借人は所有者に賃借権を主張できない(559条、560条)。この見解が正当である。
イ 「第三者」(545条1項但書)該当性
(ア)Cとしては、解除の直接効果説を前提としても545条1項但書は解除の遡及効によって害されるものを保護する趣旨であり、「第三者」とは解除前の者をいうところ、Cがこれに当たる。したがって、CはAに対して賃借権を対抗できると主張したい。
(イ)Aとしては、動産の第三取得者に545条1項但書の保護は及ばないと主張したい。
 私見は、賃借権の公示は引渡しでは不十分であり、解除前の動産取得者は「第三者」に当たらないと考える。本件機械は3000万円と高額だが、法的安定性を保つためこの結論は動産の金額によって変えるべきではない。CはBに対して債務不履行に基づく損害賠償請求ができるから不当ではない。
2 1(2)ア(ア)、1(2)イ(ア)のいずれかの構成が認められてCが賃借権をAに対抗できる場合に、AのCに対する賃料請求が認められるか検討する。
(1)請求原因は、@BC間の賃貸借契約の存在、AAが本件機械の所有権を有すること、B賃料債権の発生と弁済期の到来と解される。
(2)これに対してCは、対抗要件の抗弁を主張しうる。
ア Cの主張
 賃貸人たる地位移転は本件機械の所有権の移転に伴うものであり、賃借人は178条の「第三者」(動産の得喪変更につき引渡しの欠缺を主張する正当の利益を有する者)に当たるから、Aが賃貸人たる地位をCに対抗するためには引渡しが必要である。
 仮に賃貸人たる地位が不動産の得喪変更に当たらず対抗問題ではないと考えたとしても、賃借人の賃料の二重払いの危険を避けるため、権利保護要件としての引渡しが必要である。
イ Aの反論
 対抗問題ではないから登記は不要である。二重払いの危険は債権譲渡の通知(467条1項)で足りる。
(3)私見は、対抗要件として引渡しを要求すると賃借人が常に勝つことになりかねず妥当でない。しかし賃料の二重払いの危険を避ける必要もある。そこで、賃貸人たる地位を主張するためには債権譲渡の通知(467条1項)が必要と解する。Bが通知をしない場合には、裁判上の代位(423条)によりAが通知すればよい。
設問2
1 AのCに対する引渡し請求が認められる場合
(1) AC間
 設問1と同様にAのCに対する所有権に基づく引渡し請求が認められる。
(2) CD間
 DはCに対して賃料請求したいが、BC間の賃貸借契約はCがAに本件機械を引渡した時点で履行不能になり消滅するため、それ以降の賃料請求は認められない。
 DはCに対して、545条1項但書の第三者に該当することを理由に賃料請求することも考えられるが、Dは解除の遡及効によって害されたのではなく、AがCに対して本件機械の返還請求をしたことにより害されたのであるから、545条1項但書の第三者に該当しない。
 このように解しても、BD間の債権譲渡契約上BはCに対する賃料債権を発生させ続ける義務(保護義務)を負うと解されるから、DはBに対して保護義務違反による損害賠償請求(415条)ができるため、不当ではない。
 CのAに対する本件機械の引渡し以前の賃料(既払いの賃料)は、他人物賃貸借が有効である以上、清算の必要はない。
2 AのCに対する引渡し請求が認められない場合
(1)Cに対して賃料請求できるのはADいずれかについて
 DはCに対して賃料請求したい。それに対してAは解除を主張するだろうが、DはAとの関係では545条1項但書の第三者に当たるため、AはDとの関係では解除によって本件機械の所有権をBから復帰的に承継するのに伴ってBの賃貸人たる地位を承継したということになる。そうするとAはDに賃料債権を1年分譲渡した賃貸人の地位を承継するのであるから、Cに対して賃料請求できるのはDである。
(2)AC間
 AはCの賃貸人だが、BC間の契約当初から1年分の賃料は請求できず、賃貸人としての義務だけを負うことになる。
(3)CD間
 DはCに対して、BC間の契約当初から1年分の賃料を請求できる。 以上
posted by izanagi0420new at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 民法
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/4686234
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
ファン
検索
<< 2018年04月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。