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2019年12月04日

サムソン覇権を許した日本大企業の真の戦犯  失われた30年・・・日本企業の失敗本質





 サムソン覇権を許した日本大企業の真の戦犯


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 失われた30年・・・日本企業の失敗本質


       
          〜PRESIDENT 河合 忠彦 2019年10月4日号〜


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               河合 忠彦 筑波大学名誉教授


 




 「失われた30年」で、日本企業は敗北したのか?

 日本経済に取って、平成時代は「失われた30年」でした。1989(平成元)年の日本の1人当たり名目GDPは世界第4位でしたが、2018(平成30)年には第26位に後退。この間の増加率は約58%で、同期間に約174%も増加したアメリカに比べ、率直に言って見劣りするものでした。
 その要因は複合的ですが、目に着くのは日本の大企業の没落です。1989年には世界の企業の時価総額ランキング上位50社の中に、日本企業は32社ありました。それが18年、ランキング入りして居たのはトヨタ自動車の1社だけです。

 その一つの象徴が、日本のエレクトロニクス産業の敗北でした。私の考える「敗北」とは、事業の赤字が続く事、乃至は事業を縮小・撤退する事です。スマホで負け、有機ELで負け、GAFAには及びも着か無い。5G技術にしても蚊帳の外です。
 こうした現状が生じたのは、1990年代から2010年頃に掛けての薄型テレビ戦争で、日本メーカーが敗れてお金が無く為った事に起因します。結果、薄型テレビに続くスマホや有機EL等の次世代製品の開発で後れを取り、GAFAの様なプラットフォームビジネスや、5Gの様な更に次世代のテクノロジー競争にも置き去りにされてしまいました。

 「失敗の本質」を分析・把握し、克服する

 日本経済が再び輝きを取り戻す為には、各企業が薄型テレビ戦争における「失敗の本質」を分析・把握し、克服する必要があります。一言で言えばそれは、トップ・マネジメント層の戦略の失敗、取り分け、環境の変化に適切に対応する「ダイナミック戦略」の失敗と、経営者の選任等におけるコーポレート・ガバナンスの欠如です。 

 先ず、前者の失敗に付いて説明しましょう。薄型テレビにおける日本企業の戦略の失敗は、大きく2つのカテゴリーに分けられます。
 1つは、最初は上手く行って居たのに、環境変化に伴う戦略の転換に失敗したパターンで、シャープとパナソニックがそれに当たります。
 もう1つは最初から苦労しその後も傷が深く為るばかりだったパターンで、ソニー・東芝・日立製作所・パイオニアが該当します。

 シャープは液晶の開拓者であり、当初は技術的に業界の先端を走って居ました。一方で企業規模は比較的小さく、大量生産の為の設備投資を機動的に行える程の体力はありません。そこで同社は技術力による差別化を戦略の核に置き「亀山モデル」に象徴される様な大画面化や画質の向上に邁進しました。
 当初の内は上手く行きましたが、他社も段々技術的にキャッチアップし、結局は価格競争に巻き込まれる事を避けられませんでした。

 パナソニックは液晶技術で後れを取って居た為、大型画面では液晶より有利とされて居たプラズマディスプレイに経営資源を集中し、大規模生産でコストダウンを行って勝負に出ました。処が、シャープを初めとする液晶メーカーが徐々に大画面化に成功した為、消費電力や価格競争力で勝る液晶との競合が始まってしまいます。
 そして両社に共通するのが、薄型テレビ市場がまさに飽和しつつあったタイミングで、それ迄の戦略を転換すべく大規模な工場を造ってしまった事です。その投資が重荷に為って居た処に、2008年のリーマン・ショック、更に2012年の家電エコポイント終了による需要減が起きた事で、より「負け」の傷を深くしました。

 この2社以外の企業は、参入戦略の誤りや技術的な出遅れ、過去の成功体験や自社の技術力への過信、市場環境の変化に合わせた戦略転換の失敗等から、終始勝ち目の薄い戦いを強いられ続けました。
 そして全ての日本の薄型テレビメーカーに共通する事として、先任社長が後継社長を選任した結果、前社長の影響力が残り続けると云うコーポレート・ガバナンス上の問題が、戦略の適切な転換を妨げた事も指摘せざるをえません。「赤字続きだが前社長からのプロジェクトだから継続せざるを得ない」と云った案件が、どれだけ日本のメーカーの体力を削いで来た事でしょうか。







