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2018年02月23日

大腸CTアカデミア  Japanese National CT Colonography Trial

■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■
大腸CTアカデミア
【医療従事者用】目次(平日版)
【一般の方用】目次(日曜・祝日版)
【腸長ダービー】目次(土曜版)
■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■〓■







PubMedから、今日のつぶやき − 182 −


Nagata K, et al. Accuracy of CT Colonography for Detection of Polypoid and Nonpolypoid Neoplasia by Gastroenterologists and Radiologists: A Nationwide Multicenter Study in Japan. Am J Gastroenterol 2017;112:163-171.



いろいろとご紹介したい論文があるので、
今回は迷いました。

ラインコミュニティ配信、年明け最初ということで、
前回の雑感で取り上げた
Japanese National CT Colonography Trial
(通称 JANCT、ジャンクト)

をご紹介しようと思います。

これは、日本から初めてとなる
大腸CT検査の大規模精度検証
を世界に発信したものです。

自分は2007年10月に渡米しました。
そのときからでかい研究をしたいという思いと
やるからには患者さんや日本に貢献できることを
やりたいと考えていました。

そのころは大腸CT検査の精度検証がまだ十分ではなく
欧米で大規模臨床試験が走っていたことを
ClinicalTrial.govなどの臨床試験登録サイトから
知っていました。

そうだ、これを日米で連携してやろうと!

ですが、参加してもらう施設のコネもなければ
研究資金も皆無です。

アメリカで獲得できる研究費はアメリカの国益に
役立つものでなければ取得できませんし、
何より、既に先行研究 ACRIN6664が走っていたので
アメリカに資金を頼るのは無理でした。

では日本のグラントを獲得できるかというと、
その頃の日本の研究費は、日本在住の研究者が対象でした。
現在では、諸外国との共同上研究にも間口が開かれていますが。

はてさて、どうしようと手探りでの計画立案が始まりました。

時は、2008年3月のことです。
一時帰国してJDDW2008に参加しておりました。

ハードディスクのファイルを確認すると
大腸CT検査関連でを2演題出していました。

その学会場で、ザ・プリンスさくらタワーのフロント近くの
廊下を歩いていると・・・

当時から大腸CT検査に精力的に取り組まれていた
あの先生の後ろ姿が目に留まりました。

今でこそ、懇意にしていただいていますが、
その当時は、学会場で発表を拝聴する程度のご縁しかなかったのです。

走って、その先生に、胸に秘めている研究計画を一気に説明し、
協力をお願いしたのです。

「是非、やりましょう」とその先生のお言葉から
JANCTははじまったのです!!


どちらの先生か、お分かりでしょうか!?

続きますね〜



原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27779195


ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。



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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。

<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。

<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
 大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
 大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。

<検査食は不要>
・低容量腸管前処置においても、ガストログラフィンを使えば食事制限は不要。
・腸管残渣の状態は食事制限の有無に左右されない。
・水溶性造影剤によるタギングの質は食事制限の有無に左右されない。
・食事制限の撤廃は患者の受容性向上に寄与する。

<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。

<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。

<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。

<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。

<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。

<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。




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自身の業務が膨大になってきたこともあり、
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2017年の春から予告しておりましたように、
ボランティアによる読影トレーニングの実施は
2017年末で終了いたしました。
何卒、ご理解のほどよろしくお願い致します。


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プロフィール
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大腸の専門家 ナガイチ
大腸を専門に外科、内視鏡、画像診断のキャリアがあります。               経歴のご紹介:               1996年 国立医学部医学科卒業。       1996〜2007年 消化器外科、内視鏡医として従事。                    2007〜2011年 ハーバード大学 医学部 放射線科、マサチューセッツ総合病院に留学。 2009年〜国内のナショナルセンターに外来研究員として併任。               2011年 帰国し内視鏡医として従事。     2015年〜国内のナショナルセンターに常勤勤務。 2019年〜某国公立大学医学部医学科の特任教授として働いています。                  資格: 外科認定医・認定登録医、消化器内視鏡認定医・専門医・指導医、消化器病専門医、H. pylori(ピロリ菌)感染症認定医、消化器がん検診認定医、胃腸科専門医・指導医、アメリカ消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy) 国際会員、アメリカ消化器病学会(American College of Gastroenterology) 国際会員                    どうぞよろしくお願いいたします。              ご注意)個人的な病状に関するご相談、診療に準じるご相談にはお答えできませんので、何卒、ご容赦ください。
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