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2018年02月01日

大腸CTアカデミア  内視鏡検査後に見つかる大腸がんは初回内視鏡時の不完全治療の影響がやはり強いよ!

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大腸CTアカデミア目次
大腸CTアカデミア【医療従事者用】目次
大腸CTアカデミア【一般の方用】目次
大腸CTアカデミア【腸長ダービー】目次
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前回の「つぶやき − 166 −」の後に
ラインコミュニティで次のようなやり取りが
あったのでご紹介しますね。

「のりこ」
CTが下から見上げた画像なのには、そんな理由があったんですか??
とても日本人的な考えのような気もしますが、
CTは世界共通の検査なところが面白いですね。

「ナガイチ」
あ、この件はきちんとソースを確認していません・・・。
申し訳ありません。
まだ若かりし頃、先輩ドクターから説明された知識そのままです汗
昔は頭部CTとか上から患者さんを見た画像だった記憶しています。
ソースをきちんと確認せず言って申し訳ありません。
どなたか詳細をご存知の方は、補助していただけますか!?

「のりこ」
ほーって妙に納得してました。
突っ込んですみません。

「ナガイチ」
すみません汗
都市伝説かもしれません汗
ご存知の方、ご教示ください〜

「Sekigawa」
自分がこの業界に入った頃は、頭は上から、
それ以外は下からと…コレはオペを考慮してと聞いた事あります。
ただ、MRIの普及に伴い全て下からになったような…。
それと、proxi、distalは心臓が中心と思ってました

「ナガイチ」
貴重な情報をありがとうございます!
頭からに近位、遠位の件は消化管についてですね
正しくは口からですね
おっしゃるように、他の系統の臓器だと定義も違うのかもしれませんね
血管は心臓が中心な気がしますが、いかがでしょうか
思わぬ ところで盛り上がって嬉しいです

「Sekigawa」
でした。
ACA distalとか表現してましたし

「のりこ」
画像の取り方に歴史があるんですね。
毎日の臨床では、遠位大腸、近位大腸というのは
炎症性腸疾患のときによく表現されます。
でも、癌の時はやっぱり口側、肛門側の表現が日常臨床では多いです。
でも、この表現は日本だけということに注意していきたいと思います。

「たかはし のり」
ひええ。
自分のアホな疑問がきっかけ(?)で
皆さんからいろんなお話が聞けて嬉しいです。





PubMedから、今日のつぶやき − 167 −

Belderbos TD, et al. Risk of post-colonoscopy colorectal cancer due to incomplete adenoma resection: A nationwide, population-based cohort study. United European Gastroenterol J 2017;5:440-447.



今回から、日本のPCCRCに関する研究報告をご紹介する予定でしたが、
次回からにしますね。

といいますのは、「たかはし のり」様が独自に追加解析をしてくれて、
なかなか面白い内容なので、今日はそちらをご紹介しますね。

「たかはし のり」様のコメント
メールでいただきました。
掲載の承諾を頂いています。

------
今回の論文ですが、面白いですけど解釈がちょっと難しいです。

「PC-CRCの3〜4割もがIndex adenomaと同一部位にあった。
だからこれは不完全切除が原因だ」
と言われると一瞬そうかと思ってしまいますけど、
少し考えると
「本当に原因があると言えるの? 
PC-CRCが "たまたま" 同一部位に発生する可能
性も当然あるでしょ。それはどのくらいなの?
それと比較しないと多いとはいえ
ないんじゃない?」
と思ってしまいます。

という訳で、
正しいかどうか全く分からないですけど、検証してみました。

「PC-CRCの発生部位が、Index adenomaと同じ割合で分布していたとして、
それらが "たまたま" 同一部位になる例数」を計算して、
実数と比較してみました。

結果は画像の通り。

171211_高橋さん解析.JPG

"たまたま"の期待値は、実数の半分程度の162.5例となりました。
もしこの考え方・計算が正しければ、
「確かに何らかの理由でなんか多いっぽ
い」とは言える……のかな?
------


素晴らしいし、面白いですね。

ご紹介した論文は、理解できるのだけれども、
初回内視鏡治療部位と
たまたま同じ腸管区分にPC-CRCあったのでは!?
という思いが抜けないですよね。

で、「たかはし のり」様の解析にあるように
期待値を検討することで、
偶然同じ腸管区分にPC-CRCがある場合の期待値より、
どん分で報告された実数のPC-CRCが約2倍多い!
ということが分かります。

つまり、偶然があるとしても、
それ以上に初回内視鏡時の不完全治療の方が
影響が強いといえるわけです。

なるほどです〜
説得力が増しましたね。
ありがとうございます!!

論文を多く読むことは大切ですが、
そこから自分で考え、考え方を発展させたり、
臨床に応用したり、今回のように追加解析をしたり
などしていくことは、
自身の大きな成長につながっていくものと信じています。

ラインコミュニティの皆で
一緒に飛躍していきましょうね。


「たかはし のり」様の追加解析に
重ねて感謝します。

次回は日本からのPCCRCに関する研究報告をご紹介したいと思います。

それでは、また。



原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28507757


ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。



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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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