 サムスンが覇権を握った理由

 一方で、日本企業が苦闘する中、薄型テレビ戦争で覇権を握ったのが韓国のサムスンでした。サムスンは当初、シャープの様に技術的に先行して居た訳では無く、薄型テレビへの参入時は生産能力の増強による低価格戦略を基本として居ました。では、何がその後の明暗を分けたのでしょうか。

 液晶技術の進歩によって、業界全体が価格競争に巻き込まれ、先進国の需要がホボ飽和しつつあった、と云う市場環境はサムスンに取っても共通でした。しかし、日本企業が低価格戦略(パナソニック)か技術による差別化戦略(シャープ)の何れかに固執し、機動的な戦略転換に失敗したのに対し、サムスンはデザインやマーケティングによる差別化を含めた、柔軟な競争戦略を行いました。
 欧州市場で大ヒットしたワイングラス形シルエットの製品や、省エネを唄うLEDバックライト(技術的には比較的単純で、コストも大して掛かりません)の製品等を開発し市場で勝利したのです。

 日本企業が無謀な設備拡大に走ったのに対して、ソニーと合弁でパネル生産会社を設立し、新興国市場向けの中型画面製品の需要拡大に合わせ、敢えて最先端で無い(但し生産効率が高くて設備投資も安く済む)生産設備の拡充を行う等、パネル戦略の転換に付いても柔軟でした。
 日本と精々アメリカ市場ばかりを見て居た日本企業に対し、サムスンが中国や南アジア・ブラジル等を含む、よりグローバルな市場を捉えて戦略を立案して居た事も一因でしょう。

 この差が何から生まれるかと云えば、矢張りマネジメント層の戦略立案能力が、日本企業に比べて極めて高かったからだと言わざるを得ません。技術畑出身の経営者が多く、戦略の話をしたら上司に叱られたと云う話を日本メーカーの方から聞いた事があります。
 一方、サムスンにはMBA取得者等による「参謀本部」の様なものがあり、戦略立案とその遂行能力は日本企業の比ではありません。サムスンが日本企業との合弁や日本人技術者のヘッドハンティングを通じて、日本メーカーの技術を相当に吸収したのは事実です。しかし、薄型テレビ市場でシェアトップに押し上げたのは、最終的には経営戦略の優位性にあったと私は考えます。

 モノとプラットフォームを組み合わせて戦略

 今後、日本のメーカーが再び輝きを取り戻す為には、これ迄苦手として来た企業戦略の部分、具体的には市場環境の変化に柔軟に対応する「ダイナミック戦略」の強化が不可欠です。
 競争戦略理論の古典であるポーター理論では、コストリーダーシップ戦略と差別化戦略は二律背反とされて居ますが、その両方を柔軟に組み合わせる事は可能です。安くて品質が好く、ブランディングも巧みなユニクロは、その好例でしょう。又、GAFAの様にモノでは無くプラットフォームベースで戦略を作って行く、或はモノとプラットフォームを組み合わせて戦略を立てる方向もある筈です。

 その為には、サムスンの様に戦略立案に特化した参謀本部を作るのも1つの手です。又、コーポレート・ガバナンスを強化して、前社長の戦略が惰性で継続される様な状況を防ぐ事も必要でしょう。少なくとも中堅レベル以上の社員が競争戦略を理解する様な土壌が出来れば、そうした社員に見られて居る経営陣の緊張感も変わり、日本企業の戦略力は大きく向上して行く筈です。


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 河合 忠彦(かわい・ただひこ)筑波大学名誉教授 1967年、東京大学経済学部卒。86年、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院博士課程修了(Ph.D)。学習院大学、筑波大学、中央大学大学院の教授などを経て、現職。近著に『日本企業における失敗の研究』(有斐閣)など。

    筑波大学名誉教授 河合 忠彦  構成 川口 昌人   以上


 












「中国の急成長」は大して参考に為る物では無い




 




  「中国の急成長」は大して参考に為る物では無い


          〜プレジデントオンライン 12/4(水) 9:15配信〜


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      楠木 建(くすのき・けん) 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授

 〜現在、世界の時価総額上位10社のうち、8社はアメリカ企業で2社は中国企業のアリババとテンセントである。何故日本企業は勢いを失ったのか。一橋大学大学院の楠木建教授は「停滞は時代の流れの必然。だからコソ、個別の企業の競争力が益々重要に為る」と云う〜


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      時価総額ランキング(2019年10月末時点)各種データを基に編集部作成
 
