2010年09月05日
<会社にお金を残さない> 平本清
「日本一社員にやさしい会社」と評されるほどのメガネ店「21」の社長である平本さんが自社の軌跡とポリシーについて書いた一冊です。
ところで、平本社長は「日本一社員にやさしい会社」と評されることを否定しています。
たしかに本を読んでいくと必ずしも社員にやさしいことばかりでないことがわかります。
どんなに良い業績を上げても年収は1,000万円を超えることがないことなど、必ずしも社員にやさしいというわけではありません。
しかし、それが企業文化として受け入れられて成り立っているのが「21」です。
成功する企業はいくつもありますが、その企業それぞれに企業文化をもっていると感じます。
「21」の企業文化の中で印象に残ったポイントは以下の通りです。
会社と社員のフェアな関係
儲かった時にはボーナスで社員に配る。儲からなかった時には配らない。
会社に内部留保はしないが、代わりに社員が内部留保している
「21」も創業期は資金難に陥った。
その創業期を支えた人々は自分たちの不利益やリスクを負っても「21」を支えた。
それが「21」の企業文化になっている。
社員による直接金融
「21」の資金繰りはすべて社員の出資によって成り立っている
社員それぞれが「自分の会社」という意識を持っていれば社員を管理する必要はない
会社にはあまり「いいとき」をつくらない
社員が慢心を抱いたときに会社に深刻な危機が訪れる
役員や経営陣などのトップの人間がもっとも損をする形を取ることが肝心である
人事においてはアバウトに評価する
一緒に働いていれば誰が優秀で誰が足を引っ張っていればわかる
評価の目的は働く人を元気にすること
経営陣が社員に見せる気遣いは制度化されていなければならない
全ての情報を公開する。
みんなが見ていれば、利益を隠したり、特定の人が過度に儲けることはできない
「ノルマや目標がないと社員がやる気にならない」と思う経営者は、
「社員がやる気になるシステムが構築されていない」ことを気にかけるべきである
人間関係の問題があれば迷わず人を動かす
ウマの合わない人と無理に仲良くなることを会社は求めていない
「ミスを許さない」という姿勢が隠ぺい体質をつくる
仕事:他人のリクエストにこたえる
趣味:自分のリクエストにこたえる
WIN-WIN:自他のリクエストにこたえる
「21」は異性にモテる人材を求めている。
メガネ屋としてはモテる人の方がメガネを売るのに適している。
能力の高い人が薄給を受け入れ、能力の低い社員への補てんをする。
多忙であれば残業や休日出勤を引き受ける。
そういったモラルある社員が多いからこそ成り立っている
違う価値観を持つ人は別のところで自分の力を発揮すればいい
「21」の価値観・文化に賛同できる人と一緒に仕事をすればいい
「会社の仕組み」と「社員のモラル」が有機的に結びついて「21」を支えている
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