  応仁の乱の頃よりも日本の治安は良く為った

 テンセントは1998年に創業してからの20年間、猛烈な勢いで成長し、時価総額は世界第9位(2019年10月末現在)に迄躍進しました。同じ時期、日本経済は「失われた20年」と称され、完全に停滞して居ると言われて来ました。実際にその通りです。
 それなら日本経済や日本企業は、テンセントに何を学べば停滞から脱する事が出来るのか? 『テンセント 知られざる中国デジタル革命トップランナーの全貌』(プレジデント社)を読めば、そんな教訓を得たく為るかも知れません。

 しかし、私が何時も強調して居るのは「高度成長期の後の一定期間の停滞は必然」と云う事です。人間は、或る2時点間の変化率でしか物事を評価出来ません。或る時点と或る時点との比較で、伸びたとか停滞して居るとか言って居るだけです。従って物事の評価は、2つの時点をどう取るかによって大きく変わります。
 「日本の治安も良く為ったよな、応仁の乱の頃に比べると」と云う言い方が、成り立つ訳です。そんな話をする人は勿論居ませんが、起点と終点を何処に取るかによって全ての価値判断が決まる訳です。

 何をもってピークとするかによりますけれども、仮にバブル期をピークとする為らば、日本経済はズッと停滞して居ます。バブル期を起点に取り現在を終点に取れば、そう云う結論です。方や中国経済は、この20年で急成長しました。何故なら、それ以前がどうしようも無く低迷して居たからです。皆が人民服を着て、交通手段は自転車で、人民公社の管理の下で産業の生産性は伸び無かった。
 しかし、その後の20年、人口が物凄く多く、ソコソコ遣る気のある国民が揃って居て教育の平均的水準も高い等、様々な条件が備わった為に、ここ迄成長したのです。

 今の時代が当たり前と思うのが真面な経営者  

 日本も中国も、過つてイギリスやアメリカも経験した急激な成長は、低い起点と高い終点を2時点に取って比較して居る為の評価です。では、日本がもう一度高度経済成長する為に、最も有り得る手段は何か?極論すれば、もう一度戦争をする事です。
 しかも日本国内の実質的な富が大きく破壊される様な戦争を経験する事です。日本が備えて居る基礎的な条件を考えると、その後は間違い無く高度経済成長する。しかし、誰がそれを望むでしょうか。

 急激な成長と云うのは、人間で言えば青春期みたいなものです。訪れる年齢は異なるかも知れませんが、ドンな人の一生にも5年、長くても10年遣って来る時代です。その時代が異常なのであって、日本経済で言えば、そうでは無い今が通常です。
 バブルから現在を見れば停滞でも、今が真っ当で正しい時代だと考えれば、真面な経営者には「閉塞感だの右肩下がりだの」と嘆いて居る暇は無い筈です。


 




 「日本企業」と云う主語はもう辞め様

 面白いのは「日本企業」と国の名前を冠して、或る種の経営モデルみたいなものを議論して居るのは、世界中で日本だけだと云う事です。外国人には、非常に奇異に思える様です。
 BMWやシーメンスは、ドイツ国籍の企業ですが「ドイツ企業」ではありません。夫々に異なった固有の経営をして居ます。ドイツ的な雇用慣行や法規制はあるけれども「ドイツ企業」や「ドイツ企業的経営」と云う概念は存在し無いのです。

 皆が大きな帆を掲げて同じ方向へ進んでいる高度成長期には「日本的な経営」と云う何らかの共通点があったかも知れません。しかし、今は皆バラバラです。
 新日鉄もメルカリも日本の企業なのに「日本的経営だ」と一括りに論じても意味がありません。「日本企業」「日本的経営」「日本企業の競争力」と云った主語の使い方や問題の立て方はもう辞めるべきです。

 今の日本では、個々の経営力が問われて居ます。現に、失われた20年や30年等と一口に括る時期からでも、伸びて居る会社や稼ぐ会社は出て来て居ます。独自性を持って、日本は元より世界に対しても価値を発揮出来て居る会社が沢山あるのです。
 社会的な発言力のある層や経営を担って居る層は、未だ「高度成長期体質」なのかも知れません。統計資料を見れば成熟期に入って久しい事が判るのに切り替えができ無い。高度成長期を経営者として肌で経験しては居ない癖に、何か申し送られて居るのかそれとも身体に染み付いてしまって居るのでしょうか。

 7年前の記事を読めば、物事の本質が見えて来る

 それ程過去を振り返りたいなら、私は「逆タイムマシン経営」を勧めます。孫正義さんの唱える「タイムマシン経営」は、アメリカで成功したビジネスモデルを日本で展開して大きな利益を得る経営手法の事です。
 私が言う「逆タイムマシン経営」は、情報との付き合い方です。簡単に言えば「新聞雑誌は7年寝かせてから読め」と云う話です。メディアが流す情報には、本質の他に、同時代のノイズがタップリ詰まって居ます。例えばインターネットと云うものが登場した時、メディアは「インターネットは隕石だ。全てが変わる」と主張しました。

 曰(いわ)く「2020年には、通勤と云う行為が無く為って居る。全ての小売店はデジタル化して居る」現実には、未だに満員電車が走って居るし小売店も健在です。こうした論説は、インターネットを過大評価して居た事が判ります。 
 情報と云うものは、寝かせる事でノイズを落とす事が出来ます。過去のアーカイブを見れば、本当の論理が見えるし、人間が持つ同時代のバイアスも判る。そこで私は、一つの時間的な目安として「7年前の記事を読みましょう」と提唱して居る訳です。

 中国企業は味方でもあるし、脅威でもある

 本書『テンセント』を手に取る人の中には「日本に取って、テンセントは脅威かどうか」が気に為る人も居るでしょう。しかし彼等は、コチラに向けてミサイルを撃って来る訳ではありません。
 日本の企業に取って脅威かどうかと云う問いに対しては「或る企業に取っては脅威だろうし、別の企業に取っては好い会社だろう」と答えるしかありません。例えば製菓会社のUHA味覚糖に取って、アリババ程好い会社は無いでしょう。中国でマーケティングや販売を行うリソースを持た無い同社が、アリババのプラットフォーム上に店舗を開いただけで、中国の地方や農村でキャンディーがドンドン売れて居るからです。

 「GAFA」「BATH」と云う括り方が無意味な理由
 
 同じ様な意味で、世間はテンセントとアリババに検索エンジンのバイドゥと通信機器メーカーのファーウェイを含めて「BATH」と名付け、アメリカの「GAFA」とドッチが勝つかと云った捉え方をします。「グローバル・メガ・プラットフォーマー」と云った言葉を使って、括りたがるからです。

 無料でダウンロード出来るので、グーグルとアップルとフェイスブックとアマゾンがアメリカ証券取引委員会に出して居る有価証券報告書を一度読んでみてください。4社の商売の実態を見れば、全く質の違う企業だと判ります。
 私は何時も言うのですが、GAFAと一括りにするのは、JR東海とクロネコヤマトとトヨタと俳優のジェイソン・ステイサムをヒックルメテ「トランスポーター」と呼ぶ様なものです。共通点は運ぶ事だけ。
 そこから何かを学べと言われるのは「トヨタからカンバン方式を学べば好いんですか?それとも、ジェイソン・ステイサムみたいな格好好い男に為れば好いんですか?」と困ってしまうのに近いと思います。

 価値判断をする時には、基準を何処に置くかが大切です。徒に中国を脅威に感じる必要は無い。経営者の方々に申し上げたい。日本経済の停滞を嘆く暇があったら、もっと儲かる価値がある商売を自ら作って動かす方が好い。
 顧客が喜ぶだけで無く、雇用も出来るし、給料も払えるし、税金も払って社会貢献も出来る。結果として株価も上がり時価総額も増える。経済停滞からの脱却は、そうした一つひとつのミクロな成果の集積としてしか有り得ません。


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    呉 暁波『テンセント 知られざる中国デジタル革命トップランナーの全貌』(プレジデント社)

 楠木 建(くすのき・けん) 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 1964年生まれ 1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学 一橋大学商学部助教授 同イノベーション研究センター助教授等を経て現職 『ストーリーとしての競争戦略』『すべては「好き嫌い」から始まる』など著書多数

     一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授 楠木 建  構成 石井 謙一郎   以上


















世界的エンジニアが苦言 日本を叩き潰すMMT理論のバラマキ政策




 




 世界的エンジニアが苦言 日本を叩き潰すMMT理論のバラマキ政策


           〜まぐまぐニュース! 12/4(水) 4:45配信〜


 〜ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授等が提唱するや、瞬く間に支持者が急増したMMT現代貨幣理論。国内でも「れいわ新選組」の山本太郎代表を初めその有効性を評価する声は多く聞かれますが、果たしてこの理論は「正しい」ものなのでしょうか。
 今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアの中島聡さんが、MMTを「ナンちゃって経済理論」とした上で、同理論に基づくバラマキ政策は「一時凌ぎの人気取りでしか無い」とバッサリ斬って居ます〜


 ※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年12月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方は是非この機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。


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 プロフィール 中島聡(なかじま・さとし)ブロガー 起業家 ソフトウェア・エンジニア 工学修士(早稲田大学) MBA(ワシントン大学)NTT通信研究所 マイクロソフト日本法人 マイクロソフト本社勤務後 ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業 現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発


 MMTは打ち出の小槌か?

 最近、経済記事などで、MMT(Modern Monetary Policy)と呼ばれるものを目にした人が多いと思います。尤もらしい名前が付いて居るので、真面な経済理論だと思い込んで居る人が居ますが、これは、赤字国債を発行し続けて居るにも関わらずインフレが起こら無い日本を見て、米国の民主党議員が「米国も同じ様なバラマキ政策をしよう!」と考えた結果、作り出した「ナンちゃって経済理論」です。

 ソモソモ、各国に政府から独立した機関として中央銀行が作られたのは、政権が票集めの為に無尽蔵に通貨を発行する事を禁止する為です。政府は基本的には税収を利用して国を運営せねば為らず、将来の投資の為に一時的に(税収より多い)お金が必要な場合ノミ、国債の発行と云う形で民間からお金を借りる事が許されて居ました。
 中央銀行は、それとは独立して、物価の乱高下を避ける為に、通貨の発行量を国債の売買により調整する役割を担って居ます。経済が過熱して物価が上がり始めると、手持ちの国債を売る(売りオペ)事により通貨の流通量を減らして(金利を上げて)物価の上昇を抑えます。
 逆に経済が低迷して来ると、国債を市場から買い取る(買いオペ)により通貨の流通量を増やして(金利を下げて)景気に刺激を与えます。

 多くの中央銀行は、物価上昇率(インフレ)のターゲットを2%程度に定め、そこを境に「売りオペ」や「買いオペ」を行って来ました。
 しかし、ここ20年程(日本では30年)この仕組みが上手く機能し無く為って居ます。中央銀行が幾ら通貨の流通量を増やしても物価が上昇しないのです。特に、日本やヨーロッパでは、金利はゼロ処かマイナスに為っており、これ以上通貨の流通量を増やしても、市場は何の反応も起こさ無い「流動性の罠」と呼ばれる状況に陥って居ます。

 何故、こんな状況(通貨の流通量を増やしても物価が上がら無い)に為ってしまったのかに関しては、諸説がありますが、私は、グローバリゼーションとIT革命だと考えて居ます。1990年以降、企業は工場やコールセンターを人件費の安い海外に移す事を積極的に進めて来ました。その結果、製品やサービスの原価が下がり、それが物価上昇を抑制する働きをして来たのです。
 IT革命は、様々なものの効率を上げて居ます。Amazonはオンラインで様々なものを売る事により成長した企業ですが、実店舗を持たず値段の比較を容易にするオンライン・ショッピングの成長は、矢張り物価に下向きの圧力を与えて居るのです。
 FacebookGoogleは、テクノロジーを活用して、様々なサービスを無料で提供して居ますが、これも矢張り物価に下向きの圧力を与えます。

 詰まり、グローバリゼーションとITと云う二つの革命が、物価に下向きの圧力を与えて居る結果、各国の中央銀行が大量に国債を購入して居るにも関わらず、物価が上昇しない、と云う今の状況を作り出して居るのです。
 こんな話をすると、MMTの信仰者は「であれば、幾らバラマキ政策をしても大丈夫だ!」と喜ぶでしょうが、そんな簡単な話ではありません。税金の無駄遣いは、何処かで必ず誰かがツケを払わ無ければ為ら無いのです。

 既に日本には大きな歪みが溜まって居ます。特に大きな問題は、少子高齢化と非正規雇用者の増大です、今のペースで2040年〜2050年に為ると、就職氷河期に真面な職に就け無かった大量の人達が、十分な蓄えも無いまま高齢者と為り、彼等の生活を支えるのに十分な労働者が日本には居ない、と云う状況に陥ります。
 一度そう為ってしまえば「赤字国債を発行してバラマキ政策で凌ぐ」事が不可能に為ってしまいます。地方のインフラが崩壊し、介護が必要な老人に対するサービスを提供する事が不可能に為ります。最終的には円が暴落して、海外から安い人件費で人を雇い入れる事すら不可能に為ります。

 一見魅力的に見えるMMTに基づいたバラマキ政策は、結局は「一時凌ぎの人気取りの政策」でしか無いのです。だからコソ「魅力的」なのです。私が、トランプ政権がこれ以上続くのは耐えられ無いのと同時に、逆にMMTを掲げる左翼政治家が政権を握るのも困ると感じる理由が此処にあります。


 参考文献:”The end of inflation?” The Economist Oct 12th 2019 image by: Wang Jui-Lin / Shutterstock.com

          MAG2 NEWS     以上


 



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